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【レース感想】ツール・ド・フランス2020 第18ステージ

これぞ王者の意地

アルプス山脈最終日の第18ステージは、1級・3級・2級・1級・超級という5つのカテゴリー山岳を含む、これまたタフなコースプロフィール。

下ってからのフィニッシュなので総合勢の差は付きにくい筈だけれども、超級山岳の頂上付近には1.8kmに及ぶ未舗装路区間もあり、決して油断はできない嫌らしい設定に。

 

この日も当然ながら開幕から激しいアタック合戦、そして形成された32人の逃げにはポイント賞上位3人のサム・ベネットペテル・サガン、マッテオ・トレンティンがしっかり乗っている。

そして中間スプリントはベネット、トレンティン、サガンの順で通過して、ベネットがガッチリと首位をキープ。

緑の国アイルランド出身のスプリンターは、グリーンジャージに向かってシグナルはグリーンに点灯中!

 

そして、ポイント賞の次は山岳賞争い。

総合上位にいる山岳ポイント上位者はもちろんメイン集団に留まるけれども、ナンズ・ピータース、リチャル・カラパス、マルク・ヒルシなどは積極的に前方へと進んでいく。

最初の1級山岳をトップで通過したのはヒルシ、続いてカラパス。

この2人にカラパスをアシストするためのミハウ・クフィアトコフスキーなどが合流して先頭は5人に。

ヒルシはその後の3級・2級でも持ち前のパンチ力を活かしてトップ通過、カラパスに対してかなり有利に立つも、2級山岳を超えた後のダウンヒルで痛恨の単独落車!

後方を走っていたクフィアトコフスキーがレース後に「彼は攻めすぎた」と語ったこの落車、幸い大事には至らずヒルシはレースに復帰するも、ここでのタイムロスを埋める事が出来ずに先頭からは脱落してしまう。

こうなると純粋な登坂力で抜きんでているカラパスの独壇場となり、更にはクフィアトコフスキーのアシストもあり、残りの1級と超級はカラパスが1位通過し、山岳賞トップに躍り出た!

山岳でライバルを突き放した2人はそのまま快調に走り続け、残り10kmほどの地点で逃げ切りは間違いない状況に。

余裕の表情で何か語り合いながらゴールを目指す2人。

そして見せてくれたのは、なんとも美しいフィニッシュの瞬間だった。

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健闘を称え合いながら、笑顔で肩を組んでフィニッシュする2人!

エースの離脱という苦境を乗り越え、チームで勝ち取った見事な勝利!!

そして、クフィアトコフスキーはこれが嬉しいグランツール初勝利!

スカイ時代からイネオスの総合優勝を支え続けてきた「世界最強のアシスト」が、遂に自らのツール勝利をその手に収めた!

いや~、これは流石にウルっと来るよね…。

自分の一番の推し選手はエガン・ベルナルだけれども、初のレース視聴となった2019のパリ~ニースでベルナルを好きになった身としては、そこでリーダーシップを発揮しながら献身的に働いていたクフィアトコフスキーも大好きなんだよね。

この日はリアルタイムではなくて、後追いで結果を知った状態で見ていたけれども、リアルタイムだったら泣いていたかもしれないなぁ…。

そして、レース後のクフィアトコフスキーとカラパスのコメントも泣かせるいいコメント。

クフィアトコフスキー「エガンが見てくれてるといいな。僕らが今日成し遂げたことを、喜んでいてくれると嬉しいんだけど。この数日間、僕らはあらゆることを試した。そして今日、ついに、成功を手に入れた。僕らは今ツール期間中、多くの試練を潜り抜けてきた。だから僕らチームには、この勝利を祝う価値がある」

カラパス「共同作業の結果だから、2人で一緒に決めたんだ。ミハウは区間を勝ち、僕はマイヨ・ア・ポワを着る、とね」

※出典:宮本あさかのツール2020 レースレポートhttps://news.jsports.co.jp/cycle/article/20190310219143/?p=4)

いや~、素晴らしいものを見る事ができて大満足!

おめでとう、クフィアトコフスキー!

おめでとう、カラパス!

 

そして総合争いでは、未舗装路区間でリッチー・ポートがパンクで遅れそうになるも、展開にも恵まれ(前方に戻ってプリモシュ・ログリッチのアシストをしたいワウト・ファンアールトとトム・デュムランに便乗して)何とか集団に復帰。

ゴール前ではファンアールトがスプリントして、しっかりとボーナスタイムを削ったので総合勢のタイム差はほぼ動かずに終了。

残る総合勢の争いは第20ステージのタイムトライアルのみなので、ログリッチが圧倒的に有利なのは間違いない。

そんな中で波乱があるのか、そして僅差の山岳賞に変動はあるのか。

ツールも残すところあと3日。

クライマックスまで楽しんでいきたい。