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【レース感想】イツリア・バスクカントリー2022

面白すぎたので…

自転車大国スペインの中でも特にロードレース熱が高いバスク地方最大のレースである、イツリア・バスクカントリー。

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バスクらしい激坂が多数盛り込まれたこのレース、ちょっと忙しくて感想記事を書かない予定だったけれども…あまりにも面白い展開だったので、「簡易版」として軽~く書こうと方針転換!

内容的にはいつもの半分にも満たないペラッペラなものだけれども、まあ気軽に読んで頂ければ。

 

取り敢えず、開幕前の総合予想はこちら。

初日に個人タイムトライアルがあるので、まあ普通にプリモシュ・ログリッチ(チーム・ユンボ・ヴィスマ)を本命に。

同じくタイムトライアルに強いレムコ・エヴェネプールは激坂ばかりの今大会では沈む可能性が高いと判断。

イネオス・グレナディアーズはまたしてもエース候補ばかりの豪華布陣なので迷ったけれども、今シーズンここまで登りで最も走れているダニエル・マルティネスを選択。

 

第1ステージ

少し登りも入った7.5kmの個人タイムトライアル。

自分の予想はこんな感じ。

タイムトライアル強者3人の中から、迷いながらもエヴェネプールをチョイス。

 

実際、ステージトップ3はログリッチ、エヴェネプール、レミ・カヴァニャ(クイックステップ・アルファヴィニル)の3人で争われる事になって…ログリッチが勝利!

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グリッチ、やっぱり強いとしか言いようがない。

ただ、エヴェネプールも5秒差と惜しかった。

 

もう一つ目立ったのは、イネオス勢の好調っぷり。

ゲラント・トーマス(4位、+18秒)、アダム・イェーツ(5位+18秒)、ベン・トゥレット(10位、+21秒)、ダニエル・マルティネス(11位、21秒)と、上位に大量に選手を送り込む事に成功。

特に驚いたのはプロ1年目のトゥレット。

小柄なクライマー系かと思いきや、タイムトライアルもいけるとなると、これまた将来が楽しみだ。

 

第2ステージ

終盤の3級山岳を越えてから緩い登り勾配でフィニッシュする、「登れるスプリンター」やパンチャー向けっぽいステージ。

ただ、今大会はスプリンターがほぼいないという事で、予想はこんな感じ。

雑ぅー!!

とりあえず現役最高峰のパンチャーであるジュリアン・アラフィリップ(クイックステップ)をチョイスとか、もはや予想でもなんでもない気がしなくもない…。

 

逃げ切りの可能性もありそうな展開になりつつ、やはり最後はメイン集団での争いに。

そして炸裂する、クイックステップの強烈なホットライン!

エヴェネプールの誰も寄せ付けない猛牽引から完璧な形でアラフィリップが発射とか、誰も止められるわけがない!!

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アラフィリップ、絵になる男だ。

 

第3ステージ

前日より登坂の難易度は少し上昇しつつ、結局似たような展開になる予感しかしないレイアウト。

という事で、2日連続の雑な予想発動。

…だって、今回のメンバーで(大集団だろうが小集団だろうが)スプリントになったら、普通に考えたらアラフィリップが本命でしょ。

 

前日とは違い急勾配区間で絞り込みが掛かった事で、勝負権を有する集団に残れたのは20人弱。

残り5.5km辺りのカテゴリーが付いていない登坂でペッリョ・ビルバオバーレーン・ヴィクトリアス)が抜け出しを図ったけれども、この動きは吸収されて小集団でのスプリントと言う展開に。

エヴェネプールのリードアウトからアラフィリップが発射と言う、なんだか既視感のある流れに抗ったのは…先ほどから積極的な姿勢を見せていたビルバオ

少し仕掛けが早すぎたアラフィリップに食らいつき、なんとそのまま差し切った!!

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バスク出身のビルバオ、地元での執念の勝利!!

ビルバオ、まさかスプリントでアラフィリップを差すとは…!

しかしこの写真、雄叫びを上げるビルバオと後ろで悔しがるアラフィリップの対比が素晴らしいな…。

 

第4ステージ

激坂がありつつもフィニッシュから少し距離はあると言う、これもまた前日・前々日と同じような展開になりそうなレイアウト。

前日の結果を受けて、自分の予想はこんな感じ。

マルティネスへの鞍替えが吉と出るか凶と出るか…。

 

逃げ切りを目指したヴィクトル・ラフェ(コフィディス)も残り500m辺りで捕まり、この日もやはりメイン集団によるスプリント勝負に。

残り150m辺り、最終コーナーの手前から仕掛けたのはマルティネス!

インから最短距離を駆け抜けるマルティネス、アラフィリップやディエゴ・ウリッシ(UAEチームエミレーツ)も追い縋る…!

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マルティネスがそのまま先頭でフィニッシュまで突き抜けた!

マルティネスはボーナスタイムの10秒獲得により、総合3位に浮上!

かなり応援している選手の1人だから、この調子で頑張れ!

 

第5ステージ

総合勢の殴り合いになりそうな、激坂フィニッシュのレイアウト。

自分の予想はこんな感じ。

第1ステージの個人タイムトライアルも強かったし、好調ならまあログリッチでしょうという、安易な予想ではある。

 

やはりこの日は総合勢の争いが勃発。

残り16km辺り、2級山岳の途中でエヴェネプールが仕掛けると、付いていけたのはギヨーム・マルタンコフィディス)、ヨナス・ヴィンゲゴー(ユンボ)、マルティネス、アレクサンドル・ウラソフ(ボーラ・ハンスグローエ)、エンリク・マス(モビスター・チーム)、ビルバオのみ。

…え?

総合首位のログリッチがいない!?

快調に飛ばすエヴェネプールら7人は、取り残されたログリッチのいる集団とのタイム差をあっという間に広げていく!

そして、エヴェネプール達の30秒程前を行く逃げ集団でも、2級山岳山頂の1km手前で動きが起こる。

カルロス・ロドリゲス(イネオス)が、共に逃げていたマルク・ソレル(UAE)を2級山岳で置き去りにして独走を開始!

メイン集団にマルティネスがいたのでソレルに牽引の働きを任せることが出来ていたロドリゲス、残り14kmほど、これは逃げ切りもあり得るぞ!

 

ロドリゲスはそのまま30秒のリードをキープしたまま残り1kmを通過!

流石に最後の激坂では疲れも見せたけれども、7秒差で逃げ切り勝利!!

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スペインの次世代を担いうる期待の若手ロドリゲス、嬉しいプロ初勝利!

 

そしてメイン集団は、マルティネスがエヴェネプールに2秒のタイム差を付けて2位でフィニッシュして、6秒のボーナスタイムも獲得!

これで、総合首位はエヴェネプール、2秒差でマルティネスが追いかけるかなりの接戦に。

総合表彰台争いも、ヨン・イサギレ(総合3位、+21秒)、ウラソフ(総合4位、+22秒)、ビルバオ(総合5位、+22秒)、ヴィンゲゴー(総合6位、+29秒)、マス(総合7位、37秒)と、大激戦だ。

 

第6ステージ

最終日は、1級山岳が3つ登場する今大会のクイーンステージ。

実質山頂フィニッシュに近いという事で、予想はこんな感じ。

 

イネオスが選手全員をメイン集団の前方に集めてコントロールをする中、レースが動いたのは残り39kmに山頂がある1級山岳「クラベリン」から。

まずは先頭集団、ダヴィデ・フォルモロ(UAE)が同行していたネルソン・オリヴェイラ(モビスター)を突き放して独走を開始。

メイン集団では、前日1分5秒差の総合8位にスリップダウンしたログリッチがペースアップを敢行、付いていけたのはマルティネス、ウラソフ、マスの3人のみ!

ここに一旦後続が追いつくけれども、もうメイン集団はバラバラ。

残り40kmを切って急勾配区間でマスが加速すると、ログリッチやエヴェネプールが遅れてしまう…!

1級山岳の山頂は、先頭のフォルモロがメイン集団から1分強のリードをキープして単独で通過、メイン集団は逃げから遅れたオリヴェイラを加えながらペースをキープ、そしてエヴェネプールとログリッチはメイン集団から30秒程ほど遅れて追いかける展開に。

 

そして迎えたダウンヒルで、これまた色々な事が…。

まず、メイン集団(マルティネス、ヨン・イサギレ、ウラソフ、ヴィンゲゴー、マス、オリヴェイラの集団)からマルティネスが遅れてしまう。

マルティネス、ダウンヒルのテクニックは明確な弱点だ…。

そして、更にその集団から、オリヴェイラとマスが落車で脱落してしまう…。

マルティネスは後続のエヴェネプール達と合流。

逆にその後続集団にいたはずのビルバオは、ダウンヒルをかっ飛ばしてメイン集団にいつの間にか合流している!?
その後、2級山岳を通過してからフォルモロはメイン集団に捕まり、追走集団は30秒差で追いかける展開、エヴェネプールが中心となって、最後の1級山岳に突入する前になんとかメイン集団との合流に成功する。

 

仕切り直した総合争いを横目に、ステージ勝利と山岳賞を狙いたいフォルモロがアタックして、一時は50秒程のリードを築く事に成功。

残り5.6km、牽制続きだったメイン集団のペースを上げたのは、地元での勝利が欲しいヨン・イサギレ!

このペース・アップに、総合リーダーのエヴェネプールが付いていけない…!

残り3.7km、メイン集団がフォルモロを目前に捉えた辺りで、なんとヨン・イサギレが転倒してしまう…。

フィニッシュまで残り距離が短い事もあり、メイン集団はペースアップしてフォルモロを追い抜いていき、そしてビルバオがこのペースに付いていけない。

ただ、ヨン・イサギレはとんでもないガッツを見せつけてメイン集団に戻ってくる!

これで先頭はマルティネス、ヨン・イサギレ、ウラソフ、ヴィンゲゴー、ソレルの5人。

総合優勝はマルティネスが確実、ただ表彰台争いとステージ勝利争いはまだ分からない!!

残り1kmを切って下りに入ると、総合争いとは関係ないソレルが早めに仕掛けるけれども、ボーナスタイムによる総合争いをしている他の選手はこれを許さない!

残り200m、コーナーを使って上手く前に出たのはヨン・イサギレ!

そのままフィニッシュまでの下りを突き抜ける!!

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バスク出身のヨン・イサギレ、落車を乗り越えて執念の勝利!!

まさかあの位置での落車から先頭復帰、更にはそのまま勝つとは…!!

 

そして、しっかり先頭集団でフィニッシュしたマルティネスが総合優勝!!

今大会、明らかに登りでは一番強かった上に、チーム力が光っていたと思う。

特に、昨年までは明確にエースへの拘りを見せていたトーマスが見せる献身的な姿は、ちょっとグッとくるものがあったよね。

過渡期を迎えているイネオス、新たな時代へと突入となるか注目だ。

 

たまにはこういうのも「アリ」だと思えた

最終第6ステージ以外は、かな~り薄い内容で書いてみたけれども…。

たまにはこういうのも「アリ」と言うか、ある意味これこそ「正しい感想」な気もする。

今までのものが「感想」と言うより「レースレポート」に寄りすぎていたのは、ちょっと否めない気は以前からしていたんだよね…。

ただ、ロードレースの特性上その展開をしっかり書かないと訳が分からない内容になってしまう事と、あくまで「初心者向け」を謳っているこのブログとしては、今までのやり方がベストだと現状では考えているから、今回の形が普通にならないようにはしたいかな。

 

そんな自分の独り言は置いておいて、今回のイツリア・バスクカントリーは本当に面白かった!

第6ステージとか、最後の最後までドラマの連続で、最高すぎたでしょ!

いや~、山岳ステージで繰り広げられる目まぐるしい総合争い、本当に好きだ…!

今後も、今回のような熱い展開が繰り広げられる事を期待したい!

 

それでは、また!!

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