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【レース感想】ブエルタ・ア・エスパーニャ2022 第4ステージ

ケガの影響など微塵も感じさせない強さ!

オランダでの3日間を終え、スペイン初日はバスク地方らしいアップダウンが特徴の丘陵ステージ。

絞り込みが掛かってからの登りフィニッシュ(ラスト800mは平均勾配10%)は、果たしてどのような展開を作る事になるのか。

 

この日の逃げはアレクセイ・ルツェンコ(アスタナ・カザクスタン・チーム)を含む6人、メイン集団から許されたタイム差は3分前後。

序盤の2級山岳はジョアン・ボウ(エウスカルテル・エウスカディ)が先頭通過して山岳ポイントを5pt獲得。

これで、明日はボウが山岳賞ジャージを着用する事に。

逃げ集団は中盤以降のアップダウンで徐々に逃げを減らして、残り34km地点の中間スプリントポイントまで生き残っていた3人も、その直後にメイン集団に捕まってしまう。

 

先頭となったメイン集団は、残り22kmから始まる3級山岳に突入するとトレック・セガフレードが前を牽いてペースアップを仕掛ける。

これは…スプリント力のある選手を振るい落としてマッズ・ピーダスンでの勝利を狙っているのか。

このトレックの牽引は結構なハイペースで、スプリンターどころかセルヒオ・イギータ(ボーラ・ハンスグローエ)やフアン・アユソ(UAEチームエミレーツ)といった、本来は登坂力のある選手まで遅れるという意外な展開に。

そしてボーナスタイムが設定された頂上が近づくと、ジュリアン・アラフィリップ(クイックステップ・アルファヴィニル)が加速!

しかし、慌てずに反応したプリモシュ・ログリッチ(チーム・ユンボ・ヴィスマ)がアラフィリップを差して先頭通過、3秒のボーナスタイム獲得に成功している。

 

ハイスピードなダウンヒルを抜け、残すは登り勾配のフィニッシュへ向かうのみ。

緩い勾配が始まっている残り2km辺り、先頭で隊列を組むのはモビスター・チーム、その他のチームは割とごちゃごちゃした並び。

残り1.5km、レムコ・エヴェネプールがアラフィリップを前方へと引き上げようとするクイックステップは、アラフィリップでステージ勝利狙いか。

残り1km、モビスターはアシストが1枚剥がれて、エンリク・マスを守る選手は残り1人。

その後方にはトレックのケニー・エリッソンドがピーダスンを従えて準備万端の恰好、そしてログリッチは単独でスルスルっと前方へ上がっていく。

残り700m、エヴェネプールが最前線へと上がってきて…あれ?

肝心のアラフィリップが剥がれている…?

各チームが激しく位置取り争いを繰り広げる混戦模様の中、真っ先に仕掛けたのはトレックの2人!

山岳牽引職人のエリッソンドがピーダスンを発射する為に一気にスピードを上げる!

残り200m、エリッソンドが力尽きると同時に加速して先頭へ飛び出したのは…ピーダスンではなくログリッチだ!!

グリッチが万全なら「必殺」の間合い、ピーダスンもなんとか食らいつくけれども、ログリッチが強い!!

じわじわとピーダスンを離しながら、ログリッチが最後の最後まで踏み切る!!

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ツールでのケガの不安を一蹴!!

ブエルタのステージ通算10勝目となるログリッチ、早くも総合首位に浮上!!

分かり切っている事ではあるけれども…強い!!

この日のようなレイアウトでログリッチに対抗できる選手は、相当限られてしまうよね。

ピーダスンもマスも頑張ったけれども、危うくタイム差を取られそうな離され方…というか、後方は千切れてしまい、ステージ13位以降は7秒のタイム差が付いているし…。

ケガの影響などで急激に調子を崩す事さえなければ、どう考えてもログリッチが総合優勝候補の筆頭で間違いない。

 

惜しくもステージ2位となったピーダスンは、なんとこれで3ステージ連続の2位という、なんとも珍しいリザルトに…。

と思ったけれども、「3ステージ連続の2位」はツールでワウト・ファンアールト(ユンボ)がやったばかりだ。

そして、ファンアールトは翌日ステージ勝利を挙げている。

同じように第5ステージでピーダスンが勝利を挙げるかどうかは、レイアウトを見る限り果てしなく微妙だけれども、ピュアスプリンターでは持ち得ない登坂力と、ピュアスプリンター並みのスプリント力を兼ね備えている上に、逃げや独走だって選択肢にあるから、まあ普通にどこかのステージは獲りそうだ。