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【レース感想】ブエルタ・ア・エスパーニャ2022 第5ステージ

今大会初の逃げ切り勝利を掴んだのは…

前日と同じく、バスクらしいアップダウンが特徴の丘陵ステージ。

終盤は周回コースになっていて、2回登る事になる2級山岳(登坂距離4.6km・平均勾配8%)と、そこからのダウンヒルがポイント。

逃げ切りも、小集団の抜け出しも、ふるいが掛かった集団でのフィニッシュもありそうな、なんとも予想が難しいレイアウトな気がする。

 

アクチュアルスタート後、今大会で初めて「アタック合戦」の様相になり、1時間以上に渡って逃げが決まらない展開に。

レース開始後90kmの平均速度が50km/hを超えるとんでもないハイペースが続いた末に、最初のカテゴリー山岳(3級)でやっと形成された逃げ集団は、18人とかなりの大所帯。

しかも、総合のタイム差が1分以内のルディ・モラール(グルパマFDJ)とフレッド・ライトバーレーン・ヴィクトリアス)、すでにタイムは失いつつもかなりの力があるマルク・ソレル(UAEチームエミレーツ)やヨナタンカイセド(EFエデュケーション・イージーポスト)やファウスト・マスナダ(クイックステップ・アルファヴィニル)やグレゴール・ミュールベルガー(モビスター・チーム)など、結構強力なメンバー構成になっている。

一方、メイン集団を牽引するのは総合リーダーのプリモシュ・ログリッチを擁するチーム・ユンボ・ヴィスマ。

逃げ集団に4分を超える程度のリードを与えつつ、終盤に差し掛かっても積極的にタイム差を縮める動きは見せない。

先頭集団に逃げ切らせて、一旦リーダージャージを譲る構えだ。

 

ステージ優勝と、一部の選手はマイヨ・ロホ着用に向けて、逃げ集団はやはり勝負所と目されていた2級山岳で動きが出てくる。

まず、1度目の登坂でアタックを仕掛けたのはローソン・クラドック(チーム・バイクエクスチェンジ・ジェイコ)。

この動きにヴィクトル・ランゲロッティ(ブルゴスBH)が合流、残された選手は登坂で脱落者もポロポロ出しつつ、下りで前の2人を捕まえる事に成功。

遅れた選手も何人かは先頭に復帰しつつ、2度目の登坂に入る前の平坦区間で抜け出しを図ったのは、登坂では一旦遅れていたジェイク・スチュアート(グルパマ)。

これは…ステージ狙いというよりはマイヨ・ロホ狙いのモラールを助ける動きか。

 

2度目の2級山岳突入の時点で、スチュアートと追走集団のタイム差は45秒ほど。

思ったよりも広がったけれども、これは多分後ろが追いつく…はず。

と思いながら見ていると、追走集団は登坂でまた人数を減らしていく。

ダリル・インピー(イスラエル・プレミアテック)とか、生き残れたらスプリント力もあるから面白かったんだけれども…。

残り16.4km、山頂まで2kmほどの位置で追走集団から抜け出したのは…直前まで少し苦しそうな様子も見せていたソレル!

あの様子は演技だったのか、それともただのペース走だったのか…?

とにかく、ソレルはかなり良いペースで登り続けて、あっと言う間にスチュアートを捉え、そしてそのまま抜き去っていく!

ソレルは後続と10秒ほどの差を付けて山頂を通過、残すはダウンヒルと平坦区間のみ、14kmを逃げ切れるか。

 

追いかける小集団は、総合58秒遅れのモラールと総合1分2秒遅れのライトが同居していて、イマイチ協調が取れない…!

モラールはライトにタイム差を取られずにフィニッシュすればいい状況だから、牽引に加わらない。

一方のライトはモラールを千切る(タイム差を付ける)か、もしくはステージを勝ってボーナスタイムを獲得する必要があるけれども…。

残りのレイアウトではモラールを千切るのは難しいし、ステージを勝ちに行くためにはまずソレルに追いつく必要があり、そのために脚を使うとステージを勝つのが難しくなると言うジレンマ。

これは…タイム差が小さくてもそのままソレルが行ってしまうかも。

 

マスナダやクラドックやインピーという登りで遅れた選手が追走集団に合流したけれども、独走するソレルと協調の獲れない追走という構図は変わらないまま、フィニッシュまでの距離はどんどん縮まっていく。

ただ、タイム差も僅かに縮まってはいる。

残り5kmで8秒。

残り4kmで6秒。

と思っていたら残り3kmで追走からアタックも掛かり、やや混沌とした状況に。

そしてそこから、中継画面にタイム差も表示されなくなる…!?

残り1km、空撮映像からの目視だと、ソレルと追走の差は4秒ぐらいとかなり近づいている!

最後のカーブを抜けて残り500m、ここで追走の先頭に「出された」のはライト。

脚を残したいライトは明らかにペースダウン、そして他の選手は…前を牽かない!?

まさかまさかの、この局面でなんとも「キレイ」なお見合い状態!!

当然、先頭のソレルは全力で踏み続ける…!!

ソレルは残り100mを切ってから後ろを確認、そして勝利を確信!!

最後は余裕のガッツポーズを見せながらのフィニッシュ!!

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ソレルが2年振り2度目となるブエルタでのステージ勝利!!

力強い独走で混沌の展開を制してみせた!!

絶妙なタイミングでの仕掛けとそこからの独走は、まさに2年前と同じ得意のパターン!

なんだか成績が安定しない印象もあるけれども、やっぱり強いんだよなぁ…。

とにかく、スペインに突入してから2日目でスペイン人が勝利を挙げたのは素晴らしい!

 

そして、マイヨ・ロホはレース展開を巧みに利用したモラールが獲得!

モラールは、2018年以来2度目のマイヨ・ロホ獲得。

次の第6ステージが1級山岳フィニッシュなのでなかなか大変だけれども、前回は4日で失ったリーダージャージを、今回はどこまで守れるか。