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【レース感想】ジロ・デ・イタリア2022 第16ステージ

クイーンステージを制したのは…

3つの1級山岳を超え、獲得標高が5,250mにもなる今大会のクイーンステージ。

設定が厳しいと話題になっている3週目、いよいよ総合勢による山岳バトルが本格化するのか。

 

最序盤のアタック合戦で出来上がった逃げ集団は、最初の1級山岳で20人強に人数を増やす事に。

山岳賞争いを見据えるクーン・ボウマン(チーム・ユンボ・ヴィスマ)やジュリオ・チッコーネ(トレック・セガフレード)の他にも、サイモン・イェーツ(チーム・バイクエクスチェンジ・ジェイコ)、ワウト・プールス(バーレーン・ヴィクトリアス)、アレハンドロ・バルベルデ(モビスター・チーム)、ティメン・アレンスマン(チームDSM)、ウィルコ・ケルデルマン(ボーラ・ハンスグローエ)、ヒュー・カーシー(EFエデュケーション・イージーポスト)など、様々な思惑を持った豪華メンバーが含まている。

山頂を先頭通過したのはチッコーネ(+40pt)、続いてマリア・アッズーラを着用するボウマン(+18pt)が通過。

これで、ボウマンが127pt、チッコーネが98ptと、その差が縮まってきた。

 

続く2つ目の1級山岳では、先頭から以下の7人が飛び出る事に。

  • プールス
  • ボウマン
  • カーシー
  • バルベルデ
  • アレンスマン
  • レナード・ケムナ(ボーラ)
  • ヤン・ヒルト(アンテルマルシェ・ワンティゴベールマテリオ)

ボウマンが生き残った一方でチッコーネが脱落したので、今度はボウマンが40ptを稼いで再びチッコーネを突き放す事に成功。

一方、先頭から5分ほど後方のメイン集団も、20人ぐらいに絞り込まれてきている。

下り区間で総合5位のドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(アンテルマルシェ)が落車するアクシデントもあったけれども、ポッツォヴィーヴォはなんとか集団に復帰。

総合上位勢がしっかり揃った状態で、最後の1級山岳に突入する事に。

 

1級山岳の手前にある「スプリントポイントが設定された起伏」で、ボウマンが脱落。

そしてそこからの下りで、山岳逃げの名手であるケムナが抜け出しに成功。

1級山岳に入ると、プールスがメイン集団でのアシストをこなすために追走集団から離脱。

残り17kmを切り、先頭のケムナと追走集団は50秒ほどのタイム差、メイン集団はそこからさらに2分強ほど後方を走っている。

残り13.6km辺り、追走集団からアレンスマンが飛び出し、少し様子を窺ってからヒルトがこれを追走。

そしてアレンスマンとヒルトは、残り8.6kmでケムナをキャッチ…と同時にアレンスマンが加速、そのまま抜き去っていく!

この動きに食らいついたヒルトは、残り7.9kmでアタック!!

ヒルトは一発でアレンスマンを突き放して、そのまま独走を開始!!

 

一方その頃、メイン集団はリチャル・カラパス(イネオス・グレナディアーズ)、ジャイ・ヒンドレー(ボーラ)、ミケル・ランダ(バーレーン)と、今大会登坂で最強の3人のみに。

お互いにアタックを繰り出す場面はありながら、誰も抜け出せず、そして誰も脱落しないままフィニッシュへの距離を減らしていく。

 

先頭のヒルトは脚を緩めずに登り続け、アレンスマンに15秒ほどのタイム差を付けて山頂を通過。

雨に濡れた危険なダウンヒルのコーナーも問題なくこなして、単独でフィニッシュ地点へ!!

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ヒルト、31歳にしてグランツール初勝利!!

ケムナを落ち着いて自分のペースで追走し、そしてアレンスマンを一発のアタックで突き放すその強さ!

今シーズンはツアー・オブ・オマーンでも総合優勝にステージ1勝と、その強さは決して一過性のものではなさそうだ。

 

ヒルトから1分24秒遅れて、3位のボーナスタイムを目指して総合勢の3人(とバルベルデ)がフィニッシュ地点でスプリント!

先行したヒンドレー、差しに行くカラパス、その差は際どいぞ…。

4秒のボーナスタイムを獲得したのは…ヒンドレー!

これで、総合首位カラパスと2位ヒンドレーのタイム差は、わずか3秒に。

 

そして、早々に総合上位3人から遅れたように見えたジョアン・アルメイダ(UAEチームエミレーツ)は、意外にもカラパス達から14秒遅れでフィニッシュ。

「ペース走での粘り」が身上とは言え…ちょっと異常にも見えるその粘り強さで、現在44秒遅れの総合3位。

残りの山岳ステージでも、最終日の個人タイムトライアルで総合優勝が狙えるような位置に踏みとどまれるか。