単独では厳しいなら、集団を形成するのみ!
今まで初心者向けの用語解説記事をいくつか書いてきましたが、ロードレースには「説明しないと分からないけど、記事を書くほど内容がある訳ではない」というような用語もたくさんあります。
この記事ではそんな用語をサクサクっと説明していき、観戦初心者の皆さんが少しでもロードレースを楽しむ助けになればいいなと思います。
それぞれの説明は短いので内容的にはとても薄いかもしれませんが、まぁ、気軽に読んでいただければ幸いです。
細かすぎて記事にならない用語たち
・ドラフティング
前を走る選手を風除けとして利用し、自身が受ける空気抵抗を軽減する事。
モータースポーツでの「スリップストリーム」と同義(というか、ロードレースでもスリップストリームと言う場合も)。
用例:「ドラフティングを使う」「ドラフティングに入る」
・トレイン
上述のドラフティングを活用する為に、同チームの選手が1列に並んでいる事。
特にスプリント直前に形成されるものは「リードアウト・トレイン」や「スプリント・トレイン」と呼ばれたりします。
・無賃乗車(タダ乗り)
スプリント時に他チームのトレインを利用する事。
アシストとはぐれた場合にスプリントで勝利するためのテクニックの1つとなっていて、現役選手だとペテル・サガン(ボーラ・ハンスグローエ)が上手な事で有名です。
イタリア語で「集団」の意味で、厳しい山岳ステージでメイン集団から大きく遅れた選手たちが形成する集団の事。
ステージレースには制限時間が設けられているので、タイムアウトで失格になる事を防ぐためにチームの垣根を越えて協力しながらゴールを目指し、登りは遅れる選手が出ないようにゆっくり走り、下りや平坦区間では先頭やメイン集団よりも速いペースで進んでいきます。
スプリンターや山岳が苦手なタイプのルーラーなどは、山岳ステージをこのグルペットでクリアしていく場合が殆どです。
・DNSとDNF
DNSは「Did Not Start」の略で、読んで字の如く「レース出走前の棄権」の事。
DNFは「Did Not Finish」の略で、こちらは「出走後の途中リタイア」の事。
他のスポーツでも用いる言葉ですが、棄権やリタイアの多いロードレースでは特に使われることが多いです。
ツイッターなどでは文字数を減らすためかよく見かけるので、覚えておいて損はないですし、たまに日本語の実況解説でも使われたりします。
・GC
「General Classification」の略で、ステージレースでの総合成績の事。
総合成績を争ういわゆる「総合系の選手」の事を「GCライダー」と呼んだりする事もあります。
・追走集団
先頭を走る「逃げ集団」と、後方にいる「メイン集団」の間にいる集団の事。
先頭の「逃げ集団」に追いつきたい場合もあれば、「メイン集団」より前方にいる事に意味がある場合(後でメイン集団のエースをアシストするための「前待ち」という作戦など)もあります。
・ブリッジ
前方を走る集団に追いつくために、今いる位置から飛び出す事。
用例:「メイン集団から2人の選手がブリッジを架けようとしている」「無事に追いつきブリッジに成功」
・いも掘り
ブリッジを架けようと飛び出すも、結局前方に追いつけず無駄に脚を使ってしまう事。
語源は「徒労に終わる」みたいな意味のフランスの慣用句らしいです。
・ハスる
自分の前輪を前方の自転車の後輪にぶつけてしまう事。
当たり前ですが、落車の原因になります。
語源は調べてみてもよく分かりませんでした…。
・ネオプロ
25歳以下で、ワールドチーム又はプロチームと初めて契約する選手の事。
ロードレースの世界では新人選手の事を「ルーキー」とは呼ばず、このように呼びます。
原則として、ネオプロの契約は2年契約が義務付けられています。
ちなみに、「ワールドチーム又はプロチームとの契約」なので、コンチネンタルチーム所属の選手はカウントしません。
・グラベル
砂利道などの未舗装路の事。
その荒れた路面がパンクや落車の原因になるので、コース上にグラベル区間があると難易度が上昇してしまいます。
イタリアのワンデーレース「ストラーデ・ビアンケ」は約70kmのグラベル区間のある過酷なレースとして有名です。
・パヴェ
通常の舗装ではなく、石畳でできた道の事。
グラベルと同様(それ以上?)に走りづらく、荒れ具合によってはパンクや落車が多発してしまいます。
「パリ~ルーベ」ではその荒れた石畳が、「ロンド・ファン・フラーンデレン」では激坂にある石畳が、その過酷さ故に名物となっています。
・栗村修
元ロードレース選手・監督で、J SPORTS中継の解説者としてお馴染みの人物。
現在の主な肩書は「一般財団法人日本自転車普及協会主幹調査役」「ツアー・オブ・ジャパン大会ディレクター」などがあります。
高校を中退して単身フランスに渡る熱意とバイタリティ、一旦帰国するも再度渡欧しポーランドのプロチームと契約する実力、引退後はミヤタ・スバルレーシングチームや宇都宮ブリッツェンで監督を務める手腕と人望など、その経歴を読むだけで凄さが伝わってくる日本ロードレース界の最重要人物の1人です。
J SPORTSでの解説などで披露する親しみやすいトークは、ロードレース観戦人口を増やす大きな要因の1つとなっています。
また、「当たらない優勝予想」をする解説者として名高く、「微妙すぎるダジャレセンス」と「伝わりにくい例え話」も評価が高いです。
冗談抜きに、浅い部分から深い部分まで、日本ロードレース界の未来はこの人の双肩にかかっていると言っても過言ではないでしょう。
(※画像はご本人のTwitterから:Osamu Kurimura / 栗村修 (@osamukurimura) | Twitter)
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栗村さん、申し訳ありませんでした
最後に少し暴走してしまいましたが、細かな用語集、いかがだったでしょうか。
まだまだ拾い切れていない用語も色々あると思うので、また折を見て同じような事をやっていこうかなと思っています。
あとは、栗村さんに謝辞を。
栗村さん、いつもJ SPORTSでの楽しい解説をありがとうございます。
YouTubeで見た、2010年のロンド・ファン・フラーンデレンとパリ~ルーベでの栗村さんの解説が無ければ、自分がこんなにロードレースにハマる事は無かったと思います。
ロードレースという素晴らしい世界へ引き込んでいただき、本当に感謝しています。
栗村さんの益々のご活躍と日本のロードレース界の更なる発展を願いつつ、今回はここで筆をおきたいと思います。
それでは、また!