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【レース感想】ブエルタ・ア・エスパーニャ2021 第3ステージ

霧の1級山岳

1級山岳の山頂フィニッシュという事で、早くも総合争いに動きがありそうな第3ステージ。

 

この日の逃げは、リリアン・カルメジャーヌ(AG2Rシトロエン)、ケニー・エリッソンド(トレック・セガフレード)、ジョセフロイド・ドンブロウスキ(UAEチームエミレーツ)、レイン・タラマエ(アンテルマルシェ・ワンティゴベールマテリオ)といった実力者も含んだ8人。

一方、リーダージャージのプリモシュ・ログリッチを抱えるチーム・ユンボ・ヴィスマがコントロールするメイン集団は、この逃げ集団の逃げ切りを容認するようなペースを保ち、そのタイム差は8分以上も開く事に。

まあユンボとしては、3週間という長丁場の序盤から牽引の責任を負い続けるのは、避けられるならもちろん避けたいというのが本音か。

 

このまま逃げ集団でステージ争いをしつつ、更にはその中から新たな総合リーダーが誕生するのが確実と思っていたら、残り20km地点にある3級山岳に入ると逃げとメイン集団のタイム差は一気に減少していく。

タイム差は4分前後にまで縮まり、もしこのまま最後の1級山岳に突入すると逃げ切れるか何とも判断しにくい状況になってくる中、逃げ集団からカルメジャーヌがアタックを仕掛けて独走を開始する。

 

そしていよいよレースは今大会最初の1級山岳、ピコン・ブランコ(登坂距離7.6km・平均勾配9.3%)に突入。

先頭はカルメジャーヌが単独、その20秒程後方に追走が7人、そしてカルメジャーヌから4分弱遅れてメイン集団という並び。

勝利に向けて先頭で積極的な姿勢を見せていたカルメジャーヌも、エリッソンドやタラマエが追走集団のペースを上げると、残り6.6km辺りで一旦吸収されてしまう。

それでもカルメジャーヌはまたアタックを試みるけれども、逆にドンブロウスキが残り4.5kmの急勾配区間で仕掛けると、力尽きて遅れていってしまった。

ドンブロウスキの加速について行けたのは、エリッソンドとタラマエの2人のみで、ステージ勝利争いはこの3人に絞られる格好に。

 

一方のメイン集団は、バーレーン・ヴィクトリアスがトレインを組んでペーシングを行い、集団の人数を徐々に削っていく。

ユンボの最重要山岳アシストであるセップ・クスや、ヤングライダージャージを着用するアンドレア・バジョーリ(ドゥクーニンク・クイックステップ)が早々に遅れていき、そしてイネオス・グレナディアーズのトリプルエースの1人であるリチャル・カラパスが集団後方に何とかしがみついているようなかなり苦しい状態に。

ダヴィ・デラクルス(UAE)のアタックは一旦吸収され、メイン集団の前方に人数を集めているのはバーレーンとモビスター・チーム。

イネオスはアダム・イェーツが集団前方、エガン・ベルナルは集団の中ほど、そしてカラパスは少し集団から遅れてしまっている…。

そしてクスが早くも脱落してしまったユンボは、なんとアシストが全滅してログリッチ1人だけという、かなり意外な状況に。

これは…早くも総合に動きが出るか。

 

ステージ勝利を争う先頭では、残り2.8km辺りでタラマエがアタックに成功して独走を開始!

少し前から苦しそうだったエリッソンドは全く対応できず、そして直前までタラマエとアタックを打ち合っていたドンブロウスキも、じわじわと離されていく!

タラマエは最後までペースを崩さず、単独で霧の中のフィニッシュ地点へやってくる!

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今大会最初の山頂フィニッシュは、タラマエの見事な逃げ切り勝利!

タラマエはブエルタでは10年振りとなる勝利、更には総合リーダーとなりマイヨロホを獲得!

そしてワンティとしても、ジロに続いて今シーズングランツール2勝目という、価値のある勝利に!

勝負所をしっかり見極めたタラマエのベテランらしい冷静さは、本当に素晴らしかった!

 

一方のメイン集団は、オスカル・カベド(ブルゴスBH)のアタックなどをきっかけにペースが上がり、かなり人数が絞られる展開に。

フィニッシュ手前で集団を牽いてペースを上げているのは、なんとアレハンドロ・バルベルデ(モビスター)。

偉大な大ベテランのリードアウトを受けたエンリク・マスが残り120mからアタックを仕掛けると、若干のタイムギャップを作ってフィニッシュに飛び込む事に成功!

そのマスから3秒遅れでフィニッシュしたのは、ミゲルアンヘル・ロペス(モビスター)、ログリッチ、アダム・イェーツ、ミケル・ランダ(バーレーン)、ジュリオ・チッコーネ(トレック)、エガン・ベルナル、バルベルデの7人。

その集団(実質総合首位のログリッチ基準)から7秒遅れでファビオ・アル(チーム・クベカ・ネクストハッシュ)、12秒遅れでデラクルス、21秒遅れでヒュー・カーシー(EFエデュケーション・NIPPO)、29秒遅れでロマン・バルデ(チームDSM)とアレクサンドル・ウラソフ(アスタナ・プレミアテック)、そして1分遅れてカラパスがフィニッシュ。

総合勢で大きく抜け出した選手はいないけれども、結構タイムを失った選手はいる、と言った感じか。

ただ、まだ第3ステージが終わっただけであり、まだまだ序盤も序盤。

ここからどのようにレースが展開していくか、楽しみにしたい。