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【レース感想】イル・ロンバルディア2021

最高の締めくくり方

モニュメントの1つ、そして今シーズン最後のワールドツアーであるイル・ロンバルディア

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今年は5年振りにコモ湖スタートのレイアウトでの開催となり、その獲得標高は4500m以上。

そんな「クライマーズ・クラシック」にはやはりトップクラスのクライマーやオールラウンダーが集結し、優勝候補は大体こんな感じかな。

なんだかグランツールかと思うような豪華な選手が出場する中、自分の予想がこちら。

絶好調のログリッチをそのまま本命に据えてみる。

そして前哨戦では爆発的な強さは見せなかったポガチャルの扱いに迷いつつ、流石に予想から完全に除外はしないという判断。

 

いよいよ、今シーズン最後のワールドツアーがスタート。

この日の逃げはティム・ウェレンス(ロット・スーダル)やヴィクトール・カンペナールツ(チーム・クベカ・ネクストハッシュ)などを含む10人。

ユンボがコントロールするメイン集団とのタイム差は最大で6分ほど。

 

レースが動き出したのは残り90kmを切ってから登場する、「ドッセーナ」と「ザンブラ・アルタ」の連続した登坂から。

ドッセーナ」の登坂ではエディ・ダンバー、パヴェル・シヴァコフ、テイオ・ゲーガンハートというイネオスの選手が積極的なアタックを見せ、他にもいくつかのアタックが起こるけれども、これらは一旦全て吸収。

ドッセーナ」を超えて「ザンブラ・アルタ」に入ると、残り72km辺りでゲイガンハート、ファウスト・マスナダ(ドゥクーニンク)、ヨナス・ヴィンゲゴー(ユンボ)、マルク・ヒルシ(UAEチームエミレーツ)、ロマン・バルデ(チームDSM)という強力なメンバーがメイン集団から飛び出す事に。

これを追いかけるメイン集団もやはりペースが上がり、サイモン・イェーツ(チーム・バイクエクスチェンジ)やレムコ・エヴェネプール(ドゥクーニンク)といった有力選手が早くも集団から脱落しそうになるという意外な展開も。

ただ、飛び出した5人はメイン集団に吸収され、サイモン・イェーツやエヴェネプールもなんとかメイン集団にしがみついた状態でダウンヒルに突入。

そして逃げていた選手もこの長いダウンヒルで全て吸収され、レースは振り出しに戻った状態で最大の勝負所となる「パッソ・ディ・ガンダ(登坂距離9.1km、平均勾配7.3%)」を迎える事に。

 

ドゥクーニンクがコントロールしていたメイン集団のペースを上げたのは、ティシュ・ベノート(DSM)。

このベノートの牽引はなかなか強力で、サイモン・イェーツ、エヴェネプール、リゴベルト・ウラン(EFエデュケーション・NIPPO)、アレクサンドル・ウラソフ(アスタナ・プレミアテック)など、結構な数の有力選手が集団から零れ落ちていく事に。

ベノートが仕事を終えた直後、残り37.4km地点で集団から飛び出したのはなんとヴィンチェンツォ・ニバリ(トレック・セガフレード)!!

この動きは一旦捕まるけれども、ニバリは直後にまたアタック!

過去にこの大会を2度制している大ベテランが積極的にレースを動かす、なかなか熱い展開だ…!

ニバリの2度目のアタックに反応したのは、ポガチャル、バルデ、シヴァコフの3人。

集団は意外にも、この4人を積極的に捕まえようとはしない…?

 

残り35.5km、4人の先頭集団から飛び出したのはポガチャル!!

このポガチャルの動きに、誰も付いていけない!!

一緒に走っていた3人がメイン集団に吸収されるのを尻目に、ポガチャルは独走を開始!!

そのまま単独で山頂を通過したポガチャルを35秒遅れで追走する集団は…9人。

アラフィリップ、マスナダ、ログリッチ、ヴィンゲゴー、アダム・イェーツ、バルデ、ダヴィド・ゴデュ(グルパマFDJ)、アレハンドロ・バルベルデ(モビスター・チーム)、マイケル・ウッズ(イスラエル・スタートアップネーション)と、流石に精鋭しか残っていない。

テクニカルなダウンヒルでこの追走集団から飛び出したのは、フィニッシュ地点であるベルガモ出身のマスナダ!

コースを知り尽くしているという地の利を活かして、ポガチャルとの差をじわじわと縮めていき…ダウンヒルを終える直前でポガチャルとの合流に成功!!

先頭の2人と追走集団とのタイム差は45秒、そして残り距離は16km。

これは…勝負はポガチャルとマスナダの2人に絞られた格好だ。

 

追走集団はアラフィリップが「重し」となっている事、そしてエース同士が牽制し合っている事で、やはりペースが上がらない。

一方先頭では、合流直後はローテーションする姿も見せていたマスナダだけれども、後方にアラフィリップがいるという事もあり途中からはポガチャルの「付き位置」を選択。

スプリントでは明らかに分があるポガチャルと、その脚を少しでも削りたいマスナダ。

そんな2人の前に残り4kmで登場するのが、スプリント以外の決着の可能性を提示する「コッレ・アペルト(登坂距離1.3km・平均勾配7.2%)」。

「239kmの過酷な道程を経てのスプリント」というある意味何が起こるか分からないシチュエーションを嫌ってこの「コッレ・アペルト」で動いたのは…ポガチャル!

ベルガモ旧市街地の美しい景観を背に、石畳区間の登坂で加速するポガチャル。

しかし、地元の声援を受けるマスナダもしっかりと食らいつく!!

ポガチャルは再びアタックを仕掛けるも不発に終わり、逆にマスナダがカウンターを繰り出すけれども…これも決まらない。

勝負はやはり、スプリント争いに。

 

ダウンヒル、そして最後の平坦区間でも、マスナダは頑なに前に出ない。

ポガチャルは後ろに張り付いているマスナダの動きを細かく振り返って確認しながら、最終ストレートに突入。

残り150m、先にスプリントを開始したのはマスナダ!

しかし前を走るポガチャルの反応も抜群に良くて、殆ど同時のようなタイミングで腰を上げてペダルを踏みこむ!!

総合系の選手としては破格のスプリント力を有するポガチャルは、後方で脚を貯めていた筈のマスナダを横にすら並ばせない…!!

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これぞ圧倒的な王者の走り!!

ポガチャルがリエージュ~バストーニュ~リエージュに続いて、今シーズンモニュメント2勝目!!

登りでライバルを置き去りにするその登坂力、そして他の「登れる選手」とは一線を画するレベルにある独走力とスプリント力。

その圧倒的な才能で、結果を残し続けた今シーズンを最高の形で締めくくったポガチャル。

この若き王者は、来年以降も変わらずに結果を残してくれそうだ。

 

惜しくも2位に終わったマスナダは、本来はアシストとしての出場ながらその積極的な走りと調子の良さ、そして地元の声援を力に変えての走り、本当に素晴らしかった!

来年以降の契約がまだ発表されていないけれども、ツール・ド・ロマンディ総合3位というリザルトなどと合わせて、これだけの結果を残したなら恐らくドゥクーニンクと契約延長すると思う。

 

後方集団でのスプリント勝負となった3位争いは…真っ先に飛び出したログリッチを差して、アダム・イェーツが勝利!!

アダム・イェーツは調子がかなり良さそうだったから、「パッソ・ディ・ガンダ」でポガチャルに反応できなかったのが悔やまれるけれども、モニュメントで3位は立派な成績だ。

スプリントでログリッチを制した事も含めて、今後に期待を抱かせてくれる内容だったと思う。

 

これにて、今シーズンのワールドツアーは終了

今シーズンの締めくくりとなるイル・ロンバルディアも、モニュメントに相応しい熱くて素晴らしいレースだった!!

シーズンの最後まで全力を出してくれた選手達には、本当に感謝したい!!

 

グランツール、モニュメント、そしてその他のワールドツアーを中心にレース感想記事を書いてきたけれども、これで今シーズンの感想記事は終了!

まあ、レースの無い期間もまた色々と書いていくので、ぜひ楽しんでいって下さい。

 

それでは、また!

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