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【レース感想】クラシカ・サンセバスティアン2021

嬉しいプロ初勝利!

ロードレース熱が高いスペイン、その中でも特に熱狂的なファンが多い事で知られるバスク地方に於ける最大のワンデーレース、クラシカ・サンセバスティアン

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昨年は新型コロナウイルスの影響で中止となってしまったけれども、今年は無事に開催!

バスク地方らしい厳しいアップダウンが特徴のレースだけあって、やはり優勝候補と言えるのは登れる選手。

主な注目選手はこんな感じかな。

前回大会(2019年)を制したレムコ・エヴェネプール(ドゥクーニンク)は出場しないけれども、優勝経験者を中心になかなか熱いメンバーが揃っている中、自分の予想がこちら。

手堅い予想…と見せつつ、大穴にはベイビー・ジロ(U23版ジロ)で圧倒的な走りを見せた超大型新人、UAEチームエミレーツのフアン・アユソを選んでみる。

 

1週間前に行われた東京オリンピックからの連戦組(更に言えば、ツール→オリンピックからの連戦組)のコンディションも気になる中、レースはスタート!

この日の逃げはワールドチームの選手も意外と多く含んだ16人。

メイン集団はトレック、イネオス、ユンボ辺りの選手達が牽引して、タイム差を3~4分程度にコントロールしている。

 

レースに動きが出てきたのは、残り50km辺りから登り始める1級山岳エライツ峠(登坂距離3.9㎞・平均勾配10.6%)から。

UAEチームエミレーツやEFエデュケーション・NIPPOがメイン集団を牽引して逃げとの距離を近づけると、ミケル・ランダがアタックを仕掛け、そこにサイモン・カー(EF)が反応。

メイン集団から抜け出した2人は、直前の2級山岳で単独の先頭となっていたハビエス・ロモ(アスタナ・プレミアテック)もそのまま抜き去っていく。

そしてそこからカーが加速するとランダは付いていけず、カーが先頭で山頂を通過。

 

雨に濡れたダウンヒルでペースが上がらないメイン集団とカーのタイム差は少し開き、その後の平坦区間で追走を仕掛けた4人、ミッケルフレーリク・ホノレ(ドゥクーニンク)、マテイ・モホリッチ(バーレーン)、ニールソン・ポーレス(EF)、ロレンツォ・ロタ(アンテルマルシェ・ワンティゴベールマテリオ)がカーに合流して、先頭は5人に。

45秒ほど後方のメイン集団はトレックのジャンルカ・ブランビッラが主に牽引するけれども、思うようにペースが上がらない…というか、かなり人数が減っていて、組織だった追走をするだけのアシストが残っていない?

先頭とのタイム差は気が付けば1分以上に広がり、そして残り距離は15kmを切っている。

これは…逃げ切りが濃厚か?

 

残り10km、先頭集団の逃げ切りがほぼ確定と言う状況のまま、いよいよ最後の勝負所となるムルギル・トントラ(登坂距離2.1km・平均勾配10.1%)に突入。

ここで仕掛けたのは、カーのおかげで力を温存できていたポーレス!

山頂まで1km辺りの激坂区間でアタックすると、単独での抜け出しに成功!

しかし、頂上の直前でモホリッチとホノレが、更には直後の平坦区間でロタがなんとか食らいつき、アシストを終えて下がっていったカーを除く4人でダウンヒルに入る。

残りの区間に差を付けるような登り勾配は無いので、「このまま4人でスプリントか、それともモホリッチは得意のダウンヒルで抜け出すか」なんて考えていたら、まさかの出来事が。

なんと、現役屈指のダウンヒル巧者であるモホリッチが、雨に濡れた路面の影響もありコーナーでバランスを崩す!?

モホリッチはなんとかこらえて落車を免れるけれども、後続のホノレがフェンスに激突して落車、その衝撃で宙にはじかれたホノレのバイクがロタのバイクと接触してロタも落車してしまう。

結果、先頭はモホリッチとポーレスの2人に絞られた…と思ったら、なんとホノレが落車から素早くリカバリーして先頭に合流!?

ホノレのタフさと勝利への執念に驚くと同時に、無理していないか少し心配ではあるけれども、3人はそのままフィニッシュへ向かう平坦区間に入っていく。

 

フィニッシュ手前、先頭を牽く(牽かされている?)のはモホリッチ、その後ろにポーレス、最後尾にホノレの順。

先頭で風を受けているモホリッチ、スプリントは未知数なポーレス、そして落車からの復帰に脚を使ったホノレと、果たして誰が有利か全く分からない状況!

真っ先に仕掛けたのは、先頭のモホリッチ!

背中に張り付いているポーレスもモホリッチのスリップストリームを利用して加速、モホリッチの横に並んでくる!

ギリギリまで溜めていたホノレも、最後の最後に飛び出そうと加速を見せる!!

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熱戦のスプリントを制したのはポーレス!!

ムルギル・トントラで仕掛ける積極性、サイクルコンピューターに映し出されていたという危険なコーナーの情報をしっかり見て危機を回避した冷静さ、そして自分のタイミングでスプリントを仕掛ける余裕、全てが噛み合っての見事な勝利!

そしてポーレスは、これが嬉しいプロ初勝利!!

フィニッシュ後に坂本拓也マッサーと喜ぶ姿は、見ているこちらも嬉しいね!

おめでとう、ポーレス!!

 

恒例の勝負所であるムルギル・トントラでのアタックではなく、その手前から抜け出していた選手によるスプリント勝負という、少し意外な形の決着となった今年のクラシカ・サンセバスティアン

いわゆる優勝候補、アラフィリップやモレマなどによる激坂での争いを期待していた人は少し肩透かしを食らったかもしれないけれども、それでもこの日の展開はかなり面白かった!

先行して抜け出していたカーの果たした役割、追走の4人を見送ったメイン集団の判断、ムルギル・トントラの登りとダウンヒルでの攻防、そして最後まで分からないスプリントと、ワンデーレースらしい見応えのある内容だったと、個人的には感じたかな。

そして優勝したポーレスは、これまでも積極的な走りを目にする機会が多かった選手だから、この勝利をきっかけにさらに活躍してくれる事を期待したい!

それでは、また!

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