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【レース感想】ジロ・デ・イタリア2022 第3ステージ

最強のスプリントチーム

ハンガリー3連戦の最終日は、今大会最初の集団スプリントになると予想される平坦ステージ。

残り12.5km辺りに4級山岳はあるけれども、まあ普通に考えれば全く問題にはならないはず。

 

この日の逃げは、第1ステージでも2人逃げを見せたドローンホッパー・アンドローニジョカトリのマッティア・バイスとフィリッポ・タリアーニに、サムエーレ・リーヴィ(エオーロ・コメタ)を加えた3人。

メイン集団は最大で6分ほどのタイム差を逃げた3人に与えたけれども、アルペシン・フェニックスが割と早い段階からタイム差を縮めにいき、概ね2分台のタイム差を維持しながらレースは進んでいく。

 

残り132km地点の中間スプリントポイントでは、この日もメイン集団でポイント獲得の為の先着争いが勃発。

真っ先に仕掛けたのはフェルナンド・ガビリア(UAEチームエミレーツ)、追いかけるのはアルノー・デマール(グルパマFDJ)。

そのままガビリアが先着(全体4番手)、続いてデマール、その後ろにジャコモ・ニッツォーロ(イスラエル・プレミアテック)、ビニヤム・ギルマイ(アンテルマルシェ・ワンティゴベールマテリオ)という並びで通過していく。

 

残り70kmで2分15秒あった逃げとメイン集団のタイム差は、残り60kmで1分50秒差、残り50kmで1分5秒差(!?)と一気に縮まっていき、なんだか思った以上に早めに逃げが吸収されそうな展開に。

残り44km、もうメイン集団が逃げまで25秒という位置に迫ると、捕まるのを嫌がってか、先頭からリーヴィがアタック。

バイスはこの動きに食らいつく一方、チームメイトのタリアーニはここで脱落。

2人逃げとなった先頭をメイン集団は再度容認して、タイム差は再び1分以上に拡大。

ただ、やはりこれは泳がされていただけで、残り28kmでメイン集団は逃げをしっかりと捕まえる。

 

残り12.5kmの4級山岳の手前でメイン集団から飛び出したのは、リック・ツァベルイスラエル)とパスカル・エーンクホーン(チーム・ユンボ・ヴィスマ)。

共に前日の第2ステージで山岳ポイントを獲得していて、この日の山岳を先頭通過すれば山岳賞ジャージ着用のチャンスがある2人、先着したのはエーンクホーン。

これで2人は山岳賞ポイントが5ptで同点となり、総合順位の関係で山岳賞ジャージはツァベルが獲得。

しっかりと目的を果たしたツァベルがすぐさまペースを落として集団に戻った一方、エーンクホーンはそのまま踏み続けて単独での逃げを敢行。

ただ、当然ながらメイン集団はこの先行を許す訳もなく、残り6kmでエーンクホーンを吸収。

今大会最初の集団スプリントに向けて、集団の緊張が高まっていく。

 

残り5km、グルパマ、クイックステップ・アルファヴィニル、アンテルマルシェ、イスラエルなど、スプリンターを抱えるチームがトレインを組んで先頭に横並びの状態。

残り3.5km、危険回避の為に最前列へ出てきたイネオス・グレナディアーズの動きを上手く利用して、アンテルマルシェのトレインが良い形を作っている。

残り3km、アルペシン・フェニックスの隊列がコースの端から最前線へと上がっていく。

マリア・ローザを着るマチュー・ファンデルプールはトレインの後ろから3番手、ヤクブ・マレツコのためのリードアウト役か。

残り2km、両サイドに2本の集団ができるような格好、それぞれ先頭はアルペシンとイスラエル、他のチームはその後方で機を窺う。

残り1.5km、バーレーン・ヴィクトリアスやチームDSMが位置を上げて来るけれども、隊列が途切れてしまっている苦しい展開。

そんなタイミングで最前列へスルスルっと抜け出してきたのは、ここまで大人しかったクイックステップのトレイン。

先頭にダヴィデ・バッレリーニ、2番手にベルト・ファンレルベルフ、最終発射台としてミケル・モルコフ、そして最後尾にマーク・カヴェンディッシュと、完璧な隊列だ!

残り500m辺りからグルパマやUAEのトレインがなんとか横に並ぶけれども、クイックステップはここからモルコフが更なる加速を見せて、残り300mと少し早いタイミングながらカヴェンディッシュを発射!!

追いかけるのはガビリアとデマール、フェンス際のガビリアはスペースが無くて少し苦しいか。

デマールも全力で踏み込むけれども、カヴェンディッシュの勢いが全く落ちない…!

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カヴェンディッシュ、改めてその存在感を知らしめる9年振りのジロでの勝利!!

最終盤のチームの働きが素晴らしかったのは間違いないけれども、あの位置から仕掛けて垂れずにそのまま勝つのは、純粋に相当強いぞ!!

またもや勝利量産態勢か?

そして、もしかすると…カヴェンディッシュがポイント賞の最有力候補かも…?

 

濃厚だったハンガリーでの3日間を終え、休息日(移動日)を挟みレースはいよいよイタリアへ。

そして迎える第4ステージは、いきなりのエトナ山での山頂フィニッシュ。

総合争いの、本格的な幕開けだ。