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【レース感想】ティレーノ~アドレアティコ2022

もう逆に驚かないよ

ティレニア海からアドリア海へとイタリア半島を横断する、「2つの海を結ぶレース」ことティレーノ~アドレアティコ。

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今年はパリ~ニースと完全に重複という驚きの日程ながら、当然こちらにもいい選手が集まっている!

www.kiwaroadrace.com

タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ)、ヨナス・ヴィンゲゴー(チーム・ユンボ・ヴィスマ)、リチャル・カラパス(イネオス・グレナディアーズ)という昨年のツール・ド・フランス総合トップ3の他にも、レムコ・エヴェネプール(クイックステップ・アルファヴィニル)、カレブ・ユアン(ロット・スーダル)、ペテル・サガントタルエネルジー)など、改めて見てみると本当にいいメンバーだ。

そんな中、自分の総合予想がこちら。

注目のエヴェネプールはどうなるかな~。

 

第1ステージ

第1ステージは、海沿いを走るド平坦な個人タイムトライアルステージ。

とりあえず自分の予想がこちら。

先月末のUAEツアー、強風の中の個人タイムトライアルでその巨体が風の影響を強く受けたためか2位に終わった世界王者フィリッポ・ガンナ(イネオス)をどうするか迷い…、逆に小柄なエヴェネプールを選択。

 

序盤の出走で良いタイムを出したのは、元アワーレコードホルダーのアレックス・ドーセット(イスラエル・プレミアテック)。

ドーセットのタイムはなかなか破られず、そのまま長時間ホットシートを温める事に。

 

出走順も終盤に入り、有力選手が続々と登場。

その中で真っ先にドーセットの記録を上回ったのは、カスパー・アスグリーン(クイックステップ)!

中間計測ではドーセットに及ばなかったけれども後半にタイムを伸ばして、フィニッシュタイムを1秒更新!

流石はアスグリーン…と言うか、逆にドーセットのタイムが結構よかったという事な気もする。

 

スグリーンの直後、アルカンシェルを身に纏ったガンナが出走。

前述の通りUAEツアーで敗れてしまったけれども…やはり速い!

中間計測でドーセットを8秒上回るハイペースを刻み、後半区間も勢いは全く衰えない!!

なんと、フィニッシュでアスグリーンを23秒上回る、驚愕のタイムをマーク!!

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何というか…相変わらず強っ!

13.9kmの個人タイムトライアルで、アスグリーンと23秒差??

いやいやいや、意味が分からない…。

 

ガンナの直後、もう一人の「意味が分からない」選手、エヴェネプールが出走。

まずは中間計測、なんとガンナから僅か2秒遅れ!

いつも思うけれども、171cmという小さな体のどこにこんな莫大な出力が潜んでいるんだろうか。

最終的に、エヴェネプールはガンナから10秒遅れの2位でフィニッシュ!

総合争いのライバル殆どに、いきなりタイム差を叩きつけてきたな…。

 

そして、最終走者はこれまた「意味が分からない」選手、ディフェンディングチャンピオンのポガチャル。

ガンナから17秒遅れ、エヴェネプールから7秒遅れのステージ3位でフィニッシュ!

えぇ…、アスグリーンより速い…。

いやまあ、2年続けてツールの個人タイムトライアルステージで勝利している選手なんだから、ある意味当然なんだけれども…。

何はともあれ、ポガチャルはエヴェネプールと共に、他の総合勢に対していきなり大きなアドバンテージを得る事に。

 

第2ステージ

終盤の起伏が少し気になるけれども、下り~平坦基調の最終盤を考えると集団スプリントになりそうなレイアウト。

 

この日の逃げはプロチームの選手のみで5人、メイン集団とのタイム差は最大で約7分。

メイン集団は、総合リーダーのガンナを抱えるイネオスと、ユアンによるスプリントでの勝利を狙うロット・スーダルが牽引を担っている。

 

逃げが中盤以降のアップダウンで人数を減らしていく展開になり、残り20km辺りでメイン集団から飛び出したのはマルク・ソレル(UAE)。

ソレルはアタックに反応したアンソニー・ペレス(コフィディス)を千切り、逃げの生き残りも軽く抜き去って独走を開始!

逃げをもう少し泳がそうとペースを緩めていたメイン集団は、アルノー・デマールでスプリントを狙うグルパマFDJが慌ててペースアップを開始。

最後の登り区間でソレルが稼いだリードは35秒。

2020年のブエルタ・ア・エスパーニャや2021年のツール・ド・ロマンディで、同じようなパターンで逃げ切り勝利を飾っているソレルだけれども…、下りを終えて平坦基調区間に入ると、少し失速。

フルメンバーを連れてきたデマール親衛隊の尽力によって、ソレルは残り3kmでメイン集団に吸収される。

 

残り3km、先頭はリーダージャージのガンナだけれども、肝心のスプリンターであるエリア・ヴィヴィアーニが見当たらなくて後ろを探すような仕草を見せている。

残り2km、良い形のトレインを作っているのは、アルペシン・フェニックス、イスラエルトタルエネルジーの3チーム。

残り1km、アルカンシェルを着たジュリアン・アラフィリップに引き連れられて、クイックステップの隊列も前に出てくる。

ただ、クイックステップはエースのマーク・カヴェンディッシュがいなくて、ダヴィデ・バッレリーニで勝負するような格好だ。

残り300m、先頭は相変わらずクイックステップがアスグリーンとバッレリーニの並び、その後ろにはサガン、ティム・メルリール(アルペシン)、フィル・バウハウスバーレーン・ヴィクトリアス)、カデン・グローブス(バイクエクスチェンジ)と続く!

バッレリーニが飛び出すと同時に、最高のタイミングでサガンもスプリントを開始!!

ただ、サガンの伸びはイマイチで、その後方からはメルリールがもの凄い勢いで飛び込んでくる!!

更に後ろからオラフ・コーイ(ユンボ)も伸びて来るけれども、メルリールが強い!!

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メルリール、強力なライバルを制して今シーズン初勝利!

昨年のジロ・デ・イタリアとツール両方で最初のスプリントステージを制していたメルリール、その「初戦」に対する強さは今年も変わっていない!

チームのもう一人のエースであるジャスパー・フィリプセンも好調なだけに、負けていられないと言ったところか。

 

ちなみに、この日の自分の予想がこちら。

ユアンは結構早い段階でトレインを失ってしまい、この日は勝負には絡めなかった…。

 

第3ステージ

前日同様、起伏はあるけれども集団スプリントが予想されるステージ。

 

この日の逃げは5人、メイン集団に対して最大で2分ほどのタイム差で先行していたけれども、残り47kmという早い時点で吸収される意外な展開に。

意外な展開は更に続く。

残り27km地点に設定されたカテゴリーの付いていない登坂の頂上にあるスプリントポイントに向けて、UAEがメイン集団のペースアップを開始。

スプリントポイントまで残り1kmを切ると、ソレルがポガチャルを率いて猛然と加速!

ここに付いていったのは意外にもアラフィリップのみで、そのままポガチャル、ソレル、アラフィリップの順でスプリントポイントを通過して、ポガチャルは目論見通り3秒のボーナスタイム獲得に成功!

そして、なんとここから3人はペースを落とさずに、新たな先頭集団を形成!?

メイン集団からは唯一テイオ・ゲイガンハート(イネオス)が飛び出してここに合流、4人でローテーションして、メイン集団に30秒のタイム差を叩きつける!

いやしかし、平坦ステージでポガチャル(ツール総合2連覇)、アラフィリップ(世界選手権2連覇)、ゲイガンハート(2020年ジロ覇者)、ソレル(2018年パリ~ニース覇者)による超豪華先頭集団か…。

なんだこれ…。

 

ただ、流石に集団は逃げ切りを許そうとしない。

下り、そしてそこからの平坦基調区間で各スプリントチームが力を出して、残り10kmで先頭の4人を吸収。

やはりこの日も集団スプリントの展開だ。

 

残り4km、このタイミングでの先頭はこの日もガンナ、前日と違い後ろにはベン・スウィフトとヴィヴィアーニがしっかりと連結されている。

残り3km、最前線に人数を送り込めているのはユンボだけれども、ユンボも含めてどのチームも隊列がイマイチ整っていない。

残り2kmを切ると、前日に続いてアラフィリップが隊列を引き上げて先頭を奪取!

ただ、アスグリーンとバッレリーニはいるけれども、またしてもカヴェンディッシュはどこだ…?

残り500m辺り、位置をスルスルっと上げてきたのはグルパマのトレイン、その後ろにはユアンが貼り付いている!

最終コーナーを抜けて残り200m、石畳の路面で先陣を切ってスプリントを開始したのはデマール!

デマールの背後に割り込んでいたパスカル・アッカーマン(UAE)は伸びが足りずに少し離され、それを追い越しながらユアンが発射!!

残り50mでまだデマールが先頭、しかしユアンの勢いがもの凄いぞ!!

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ポケットロケットがその本領を発揮!!

ユアンが圧倒的な加速力でライバルを捻じ伏せた!!

いや~強い!

そのスピードはやっぱり頭一つ抜けている!

 

そしてこの日の自分の予想は…。

ユアン~!

最終局面に(と言うか割と早い段階から?)ロジャー・クルーゲもリュディガー・ゼーリッヒもいなかったけれども、当たりは当たりなのだ!

 

第4ステージ

中盤以降、アップダウンのある周回コースから登りフィニッシュとなる、逃げ切りもありそうなステージ。

 

この日の逃げは10人、メイン集団とのタイム差は最大で5分ほど。

メイン集団はUAEがコントロールして、周回コースに入ると逃げとのタイム差を徐々に縮めていく。

1周回目、フィニッシュ地点にもなる登りの途中で、先頭集団からクイン・シモンズ(トレック・セガフレード)が飛び出して独走を試みる。

この動きもありシモンズは途中3つの山岳ポイントを全て先頭で通過する事になり、山岳賞トップに躍り出た。

メイン集団はこの登りでクイックステップがアラフィリップに牽引させる積極性を見せてペースアップ!

結果、エヴェネプール、ポガチャル、ガンナ、ジェイ・ヒンドレー(ボーラ・ハンスグローエ)が一時抜け出すという驚きの展開に。

流石にこの動きはしばらくすると吸収されるけれども、あの登りはフィニッシュも含めてあと2回登場するので、そこでまた動きがありそうな…。

 

単独での先頭が続いたシモンズは残り13kmでメイン集団に吸収され、その直後に飛び出したヴァランタン・フェロン(トタルエネルジー)も捕まり、レースはいよいよフィニッシュに向けた登りに突入。

残り3.6km、まずアタックを仕掛けたのはロマン・バルデ(チームDSM)。

この動きはソレルの牽引で吸収されるけれども、ここからメイン集団は一気に活性化。

残り3.2kmでヴィクトル・ラフェ(コフィディス)のアタック、残り3kmでミゲルアンヘル・ロペス(アスタナ・カザクスタン・チーム)のアタック、更には残り2.5kmでウィルコ・ケルデルマンのアタックと、なかなか落ち着かない。

残り2.3km、ここまではアラフィリップに守られるような動きを見せていたエヴェネプールがアタック!

もちろんこの動きはポガチャルが自らチェックに行く!

比較的緩い勾配の影響もあって、どの選手もなかなかアタックが決まらない展開になっている。

残り500mの手前、勾配が少し厳しくなる区間でラフェが再度アタック!

しかし、ポガチャルがその動きを利用して一気に加速!

ポガチャルが少し抜け出した!!

もの凄い勢いでかっ飛んでいくポガチャルを誰も止められない!!

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これがポガチャルの力!

誰も寄せ付けない登りスプリントで、早くも総合リーダーの座に!!

改めて言うまでもなく、ただただ強い。

後続はヴィンゲゴー、ラフェ、エヴェネプールの3人が2秒差、ジュリオ・チッコーネ、ゲイガンハート、エンリク・マス(モビスター・チーム)、ケルデルマン、ミケル・ランダ(バーレーン)、ヒンドレーなどが5秒差でフィニッシュ。

ロペスやリゴベルト・ウラン(EFエデュケーション・イージーポスト)は12秒も失ってしまった…。

 

ちなみに、この日の予想はこちら。

ポガチャルで正解。

うん、まあ逃げ切り以外ならこうなるよね…。

 

第5ステージ

終盤に激坂を含むアップダウンが登場する、少し展開の予想が難しいけれども多分逃げ向きなステージ。

 

この日の逃げは12人、総合11位(1分8秒遅れ)のバンジャマン・トマ(コフィディス)が逃げに乗ったため、当然ながらメイン集団はあまり大きなタイム差を許してくれない。

ちなみに、自分の予想はこんな感じで…。

シモンズは逃げに乗らず…。

自分で「まさかの」とか言っている時点で、まぁ当たる訳はないか…。

 

特に大きな展開は無いまま、レースは気が付けば終盤へ。

残り20.8km、最大勾配が20%を超える急勾配区間でワレン・バルギルがアタック!

少し遅れて反応したトマが何とか追いつき、更に4kmほど進んでから4人の選手が合流して、先頭は6人に。

メイン集団とのタイム差はまだ2分ほどあるので、このままステージは逃げ切りで決まりそうだ。

 

残り8km、メイン集団ではエヴェネプールがアタック!

反応できたのはポガチャルとヴィンゲゴーの2人のみ!!

この強力な3人での抜け出し、他のライバルからタイム差を奪う事が出来るか!?

 

残り5km、先頭集団から再びバルギルがアタック!!

バルギルは唯一食らいついてきたフェロンも急勾配区間で振り切り、そのまま独走!!

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登りで強さを見せたバルギル、実に5年ぶりのワールドツアー勝利!!

2017年にはツールで2勝と山岳賞獲得と言う活躍を見せながら、その後苦しい期間を過ごして30歳になったバルギルの顔に浮かぶのは、溢れんばかりの笑顔!!

この勝利を機に、これからまた頑張って欲しい!

 

一方、後続の総合争いではトラブルも…。

なんと、抜け出していたエヴェネプール、ポガチャル、ヴィンゲゴーの3人が、登坂の入り口となるコーナーを見逃して通過してしまう…!?

慌ててUターンして、タイムロスをしながらもなんとかメイン集団に追いついた3人だったけれども、このトラブルがなかったらライバルにタイム差を付ける事が出来た可能性が高かっただけに、少し悔しい結果に。

 

第6ステージ

超級山岳カルペーニャ峠(登坂距離6.2km・平均勾配9.6%)を2度登ってからフィニッシュへと下る、今大会のクイーンステージ。

 

この日の逃げは9人、その中には既に総合タイムを大きく失っているアラフィリップの姿も。

メイン集団は最大で5分弱のタイム差を逃げに許しつつ、カルペーニャ峠突入時にはその差をしっかり50秒にまで減らすコントロールを見せる。

 

今大会最後の総合争いの場となるカルペーニャ峠、1回目の登坂でメイン集団を牽引するのはUAEのラファウ・マイカ

このマイカのペーシングに、なんと総合2位のエヴェネプールが付いていけない!!

クイックステップはエヴェネプールを助ける為に、逃げていたアラフィリップをこのタイミングで降りてこさせるという、なかなか苦しい展開に…。

山頂を先頭で通過する事になったのは、単独での逃げになっていたシモンズ。

これで、シモンズは完走さえすれば山岳賞獲得が確定!

シモンズから45秒遅れて、20人弱にまで人数を減らしたメイン集団も山頂を通過。

エヴェネプールは…そこから更に1分以上も遅れてしまっている。

メイン集団はテクニカルなダウンヒルをかなりのスピードで飛ばして(数人下りで千切れた?)、シモンズを吸収。

途中、コーナーでオーバーランしそうになる選手がいたりもしながら何とか落車は無く下り終え、いよいよ2回目のカルペーニャ峠登坂へと突入していく。

 

2回目のカルペーニャ峠、先頭を牽くのはソレル。

集団に残っているのは以下のメンバー。

  • ポガチャル(UAE
  • ソレル(UAE
  • ヴィンゲゴー(ユンボ
  • ポート(イネオス)
  • ヒンドレー(ボーラ)
  • チッコーネ(トレック)
  • ティボー・ピノ(グルパマ)
  • マス(モビスター)
  • バルデ(DSM
  • ティメン・アレンスマン(DSM
  • ランダ(バーレーン
  • ペッリョ・ビルバオバーレーン
  • ダミアーノ・カルーゾ(バーレーン

登坂に入ってすぐ、残り16.9km辺りからランダがペースを上げると、集団は散り散りに…。

ランダにそのまま付いていけたのは、ポガチャル、ヴィンゲゴー、マスの3人。

少し離れてポート、さらに遅れてピノ、ヒンドレー、カルーゾが追いかける。

残り16km、ランダが再度ペースを上げると、ポガチャルがカウンターで抜け出す!

ポガチャルはそのまま力強く踏み続け、その差を順調に広げていく!!

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もう、誰にも止められない…!!

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そのもはや破壊的な走りで全てを蹴散らした王者は、なんと後続に1分3秒ものタイム差を付けてフィニッシュ!!

これで総合のタイム差は2位のヴィンゲゴーと1分52秒と、ちょっと1週間規模のステージレースとは思えないような差が…。

そして最終日は平坦ステージなので、当然ポガチャルの総合優勝が実質確定。

なんかもう、ポガチャルが飛び抜けすぎていて、コメントのしようがないよ…。

 

早い段階で遅れていたエヴェネプールは4分1秒遅れでのフィニッシュとなり、総合順位も11位まで一気にスリップダウン

まあ、どうやらこの後に控えるクラシックレースに向けて少し体重を増やしているようなので、登れないのはある意味当然ではあるか。

まだ22歳、総合成績を狙うのはまだ少し先でも、全然遅くはない。

 

あ、ちなみにこの日の予想は…。

まあ、そりゃポガチャルを予想しておけば当たるよね。

 

第7ステージ

最終日は、コース中盤以降は真っ平なレイアウトになっているスプリントステージ。

 

この日の逃げは3人、メイン集団は最大約3分のタイム差で逃げを泳がせながらレースを展開する。

平坦区間でじわじわとタイム差を詰めていったメイン集団は、残り8kmで逃げを吸収。

ここからフィニッシュスプリントに向けて、集団は一気に加速していく。

 

残り4km、アンテルマルシェ・ワンティゴベールマテリオ、バイクエクスチェンジ、そしてユアンがリタイアしているロット辺りが集団前方に隊列を展開。

残り3km、トタルエネルジーのトレインが先頭に躍り出ると、その動きに合わせてイスラエルも位置を上げて来る。

残り2km、やや枚数の足りなさそうなトタルエネルジーに代わってイスラエルが先頭へ、そしてその動きを利用してコフィディスも2人の選手が上がってくる。

残り1.5km、アラフィリップが勢いよく前へ出て来るけれども、その後ろに位置しているのはチームメイトではなく、バーレーンとアンテルマルシェの隊列。

残り1.2km、クイックステップが流石の上手さを見せ、アラフィリップの後方に選手を3人連結させる。

イスラエルが先頭で隊列を組んだまま残り1kmを通過、そしてクランク突入直前にグルパマがクイックステップの前に上手く入り込んでいる。

残り500mもイスラエルが先頭で通過、このままジャコモ・ニッツォーロが上手く発射できるか!

横から上がって来るのはアンテルマルシェ、アンテルマルシェはそのままクリストフが真っ先にスプリントを開始!!

ここまで上手く力を溜めていたデマールはフェンス際で行き場を失い失速、そしてクリストフを差そうと伸びてきたのはニッツォーロだ!!

このままニッツォーロかと思ったら、外から回り込んできたフィル・バウハスス(バーレーン)がもの凄い勢いで突っ込んでくる!!

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バウハウスが差し切って勝利をもぎ取った!!

いやいやいや、どこから飛んできた!?

改めて映像を確認すると…。

バウハウスはデマールの後方に位置していて、デマールが行き場を失うと判断するや否や、一気に逆サイドまで大回りをして、そこからもの凄い加速を見せている!!

え…?

あれだけ進路を変えてロスしているのに、とんでもない加速だ…。

思い切りの良さが光った判断と、その驚愕の加速、お見事!!

 

当たり前に勝つ事の凄さ

改めて、最終成績を確認。

 

ポガチャルがその圧倒的な力を遺憾なく見せつけて、2連覇を達成!!

昨年からもはや当たり前のように勝つから感覚がマヒしてしまうけれども、ティレーノ~アドレアティコ2連覇って、相当凄い事をやっているでしょ!

しかも、昨年以上に完膚なきまでの勝ちっぷり。

「付け入る隙が無い」どころか、その絶大な力で「隙あらば(隙が無くても?)攻撃してくる」のだから、ライバルはたまったもんじゃないよねぇ。

一体、どうやってポガチャルに勝てばいいんだろうか?

正直言って「普通に戦って負ける姿」が想像できなくなってきているという、その異常さ。

しばらくはポガチャルの天下が続きそうだ。

 

とは言いつつ、いかにライバルが立ち向かうのはとても楽しみだし、逆にポガチャルが蹂躙するのを観る事も、間違いなく特別な体験だ。

今後のレースでも、それぞれの選手が自分の力をしっかりと発揮して、熱いレースを繰り広げてくれる事を期待したい!

 

それでは、また!!

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