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【レース感想】パリ~ニース2022

ステージレースの醍醐味

パリ近郊をスタートしてニースを目指す、「太陽へ向かうレース」パリ~ニースが開幕!

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バランスのいいステージ構成に加えて、毎年有力選手が多数出場する素晴らしいレースだけれども、今回は例年以上に豪華な選手が集結!

www.kiwaroadrace.com

総合勢のメンバーが凄すぎ!

いや~、否が応でも激戦に期待してしまう!

で、とりあえず自分の総合予想がこちら。

昨年は悔しい思いをしたプリモシュ・ログリッチ(チーム・ユンボ・ヴィスマ)を本命に。

対抗は絶好調のナイロ・キンタナ(アルケア・サムシック)、穴と大穴は…相当迷った挙句アダム(イネオス・グレナディアーズ)とサイモン(チーム・バイクエクスチェンジ・ジェイコ)のイェーツ兄弟で。

果たして、どんな総合順位になるのやら…。

 

第1ステージ

若干の起伏はありつつも、集団スプリントが予想される平坦カテゴリーのステージ。

 

序盤に2人の逃げが形成されるけれども、なんと中継開始直前の残り70kmでメイン集団に吸収されるという、かなり意外な展開に。

その後、吹きさらしになっている区間で横風の影響なんかを受けながらも、集団はしばらくひと塊のままレースが進行。

残り46km、集団の中ほどで落車が発生。

「ペースが緩んでいたタイミングでだったので大したことないかな」なんて思っていたら、フェリックス・グロスシャートナー(ボーラ・ハンスグローエ)が鎖骨を折ってしまい無念のリタイアに…。

その直後、集団から新たに3人の選手が飛び出して逃げを形成。

一時はメイン集団に1分以上のタイム差を付けたけれども、最終的には残り10km辺りでメイン集団に吸収される。

 

集団スプリントに向けて各チームが隊列を整えたいこのタイミングで、メイン集団を牽引するのはユンボの強烈な面々。

ローハン・デニス、マイク・テウニッセンと牽引をリレーしてとんでもないペースを刻み、集団は縦に引き伸ばされる。

残り5.7km地点の3級山岳に突入すると、ユンボはネイサン・ファンホーイドンクとクリストフ・ラポルトも投入と、攻撃の手を更に強める!!

このユンボの強力すぎる波状攻撃にスプリント勢が脱落するどころか、総合勢も次々に千切れていく…!!

特にラポルトの牽きはとんでもない強度で、なんとラポルト、ログリッチ、ファンアールトというユンボの3人が抜け出すというまさかの展開に!!

そのまま3人は後続に20秒程のタイム差を叩きつけてフィニッシュ地点へやってくる。

ボーナスタイムのためにログリッチが先頭でフィニッシュするのかと思いきや…。

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ユンボの1・2・3フィニッシュ!!

圧巻のユンボ劇場を見事に演出したラポルト、嬉しい移籍後初勝利!!

と言うか、ラポルトはもしかしてワールドツアー初勝利?

 

そして後続は…、総合勢の多くは22秒後にフィニッシュ。

グリッチはボーナスタイム込みでライバルから28秒のタイムを奪う、圧倒的有利な立場での船出に!

 

波乱の幕開けとなったパリ~ニース2022、果たしてここからどのような展開になるのだろうか…。

ちなみに、この日の自分の予想はこんな感じ。

全然普通の展開にはならなかったですね…。

 

第2ステージ

序盤に登場する2つの3級山岳以外は起伏がほぼ登場しない、スプリンター向けのステージ。

ただし、レース前から結構な強風が吹いているという情報が…。

 

この日はまず3人の逃げが形成されるけれども、レース中盤からメイン集団のペースが一気に上がる。

これは…予想されていた通り、横風分断だ

更には落車で遅れた選手なんかもいて、もう何が何だか…。

残り50km辺りでようやく情報も纏まってきて、集団が大きく3つに分かれている事が判明。

まず、逃げを飲み込んだ先頭集団は20人強。

その20~30秒後ろに、アレクサンドル・ウラソフ(ボーラ)やサイモン・イエーツといった総合系選手、更にはサム・ベネット(ボーラ)やブライアン・コカール(コフィディス)というスプリンターも含んだ第2集団。

そしてメイン集団から1分強離されている第3集団には、この大会2連覇中のマクシミリアン・シャフマン(ボーラ)の姿が…。

あと、ジョアン・アルメイダ(UAEチームエミレーツ)とダヴィド・ゴデュ(グルパマFDJ)は第3集団にもいないけれども、どこに行った…?

 

残り43km、第2集団が先頭集団に何とか追いつく事に成功。

ただ、その後ろの集団は残念ながら最後まで合流する事は出来ず、先頭集団は35人程の人数でフィニッシュへと向かっていく。

 

残り14km辺り、シュテファン・ビッセガー(EFエデュケーション・イージーポスト)がアタック。

ここにフィリップ・ジルベール(ロット・スーダル)、シュテファン・キュング(グルパマ)、ラポルトが反応して一緒に抜け出したけれども、この動きはほどなく吸収される。

残り6.8km、ビッセガーが再度アタック!

今度は単独で抜け出して、最大で10秒程先行する事に。

ただ、主にクイックステップが牽引するメイン集団は、残り2.1kmでビッセガーを吸収。

クイックステップはそのまま4人の隊列で先頭をキープして、スプリントに持ち込む構え。

イヴ・ランパールト、ゼネク・スティバル、フロリアン・セネシャル、そして最後はもちろんエースのファビオ・ヤコブセンと、分断でミケル・モルコフを失いながらもかなり強烈なメンバーだ。

他のチームの仕掛けを防ぐためにクイックステップはかなりのハイペースを刻み、集団は縦1列になっていてクイックステップが圧倒的に有利な態勢のまま残り1kmを通過!

残り300m、クイックステップの2枚目のアシストが下がると同時に、ラポルトがファンアールトを引き連れて猛然と加速して先頭を奪う!

ヤコブセンはこの動きに素早く反応し、最終発射台セネシャルの背中からファンアールトの背中に見事なタイミングで飛び移る!

残り100m、ファンアールトとヤコブセンがほぼ同時に発射!!

インから最短でフィニッシュを目指すファンアールトと、アウトからもの凄い勢いで加速していくヤコブセンの一騎打ち!!

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勝ったのはヤコブセン!!

あのファンアールトを相手に、最後は余裕を持ってフィニッシュするほどの強さ!

ヤコブセンはこれで今シーズン早くも6勝目!!

スプリントの伸びが素晴らしいのは勿論だけれども、乗り換える判断や発射のタイミングも本当に上手だった!

はっきり言ってしまおう、ヤコブセンはカレブ・ユアン(ロット)に並び得る現役最強格の1人だと!

 

ちなみに、この日の予想は…。

ヤコブセン~!!

怖かった横風分断もしっかり生き残ってくれた!

 

第3ステージ

平坦カテゴリーながらコース中盤以降は細かなアップダウンが続き、更にフィニッシュは緩い登りになっている、これまた展開予想が難しいレイアウト。

 

この日の逃げは、逃げ王トーマス・デヘント(ロット)、オウェイン・ドゥール(EF)、アレクシー・グジャール(B&Bホテルス・KTM)という、なかなか強力な3人。

ユンボバーレーン・ヴィクトリアスがコントロールするメイン集団はアップダウン区間に入るとペースを上げ、ピュアスプリンターに対しての選別が行われるような状況に。

そんなメイン集団から飛び出したのは、アタックからの独走の名手セーアン・クラーウアナスン(チームDSM)。

今シーズン未だ勝利を挙げられていないチームのため、積極的な姿勢を見せる!

クラーウアナスンに続いて動いたのは、カンタン・パシェ(グルパマ)。

こちらは、エースのゴデュが横風分断でタイムを大幅に失ったため、チームとしてステージ狙いに切り替えた模様。

ただ、メイン集団はこれらの動きを逃げ共々吸収していく。

残り22.3km地点の3級山岳に入ると、ヤコブセン、ディラン・フルーネウェーヘン、サム・ベネットといった重量級スプリンターは、残念ながら脱落…。

3級山岳の直後、カテゴリーの無い登りの頂上に設定されたスプリントポイントを先頭通過したのは、アタックを仕掛けたピエール・ラトゥール(トタルエナジーズ)。

そして2位通過はログリッチ

ここでもボーナスタイム2秒獲得と、相変わらず全く手を抜かない貪欲な姿勢を見せてくれる。

 

残り8kmでクラーウアナスン2度目のアタックや、残り7.4kmでこれまたグルパマのオリヴィエ・ルガックによるアタックなんかがあったものの、メイン集団は残されたメンバーでの登りスプリントへと向かう事に。

残り3kmを切ってからは各チーム消耗していた影響か、モビスターチーム、DSMAG2Rと、主導権が目まぐるしく変わる展開だ。

残り2kmからAG2Rが先頭に3人で展開と良い形に見えたけれども、前に出るのが早すぎたのか、残り1kmを切ると一気に崩壊気味に。

残り500mを切ると先頭はトレック・セガフレード、ジャスパー・ストゥイヴェンの後ろにマッズ・ピーダスンと、エース級2枚の構え!

その後ろにはコカール、そしてその横にはテウニッセンに引き上げられたラポルトとファンアールトがいる。

残り400m、ファンアールトがピーダスンの背中に上手に割り込んだ!

これで前から、ストゥイヴェン、ピーダスン、ファンアールト、コカールの並び。

残り250m、ストゥイヴェンのリードアウトからピーダスンが発射!!

それとほぼ同時に後方でリーダージャージのラポルトを含む落車が発生するけれども、残り3km以内救済措置の区間だから、とりあえず総合タイムに影響はない。

先頭ではピーダスンが登り傾斜をものともせずに力強い踏みを見せる!!

ファンアールトとコカールも追いかけるけれども、ピーダスンの背中から飛び出せない!

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登りスプリントはピーダスンの完勝!!

登りな上に少し長めのスプリントだったのに、全く垂れないこの強さ!

いや~、流石は元世界王者!

そしてこれで今大会、第1ステージから5位、5位、1位と、なんという安定感。

…と思ったけれども、よく考えるとファンアールトはここまで3位、2位、3位なのか…。

相変わらず恐ろしい…。

 

ちなみに、この日の予想がこちら。

ファンアールトは惜しくも届かず…。

 

第4ステージ

今大会の個人タイムトライアルは、小さなアップダウンが続いてから平均勾配8.6%の急勾配へとフィニッシュする、結構癖のあるレイアウトの13.4km。

 

序盤にターゲットタイムを出したのは、世界選手権個人タイムトライアル2連覇の肩書を持つローハン・デニス(ユンボ)。

4年振りにオーストラリア選手権を制して好調を伺わせていたデニスの16分26秒と言うタイムに対して、現欧州王者のキュングも僅か4秒届かず。

UAEツアーで現世界王者のフィリッポ・ガンナ(イネオス)を破ったビッセガーも、デニスから15秒遅れに終わってしまう。

ちなみに、この日の自分の予想は…ビッセガー。

う~ん、残念。

 

デニスのタイムの凄さが際立つ中、総合勢で「意外にも」良いタイムを叩き出したのがサイモン・イエーツ(バイクエクスチェンジ)。

なんと、デニスから4.92秒遅れというかなりの好タイム!

パリ~ニースでは3年前にも個人タイムトライアルステージを制したように、時折個人タイムトライアルでも爆発するんだよな…。

 

結局デニスのタイムを上回る選手が現れないまま、出走順は最終盤へ。

デニスのチームメイト、総合3位のログリッチと総合2位のファンアールトという、これまた強烈なタイムトライアル強者が連続して出走。

それぞれ、中間計測でデニスから5秒遅れに1秒遅れと、やはり素晴らしい走りを見せている!

まずはログリッチ、後半にペースを上げてデニスのタイムを4秒更新!!

更にその直後、ファンアールトがそのログリッチのタイムを2秒上回る!!

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またしてもユンボ劇場!!

ファンアールト、ログリッチ、デニスでステージ1位・2位・3位を独占!!

これでファンアールトは総合首位、そしてログリッチが10秒遅れで総合2位、更に言えば前日まで総合首位だったラポルトが28秒遅れの総合3位と、未だに総合もユンボが独占という、なんとも恐ろしい事態が続く…。

 

第5ステージ

3つの1級山岳を含む合計5つのカテゴリー山岳が登場する中級山岳ステージ。

総合が動く可能性もあるけど、逃げ切り濃厚と思い、予想はこんな感じ。

色々あってすでにタイムを失ったブランドン・マクナルティ(UAEチームエミレーツ)に期待。

 

レース開始前、なんと18人もの選手がDNS(出走せずにリタイア)という、驚きの情報が入ってくる。

なんでも、新型コロナウィルスではなく、インフルエンザがレース内で流行しているとか…。

何というか…感染対策はどうした(いやまあ、完璧に防げるものではないけど)。

新型コロナウィルスでは無いことを喜んでいいのやら…。

 

18人もの選手を失っても、レースは予定通りスタート。

この日の逃げは10人、そしてマクナルティがしっかり逃げている~!

しかも、メイン集団とのタイム差は6分以上!

そしてメイン集団は、総合を脅かす選手が逃げにいないため、タイム差をあまり縮めてこない。

逃げ集団が残り40km辺りから登り始めるこの日最後のカテゴリー山岳、1級ミュール峠に突入した段階でも、タイム差は未だ6分。

これは…逃げ切りが実質確定だ!

あとは予想通りマクナルティが勝つかどうか…。

 

登り口から1kmほどの最も勾配が厳しくなる区間で仕掛けたのは…マクナルティだ!!

逃げ集団の後方から猛然とアタックして、ライバル達を一気に置き去りにする!

マッテオ・ヨルゲンソン(モビスター)、ハーム・ファンフック(ロット)、フランク・ボナムール(B&B)がマクナルティを追いかけようと試みるけれども、その差はどんどん広がっていく!!

そのまま山頂を先頭で通過したマクナルティは、ダウンヒルも持ち前の独走力で快調にこなし、最後の勝負所であるスプリントポイントの設定された登りも順調に登り切る!

もうマクナルティを妨げるものは何もない!!

最後は喜びをかみしめるような姿を見せながらのフィニッシュ!!

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今シーズン3勝目と好調のマクナルティ、これがワールドツアー初勝利!!

今シーズンの3勝は全て逃げ切りと、これは新たな逃げ巧者が誕生か。

と言うか、中・小規模のステージレースならもう普通にエースとして総合争いができそうな気もする。

いや~、今後が楽しみだ!

 

そして、今更だけど予想も的中!

逃げ切りはそもそも逃げるかどうかも分からなくて難しいんだけれども、自分なりにしっかり理屈を考えてマクナルティを選んだから、これは嬉しいよ~!

 

マクナルティから約6分後、メイン集団もフィニッシュ。

ミュール峠でファンアールトが脱落していたために、リーダージャージはログリッチに移動。

スプリントポイントの設定された登りではアタック合戦からダニエル・マルティネス(イネオス)の抜け出しなんかもあったけれども結局吸収、ここでは上位陣が崩れずにそのままフィニッシュした形に。

 

第6ステージ

2級以下の厳しすぎないカテゴリー山岳が5つ(更に、スプリントポイントが設定された登りも2つ)登場する、逃げ向きのレイアウト。

2日連続での逃げ切り濃厚と思い、予想はこんな感じ。

サイモン・カー(EF)、逃げてくれるかな…?

 

この日の逃げは6人、カーは…逃げていない、残念。

トレックが中心となって牽引するメイン集団はこの6人にあまりタイム差を与えず…って、え?

なんで最大で2分ぐらいしかタイム差を与えないの?

と言うか、トレックが牽いているの?

…ピーダスンでのスプリントか。

コカールやビニヤム・ギルマイを抱えるコフィディスとアンテルマルシェ・ワンティゴベールマテリオも牽引に加わるという事は、完全に「山岳でピュアスプリンターを脱落させてから登り適性のあるスプリンターによるスプリント」という目論見だ。

改めて、レースの展開予想は難しいと思い知らされる…。

 

メイン集団に睨まれて逃げ切りが難しい展開になりつつも、逃げに乗ったバランタン・マデュアス(グルパマ)は山岳賞ジャージをキープする為に奮闘し、4つの山岳で先頭通過して山岳賞ポイントを16点獲得。

この日の目的は充分に達成してから、この日最後の山岳レスピグリエ峠の途中で先頭から後退していった。

 

2級山岳レスピグリエを超えて間もなく、メイン集団は逃げを全員吸収。

その直後にダウンヒルで飛び出したのは、第3ステージでも積極的なアタックを試みていたクラーウアナスン。

クラーウアナスンは下りで順調にリードを広げるけれども、平坦区間に入るとメイン集団がしっかりと差を詰めて、残り16kmで吸収される。

 

残り10kmを切った辺り、スプリントポイントが設定された登りでカンタン・パシェ(グルパマ)がアタックを仕掛けると、ラポルトなど数人の選手が反応。

その流れから残り9kmで単独で抜け出したのは、マチュー・ビュルゴドー(トタルエナジーズ)。

ビュルゴドーは、意外にもそのまま10秒以上のタイムギャップを生み出す事に成功。

メイン集団は…あまり率先して牽引するチームがいない?

気が付けば残り5kmでタイム差は15秒と、まさかの逃げ切りもありえる…?

メイン集団は、残り4km辺りからトレックが慌ててペースアップを開始。

残り2.5kmでラポルトB&Bの選手が飛び出したりしているけど、そんな場合じゃないでしょ…。

ラポルトは残り1km辺りでメイン集団に戻って、改めて牽引を開始。

もう前にはビュルゴドーが見えている!

最終コーナーを抜けて残り300m、ビュルゴドーが後ろを振り返るとメイン集団はもうすぐ後ろまで迫っている!

残り200m、ピーダスンやファンアールトがスプリントを開始!

しかしビュルゴドーも諦めず、粘り強く踏み続ける!!

これは際どいぞ…!!

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タイム差0秒の逃げ切り!!

ビュルゴドーが劇的なプロ初勝利!!

いや~、熱かった!!

手に汗握るとはまさにこの事!!

全てを出し尽くしたビュルゴドーはフィニッシュ後には地面に倒れ込み、チームメイトの祝福を受けながら雄たけびを上げる!!

これぞ、ロードレースの醍醐味の一つ。

素晴らしいものを見られて大満足だ。

 

第7ステージ

1級山岳テュリーニ峠を駆け上がる、今大会のクイーンステージ。

登坂距離15.2km・平均勾配7.2%という本格的な山頂フィニッシュで、総合争いはどのような展開を見せてくれるか。

 

この日の逃げは18人となかなかの大所帯。

イネオスやアルケアがコントロールするメイン集団はあまり大きなタイム差を容認せず、人数を減らした逃げがテュリーニ峠に到着した時点で、その差は僅か1分ほど。

パシェ、デヘント、ジュリアン・ベルナール(トレック)、グレゴリー・ミュールベルガー(モビスター)、ボナムールという精鋭しか残らなかった逃げも、捕まるのは時間の問題だ。

 

メイン集団はファンアールトや総合3位のラトゥールなどの選手が脱落するほどペースを上げ、逃げもミュールベルガーのみという状況に。

そして残り7.2km、いよいよ開戦のゴングが鳴り響く。

まずはアダム・イェーツのアタック。

少し遅れてログリッチ、マルティネス、キンタナの3人が追いかけて残り6.4kmでアダム・イェーツに合流、更にサイモン・イエーツも単身で追いついてきた。

その直後、マルティネスがカウンターアタック

すぐさまにログリッチが反応して捕まえるけれども、イネオスは数の利を活かしてログリッチを消耗させる、定石通りの戦い方を展開。

しかし残り6km、今度は逆にログリッチが「攻撃は最大の防御」と言わんばかりにアタック!

マルティネスはピッタリと反応、キンタナは少し間を開けてペースで追走、アダムとサイモンのイェーツ兄弟は並走して様子見と言ったところ。

そしてこの一連の流れで、唯一逃げ残っていたミュールベルガーは追い抜かれる事に。

しばらくするとキンタナ、アダム・イェーツ、サイモン・イェーツは合流して、3人で先頭の2人を目指して追走。

先頭にマルティネスがいるアダム・イェーツは牽く義務が無く、少し休めている状況…かと思っていたら、アダム・イェーツはなんと残り5kmを切った辺りで脱落。

イネオスはせっかくの数の優位を失う事に…。

 

残り2.7km、サイモン・イェーツとキンタナが先頭に合流。

総合首位ログリッチ、総合2位サイモン・イェーツ(39秒遅れ)、総合4位マルティネス(56秒遅れ)、総合9位キンタナ(1分45秒遅れ)という、4人での頂上決戦に。

お互いの力を警戒して少し牽制状態に陥る中、残り2.4kmでログリッチがペースを上げるけれども脱落者は出ず、再度の牽制状態に。

そして、先頭のペースが落ちている事で、気が付けば後続とのタイム差は僅か20秒まで縮んでいる。

残り1.8km、サイモン・イェーツのアタックでキンタナが少し離される…!

先頭がまたしてもペースを落としたのでキンタナも再合流するけれども、これは少し厳しいか。

残り1.3km、サイモン・イェーツが続けざまのアタック!

…やはりキンタナは付いていけない!

なんとかまた追いつくけれども、力が残っていないのは明らかだ。

その直後、今度はマルティネスのアタック!

やはり離されるキンタナ、しかしここもなんとかペース走法で食らいつく。

残り300m、なんと後方から抜け出してきたアルメイダ(総合18位、3分8秒遅れ)が先頭に合流!?

お得意のペース走でここまで詰めていたのか…。

フィニッシュでのスプリント力も有するアルメイダ、果たして力は残せているか?

 

残り200m、勾配が緩むタイミングで仕掛けたのはやはりログリッチ!!

マルティネスはなんとか食らいつくけれども、背中にしがみつくのが精一杯だ…!!

グリッチ、最後は腕を突き上げながら余裕のフィニッシュ!!

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圧巻の強さ!!

登坂力と最後のスプリント力、そのどちらもライバルを圧倒!!

マルティネスはなんとか同タイムフィニッシュになったけれども、サイモン・イェーツは2秒、キンタナは9秒ものタイム差を叩きつけられる結果に。

グリッチはボーナスタイムも10秒獲得した事で、追いかけるライバルとのタイム差は、サイモン・イェーツ(47秒)、マルティネス(1分)、アダム・イェーツ(1分50秒)、キンタナ(2分4秒)。

残す最終第8ステージは、短いながらも2級・2級・2級・1級・1級とアップダウンが続く、「何か」も起こり得るレイアウト。

果たして、ドラマはあるのか。

 

…この日の予想?

開幕前からキンタナと決めていたから、何と言うか…悔いは無し!

 

第8ステージ

5つのカテゴリー山岳が待ち受ける最終第8ステージ、天候はあいにくの雨。

ダウンヒルも多いので、落車なんかが無ければいいんだけれども…。

そんな中、自分の予想がこちら。

マクナルティが勝ったんだから、アルメイダも意地を見せないと。

 

同時開催のティレーノ~アドレアティコの方がフィニッシュ時間が早かったこの日、中継が始まった残り65kmの時点で、なんと未だに逃げが決まっていない模様。

そして、88人が出走していたはずなのに、メイン集団の人数は既に20人前後にまで減っている…。

逃げが決まらないようなハイスピードの展開で、集団から人数がどんどん減っていくサバイバルな展開だったという事か。

冷たい雨が降り続く中、3つ目の2級山岳を超えたメイン集団は、いよいよ勝負所となるペイユ峠(登坂距離6.6km・平均勾配6.9%)とエズ峠(登坂距離6.1km・平均勾配7.1%)の1級山岳2連続に突入していく。

 

ペイユ峠の入り口の時点で、メイン集団をコントロールしているのはユンボのアシスト達。

ステフェン・クライスヴァイクとデニスに加え、前日は早々に遅れていった(「最終日の為に力を温存」とコメントしていた)ファンアールトがログリッチを護衛している。

ユンボに抗う意志を見せたのは、やはりイネオス。

残り51kmからオマール・フライレが集団の先頭に出てペースを上げ、デニスとクライスヴァイクを脱落させる。

これでログリッチの護衛はファンアールトのみ。

イネオスはフライレ、アダム・イェーツ、マルティネスの3人(フライレはこの局面で使い倒すだろうけれども)。

他の総合上位勢は、サイモン・イェーツもキンタナもアシストを失っている。

 

メイン集団が10人強にまで絞り込まれる中、残り48kmで仕掛けたのはマルティネス!

ファンアールトがログリッチを引き連れてすぐさま反応、当然サイモン・イェーツとキンタナも追随、そしてアダム・イェーツはここで遅れてしまう…!

5人となった先頭はファンアールトが高速で牽引を敢行。

一昨年のツールでも驚愕の山岳アシストを見せていたファンアールト、相変わらずとんでもない牽引だ…。

マクナルティやアンドレアス・レックネスン(チームDSM)と共に追いかけていたアダム・イェーツは後続と合流しつつ、ペイユ峠山頂通過時点で約50秒ものタイム差を突き付けられてしまった。

 

先頭の5人は、ファンアールトの牽引でダウンヒルを降下。

途中のスプリントポイントは、サイモン・イェーツ、マルティネス、ファンアールトの順で通過して、サイモン・イェーツがログリッチから3秒奪う事に成功する。

残り31.9km、なんとこのタイミングでマルティネスがパンク…!

このタイミングでのパンクは…あまりにも厳しい。

マルティネスは一気に40秒ものタイムを失ってしまい先頭への合流は絶望的、そして総合5位キンタナに対してのリードは1分4秒…。

総合3位のマルティネス、表彰台を守り抜けるか。

 

中央分離帯も多いダウンヒルに、ログリッチが少し危なっかしいシーンなんかもありつつ、先頭の4人はエズ峠に突入。

このタイミングでマルティネスは後続と合流、先頭とのタイム差は40秒ほど。

残り20.9km、キンタナが集団の先頭に出てペースを上げると、ファンアールトは少し苦しそうな様子も見受けられる。

…と思ったら、残り19.9kmでファンアールトはまたしても先頭に出て牽引を再開。

本当に、なんだこの男は…。

その直後、キンタナが再び腰を上げて加速!

しかし、それでもファンアールトは離れない…!

残り19.2km、今度はサイモン・イェーツがアタック!

サイモン・イェーツの切れ味抜群なアタックに、ファンアールトだけでなく、キンタナもログリッチも付いていけないぞ…!?

グリッチとキンタナがペース走で追いかけ、ファンアールトはその2人の少し後方でなんとか食らいつくのが精一杯といった様子。

その40秒後方では、マルティネスが必死の形相で差を詰めようと踏んでいる。

残り18.2km、サイモン・イェーツを20秒差で追いかける3人の姿が空撮で映し出されるけれども、なんだか様子がおかしい。

…ファンアールトが前を牽いている?

まさか、ログリッチの調子が悪いのか…!?

グリッチとサイモン・イェーツの総合タイム差はこの時点で44秒、これ以上差が広がるとフィニッシュのボーナスタイムで逆転もありえるぞ…!!

波乱が起こりやすいと言われるパリ~ニース最終日、今年もとんでもない展開になってきた…!

 

残り17km、ファンアールトの牽引でなんとキンタナが脱落…!?

いや、サイモン・イェーツに付いていかなかった時点で薄々そんな気はしていたけれども…、登りで後れを取ってはいけないでしょ…。

ただ、サイモン・イェーツとのタイム差の広がり方を(更には後方とのタイム差の推移を)見ると、ファンアールトの牽引が結構速いのも間違いなさそうと言う、恐ろしい状況ではある。

エズ峠山頂通過時、先頭のサイモン・イェーツと追走の2人のタイム差は約25秒。

ファンアールトのスーパーな働きにより、ログリッチはなんとか総合で逆転されないタイム差をキープして登坂を終える事に成功した。

残すはダウンヒルと最後の平坦区間

普通に考えればタイム差は広がらない…と言うか、力関係だけで言えば追いつく可能性すらあるように思える。

ただ、雨に濡れたダウンヒル、そして疲弊しきっている2人での追走と、不安要素もある。

一方のサイモン・イェーツは、先頭を順調に快走。

タイム差は25秒前後のまま推移していたけれども、残り9kmを過ぎた辺りから…徐々に縮まり始めた。

少し息を吹き返したログリッチが先頭交代に加わるようになった影響が大きいかもしれない。

残り5km、タイム差は10秒弱。

これで、トラブルさえなければログリッチの総合優勝はほぼ確定と言う状況に。

あとは、サイモン・イェーツが逃げ切ってステージ勝利を掴み取れるかどうかだ。

残り3km、タイム差は変わらない!

残り2km、タイム差は…10秒!

これは…そのままサイモン・イェーツが逃げ切りそうだ!

最終ストレートである「英国人の遊歩道」を単独で走るのは、英国人サイモン・イェーツ!

最後は手を広げ、晴れやかな笑顔で喜びを表現しながらのフィニッシュ!!

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持ち味であるキレッキレのアタックから、鮮やかな独走!!

総合逆転とはならなかったけれど、その強さを見せつけてくれた!!

 

サイモン・イェーツの9秒後、ファンアールトと共にログリッチが帰還…!!

グリッチ、昨年の悪夢を振り払う総合優勝!!

この最終日こそガス欠のような感じだったけれども、よくぞ耐え抜いた!

そして、ファンアールトは本当によく守り抜いた!!

ペイユ峠以降ひたすらログリッチのために働き続け、そして総合優勝に導いたその走りは、まさに守護神といったところ。

改めて、その異質な万能性が際立つ内容だったと思う。

 

そして後方の集団でフィニッシュしたマルティネスは、トラブルに泣きながらも総合3位が確定!

「たられば」を言っても仕方が無いのは分かりつつ、それでもあのパンクさえなければ結果がどうなっていたか分からかったと言いたくなるような、素晴らしい走りだったと思う。

イネオスの新たなエース候補として、是非今後に期待したい!

 

最後まで目の離せない争い

パリ~ニース2022、激動の8日間が終了!

改めて、最終結果を確認。

 

  • 総合優勝:プリモシュ・ログリッチ(チーム・ユンボ・ヴィスマ)
  • 総合2位:サイモン・イェーツ(チーム・バイクエクスチェンジ・ジェイコ)
  • 総合3位:ダニエル・マルティネス(イネオス・グレナディアーズ
  • ポイント賞:ワウト・ファンアールト(チーム・ユンボ・ヴィスマ)
  • 山岳賞:ヴァランタン・マデュアス(グルパマFDJ)
  • ヤングライダー賞:ジョアン・アルメイダ(UAEチームエミレーツ

 

これまで「マイヨ・ジョーヌ」に縁が無いと言われてきたログリッチ、ついにこのパリ~ニースで総合優勝!

最終日に少し不安は覗かせたけれども、それでもやはりその強さは別格だった。

悔しい思いが続いているツールに向けて、この結果を得られたのは本人にとって大きいと思う。

 

総合2位のサイモン・イェーツと総合3位のマルティネスは、共に山岳での強さをしっかり見せつけてこの順位。

それぞれの目標に向けて、調整が上手くいっているとアピールするには充分な内容だったと思う。

 

いや~しかし、最初から最後まで目が離せない大会だった!

内容が濃すぎて、ユンボによる奇襲から始まった事がなんだか遠い過去の記憶のようだ…(同時開催のティレーノ~アドレアティコの影響もあるかな…)。

タイムトライアルでタイムを稼いだ総合リーダーをクライマーが山岳ステージで追いつめる、「ステージレース、かくあるべし」といった展開、本当に面白かった!

今後も、こういったそれぞれの持ち味を存分に発揮した激闘を期待したい!

 

それでは、また!!

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