総合勢がもの凄いメンバー!
ヨーロッパでステージレースのワールドツアー開幕戦となる「太陽へと向かうレース」ことパリ~ニース。
例年通り、平坦、丘陵、山岳、個人タイムトライアルと、バランスよく揃っているこのレース。
今年は総合勢の出場選手がとんでもなく豪華なので、総合勢を中心に紹介していきたいと思います。
熱すぎる総合争い!
スタートリストを確認していて、本当に驚きました。
総合争いに加わるであろうオールラウンダー・クライマーの陣容が熱すぎですよ!
普段は4~5人をピックアップして紹介しますが、今回は枠を拡大してお届けします!
ログリッチは、今大会が今年最初のステージレース出場になります。
昨年のこの大会では最終日前日まで完璧な走りで圧倒的なリードを築きながら、最終日に2度の落車で勝利を逃すという、とても悔しい思いをしました。
そのオールラウンダーとしての完成度の高さは誰もが認めるところですが、大事なところで落車をするイメージが付きまとうのもまた事実です。
2年続けて苦い思いをしたツール・ド・フランスに向けて、視界良好な船出となるでしょうか。
・サイモン・イエーツ(チーム・バイクエクスチェンジ・ジェイコ)
今年も「忘れ物を取りに行くため」にジロ・デ・イタリアを目指すサイモン・イエーツは、2019年以来のパリ~ニース出場となります。
昨年はジロで総合3位と、3年振りにグランツール総合表彰台に登る事ができました。
今シーズンも、ブエルタ・ア・アンダルシアで積極的な走りを見せて総合5位と、調子は悪くありません。
宿願成就に向けて、仕上がり具合に期待しています。
・アダム・イェーツ(イネオス・グレナディアーズ)
サイモンの双子の弟アダム・イェーツもパリ~ニースに出場します。
UAEツアーで軽快な走りを見せて総合2位と、調子は上々です。
ただ、そのキレのあるアタックは間違いなく素晴らしいですが、未だグランツール総合表彰台は未経験と、安定感には若干の疑問が残ります。
果たして、エガン・ベルナルの長期離脱により台所事情が苦しいイネオスの救世主となれるのか、要注目です。
・ダニエル・マルティネス(イネオス・グレナディアーズ)
エースとして自由が与えられるかは分かりませんが、マルティネスの走りにはかなり期待しています。
昨年、最強の山岳アシストとしてベルナルのジロ総合優勝に多大な貢献をしながら、自身も総合5位ともの凄い走りを見せてくれました。
そもそも2020年のクリテリウム・ドゥ・ドーフィネ総合優勝者なので、その実力は既に証明済みです。
アダム・イェーツとのダブルエースなのか、またしても最強の山岳アシストなのかは分かりませんが、その存在がレースに大きな影響を与える事は間違いないでしょう。
アメリカの新星マクナルティは、今シーズンここまで絶好調です。
ワンデーレースで2勝、ヴォルタ・アン・アルガルベでも総合2位と、かなりの結果を残しています。
元々定評のあったタイムトライアル能力に加えて、昨年までと比べて明らかに登坂力が向上したと評価していいでしょう。
遂に総合系選手として覚醒するか、期待しています。
実績面で言えば、UAEのエースはマクナルティではなく同じく1998年生まれのアルメイダでしょうか。
一昨年のジロ総合4位、昨年のツール・ド・ポローニュ総合優勝と、既に十分すぎる成績を残しています。
今シーズンのUAEツアーでも、総合優勝したタデイ・ポガチャルをアシストしながら総合5位と、素晴らしい走りを見せてくれました。
タイムトライアル能力の高さを武器とした総合系選手という事で、マクナルティとはかなりタイプが近いですが、果たしてどのような連携を見せるかも含めて楽しみです。
・マクシミリアン・シャフマン(ボーラ・ハンスグローエ)
パリ~ニース2連覇中のシャフマンは、今大会が今シーズン最初のレースとなります。
一昨年にパリ~ニースを総合優勝するまで決して総合系選手という評価ではなかったと思いますが、2年続けて「粘り抜いて」パリ~ニースを勝ったという事実は、その評価を大きく変える事になりました。
未だにグランツールでは不運もあり結果を残せていませんが、厳しい山岳を粘り抜く事が出来るのなら総合優勝争いだって決して不可能ではないでしょう。
さらなる進化に向けて、今回も結果を残したいところです。
・アレクサンドル・ウラソフ(ボーラ・ハンスグローエ)
ボーラのもう一人の総合エース候補ウラソフは、今シーズン既に結果を残しています。
UAEツアーでは最終ステージで失速してしまい総合4位に終わりましたが、ボルタ・ア・ラ・コムニタ・バレンシアナでは山岳ステージで抜群の走りを見せて総合優勝に輝きました。
登坂力とタイムトライアル能力のバランスは、現役選手の中でかなり上位の存在と言っていいでしょう。
今シーズン大きく飛躍するのではないかと、個人的にかなり期待しています。
・ナイロ・キンタナ(アルケア・サムシック)
今シーズンのキンタナは絶好調です!
出場した2つのステージレースでどちらも山岳ステージで勝利を挙げて総合優勝と、ファンが思い描く理想のキンタナが帰ってきたと言っても過言では無いでしょう。
その抜群の登坂力で全てを捻じ伏せる走りは、見ていて本当に素晴らしいです。
昨年よりも厳しい山岳設定になっている今大会、大暴れに期待しましょう!
昨年、ブエルタ・ア・エスパーニャ総合3位と大躍進したヘイグ。
今シーズンも、ブエルタ・ア・アンダルシアで総合6位とその力を発揮しています。
昨年のバーレーンはヘイグだけでなくチーム全体が躍動しましたが、今大会もワウト・プールス、ジーノ・メーダー、ルイスレオン・サンチェスと、かなり良いメンバーを揃えてきました。
昨年の勢いそのままに、しっかりと結果を残す可能性は充分にありそうです。
・ダヴィド・ゴデュ(グルパマFDJ)
地元フランス期待の星のゴデュも、ヴォルタ・アン・アルガルベの山頂ステージで勝利を挙げ、最終的に総合5位と今シーズン好調です。
昨年はリエージュ~バストーニュ~リエージュで3位に入りましたが、ステージレースの総合成績ではいまいち煮え切らない部分が目立ちました。
その登坂力が一級品なのは誰もが認めるところなので、そろそろ大きな結果が欲しいところでしょう。
フランスの新たな総合系エースとして、期待の声は大きいです。
昨年のツール、彗星のように突如現れて総合4位に入ったオコーナー。
いきなり覚醒したようにも思えましたが、実際にはツール・ド・ロマンディで総合6位、クリテリウム・ドゥ・ドーフィネで総合8位と、目立たないながらもそれなりの結果を残していました。
今シーズンも、ブエルタ・ア・アンダルシアで総合7位と、悪くない滑り出しをしています。
これまで以上に厳しいマークを受ける中でどのような走りを見せるか、注目です。
その他注目選手
もちろん総合系以外にも注目選手は多いので、そちらも紹介していきます。
・ワウト・ファンアールト(チーム・ユンボ・ヴィスマ)
もはや説明不要、何でもこなす「異次元の脚質」を持つファンアールト。
今シーズンも、オムループ・ヘット・ニウスブラッドで早速勝利を挙げて、好調をアピールしています。
今年のツールでは「ポイント賞を狙う」と明言していますが、果たしてこのパリ~ニースではどんな走りを見せるのでしょうか。
総合を狙うログリッチとの関係性も含めて、大注目です。
・ファビオ・ヤコブセン(クイックステップ・アルファヴィニル)
クイックステップの新エースであるヤコブセンは、今シーズン既に5勝と早くも量産体制に入っています。
ボルタ・ア・ラ・コムニタ・バレンシアナとヴォルタ・アン・アルガルベでそれぞれ2勝ずつ、更にはクールネ~ブリュッセル~クールネで勝利と、手が付けられない状態です。
リードアウト職人のミケル・モルコフと共に、一体どこまで勝利数を稼ぐのでしょうか。
最強チームのエースとして、活躍に期待しています。
・ジャスパー・フィリプセン(アルペシン・フェニックス)
今シーズンここまで、ヤコブセンに匹敵しうる活躍を見せているスプリンターがフィリプセンです。
ワールドツアー初戦となったUAEツアーでステージ2勝と、レースの格的にはヤコブセン以上の活躍と評価される可能性すらあります。
結果だけではなく、ワールドチームのエースを真正面から叩きのめしたその勝ち方も素晴らしかったです。
最強のプロチームであるアルペシンのエーススプリンターとして、昨シーズン以上の爆発が期待できそうです。
・ダニー・ファンポッペル(ボーラ・ハンスグローエ)
ボーラのエーススプリンターであるサム・ベネットではなく、敢えてそのリードアウターであるファンポッペルを注目選手として挙げさせてもらいます。
UAEツアーで集団スプリントとなった3つのステージ、そのいずれでも最も素晴らしいリードアウトをしていたのがファンポッペルです。
サム・ベネットがまだ本調子では無かった事と、第2ステージではサム・ベネットの判断ミスもあって勝利には繋がりませんでしたが、ファンポッペルの動きは(特に第1ステージでは)もの凄いものでした。
それこそ、サム・ベネットとの主従関係を入れ替えてもいいのではないかと思う程でしたが…、果たして今大会ではどのような走りを見せてくれるでしょうか。
・シュテファン・ビッセガー(EFエデュケーション・イージーポスト)
昨シーズン、タイムトライアルスペシャリストとして一気に台頭したビッセガー。
勢いそのままに、今年のUAEツアーの個人タイムトライアルステージでは、なんとあのフィリッポ・ガンナ(イネオス)を撃破してステージ勝利を飾りました。
また、その翌日の山岳ステージでは総合リーダージャージを守ろうと、登坂でも生き残ろうとする意欲を見せいます。
意外と頑張って登っていたので、丘陵ステージでの逃げ切りなんかにも期待できるかもしれません。
自分にとって特別なレース
昨年も書きましたが、このパリ~ニースは2019年に自分が初めて観戦したレースであると共に、2020年にこのブログで初めて記事にしたレースでもあります。
やはり思い入れと言うか、少し特別な気持ちもあったりします。
そこに自分にとっての本来の主役であるべき選手がいないのは少し寂しいですが、それでもやはりこれだけの選手が集結しているとなると、自然とテンションは上がってきますね。
本格的に始まったロードレースシーズン、みんなで大いに楽しんでいきましょう!