マチュー!!
総獲得標高が50,000m越えという過酷な設定の今大会、一体どんなドラマが繰り広げられるのか?
開幕ステージは、平坦基調ながら最後は登坂距離5.5km・平均勾配4.2%の登りフィニッシュ。
正直なところピュアスプリンターには厳しそうな、パンチャーや総合系選手による争いになりそうな雰囲気だ。
アクチュアルスタートと同時に飛び出したのは、マッティア・バイスとフィリッポ・タリアーニというドローンホッパー・アンドローニジョカトリの2人。
この2人を追いかける選手は…え、いないの?
そうこうしているうちにメイン集団は横に広がり、早くも「蓋をされた」状態になっている。
同チームからの2人のみという、結構意外な形での逃げになったな…。
逃げとメイン集団のタイム差が10分以上にまで広がる緩い展開が続く中、残り119km地点に設定された中間スプリントポイントで、メイン集団ではポイント獲得を目指した先着争いが勃発。
メイン集団の先頭(全体3番手)で通過して6pt獲得したのはジャコモ・ニッツォーロ(イスラエル・プレミアテック)、続いてアルノー・デマール(グルパマFDJ)が5pt獲得と、やはりポイント賞を狙うスプリンターが並ぶ事に。
注目のマーク・カヴェンディッシュ(クイックステップ・アルファヴィニル)は3pt、復活を期すフェルナンド・ガビリア(UAEチームエミレーツ)も2ptを獲得。
ポイント賞争いの「本番」は第3ステージからだろうけれども、もうすでに戦いは始まっている…。
その後は特に大きな動きもなく、逃げていた2人も残り13.7kmで吸収されて、いよいよラストの登坂勝負にレースは突入。
各チームが縦にトレインを組んだ臨戦態勢、登りの入り口で主導権を握るのはロット・スーダル。
この日生き残って勝負に絡める可能性のある数少ないスプリンターであるカレブ・ユアンを引き連れて、先頭で集団のペースを作る。
「怪物」マチュー・ファンデルプールを擁するアルペシン・フェニックスや、「エリトリアの新星」ビニヤム・ギルマイで勝利を狙いたいアンテルマルシェ・ワンティゴベールマテリオも前方の良い位置に上がってきた。
残り3.7km、集団から単独で飛び出したのはローレンス・ナーセン(AG2Rシトロエン)。
メイン集団は慌てずにこの動きを静観、ほどなくしてナーセンは徐々に勢いを失って捕まる…と思ったら、残り2.4km辺りでまたしてもメイン集団から飛び出す選手が1人。
逃げ切りの名手、レナード・ケムナ(ボーラ・ハンスグローエ)だ!
ケムナはナーセンを一気に抜き去って独走状態に。
残り2km、これはもしかして逃げ切るパターンも…?
ただ、集団もアンテルマルシェが牽いてペースアップ、残り1kmでその差は5秒ほど、しっかりケムナを射程圏内に捉えてきた。
このペースアップでデマールは脱落、集団前方には総合系の選手が大量にいる形になり、やはりスプリンターには厳しい展開だ…。
残り900mからダヴィデ・フォルモロ(UAEチームエミレーツ)が更にペースを上げてケムナを吸収、そしてユアンはしっかりと5番手辺りの位置をキープ!
残り400m、フォルモロ、ペッリョ・ビルバオ(バーレーン・ヴィクトリアス)、ウィルコ・ケルデルマン(ボーラ・ハンスグローエ)といった総合系選手に混じって、ユアンが先頭争い…!
他にいい位置に残っているスプリント力のある選手は…ギルマイ、ファンデルプール、マグナス・コルト(EFエデュケーション・イージーポスト)ぐらいか?
残り200m、先頭はケルデルマン、後ろにはコルト、ユアン、ビルバオ、ギルマイ、ファンデルプール、リチャル・カラパス(イネオス・グレナディアーズ)と続く!
残り150m、ギルマイが加速して先頭へと飛び出る!
その後ろからはファンデルプールが強烈な加速を見せてギルマイと並ぶ!
残り50m、ユアンは流石に勢いを失い(そしてフィニッシュ直前では落車をしてしまい)、ファンデルプールとギルマイの一騎打ちに!
最後まで力を残せていたのは…ファンデルプールだ!!
「怪物」ファンデルプール、その強さを遺憾なく発揮した圧巻のステージ勝利でマリア・ローザ獲得!!
狙ったステージを逃さないその勝負強さよ!!
最後はガッツポーズできないほど全てを出し尽くし、フィニッシュ後にはもはや恒例となった地面に倒れ込む姿も。
全力を出し切ったその姿、カッコいい…!!
惜しくも敗れたギルマイも、並み居るライバルを蹴散らし、ファンデルプールと最後まで競り合うそのポテンシャル、やはり計り知れない…!
今大会でどのように輝くか、本当に楽しみだ!
そして残念ながら落車してしまったユアンだったけれども、幸い大きなケガはなかったようで一安心。
最後は流石に勢いを失いながらもあそこまで生き残れた登坂力、やはりちょっとスプリンターとしては頭一つ抜けているよね。
ただでさえ世界最高峰のスプリント力を有するのにこの登坂力、改めてとんでもない気がする。
まずはしっかり回復させて、今後のステージで「ポケット・ロケット」の爆発に期待したい!