初心者ロードレース観戦日和

初心者でもいいじゃない!ロードレース観戦を楽しもう!

【レース感想】ジロ・デ・イタリア2024 第2ステージ

早い、そして速い

序盤は平坦基調だけれども、中盤以降は3級山岳が2つ登場し、最後は1級山岳フィニッシュとなる、とても第2ステージとは思えない難易度のレイアウト。

この「早すぎる」総合争いの舞台になり得るステージ、果たしてタデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ)は動くのか…。

 

この日の逃げは、繰り下げでポイント賞ジャージを着るフィリッポ・フィオレッリ(VFグループ・バルディアーニCSF・ファイザネ)を含んだ5人。

メイン集団の牽引は、総合リーダーのジョナタン・ナルバエスを擁するイネオス・グレナディアーズが行うけれども、中盤以降はUAEも意欲的に牽引に加わっていて…。

これは…やはりポガチャルで勝負する気か。

メイン集団から2分弱先行していた先頭集団で大きな動きがあったのは、平坦基調が終わりアップダウンが繰り返される区間に入った直後。

残り52km辺りで、アンドレア・ピッコロ(EFエデュケーション・イージーポスト)が単独での飛び出しを敢行。

ピッコロは順調に後方とのタイム差を稼ぎ、2つの3級山岳も難なくクリア。

突き放された4人がメイン集団に吸収されるのを尻目に、1分半ほどのリードを有したまま最後の1級山岳に突入していく。

 

1級山岳に突入する直前、メイン集団ではポガチャルがパンクに見舞われ…そのままコーナーでスリップしてしまい、落車。

一瞬ヒヤッとするシーンだったけれども、機材を交換しようとしてスピードを緩めている最中だったので、幸いダメージは見受けられず、そして集団にもスムーズに復帰する。

そこから、UAEはアシストを総動員してメイン集団の高速牽引を開始。

先頭のピッコロとのタイム差はみるみる縮まり、残り6.5kmで吸収、そしてUAEは当然そこから勢いを緩めない。

ミッケル・ビョーグからラファウ・マイカへと牽引を繋ぎ(いやしかし、ビョーグはここ2年ぐらいで本当によく登れるようになったな…)、お膳立ては完璧な態勢。

そして残り4.5km、急勾配区間でマイカが腰を上げて更にペースアップすると、直後にポガチャルの強烈なアタックが発動!!

ベン・オコーナー(デカトロン・AG2R・ラ・モンディアル)とゲラント・トーマス(イネオス)がその背中に張り付こうと試みるけれども、トーマスは早々にペース走法に切り替え、そしてオコーナーもすぐさま引き千切られる…!!

分かり切っていることだけれども…強い!!

 

こうなってくると、焦点となるのはポガチャルがライバルからどれだけのタイムを奪うのか、そしてメイン集団には誰が生き残っているのか。

メイン集団は…オコーナーとトーマスに、後方からペース走を続けていた選手が合流。

ポガチャルのアタック直前に苦しそうに位置を下げていたダニエル・マルティネス(ボーラ・ハンスグローエ)もいる…と思ったら、なんとダニエル・マルティネスは集団の先頭に立ってペースを上げるぐらい、余裕な様子。

トーマスとオコーナーの他に集団に生き残っているのは、マイケル・ストーラー(チューダー・プロサイクリング)、エイネル・ルビオ(モビスター・チーム)、キアン・アイデブルックス(チーム・ヴィスマ・リースアバイク)、フロリアン・リポヴィッツ(ボーラ)、ロレンツォ・フォルトゥナート(アスタナ・カザクスタンチーム)、アレクセイ・ルツェンコ(アスタナ)、ヤン・ヒルト(スーダル・クイックステップ)、エステバン・チャベス(EF)、フアン・ロペス(リドル・トレック)。

グランツール初出場の23歳、今大会の若手注目株であるリポヴィッツが生き残っている…!

更にリポヴィッツは、残り2kmを切ると集団の先頭に出て、集団の牽引を開始。

リポヴィッツ、これはダニエル・マルティネスにとっては大きな戦力になるぞ。

そして残り1.7km、集団から真っ先に脱落したのは…なんとオコーナー!?

ポガチャルのアタックに反応して、エネルギーを使いすぎてしまったか…。

 

快走を続けるポガチャルは、30秒のリードを有してフィニッシュ地点へ向かう!!

淡々と、それでいて力強く!!

秒差を稼ぐため、最後までしっかり踏み込む!!

Embed from Getty Images

いつも通り、この理不尽なまでの強さ!!

圧巻の独走勝利で、早くも総合首位の座へ!!

いや~、分かり切ってはいたけれども…、本当に強い!

何かトラブルや、よほど大きなバッドデイが来ない限りは、手の付けようがないのでは…?

ここまで突き抜けていると、逆にとことんライバルに差をつけて、とんでもない結果を残してほしい気持ちも湧いてくる。

ということで、今日は全く問題になかったけれども、メカトラブルや落車には気を付けて…。

 

27秒遅れてフィニッシュしたメイン集団は、ダニエル・マルティネスが先着、そして3位に入ったのはトーマス。

ダニエル・マルティネスもトーマスも、自分の力を的確に把握しながらマイペース走法を見せて、この結果に。

そして対照的だったのは、ポガチャルから1分遅れでのフィニッシュとなってしまったオコーナー。

ポガチャルに付いていこうと試みて…オーバーペースになり、失速してしまった。

ただ、「その意気やよし」というか、ポガチャル以外のライバルにタイム差をつけるという意味でも、どこかで積極的な動きを見せなければいけないのも事実。

幸いタイム差はまだ十分に挽回可能なレベルなので、あまり気に病まずにまたいい走りを見せてくれれば嬉しいかな。