ジロを目指す猛者が集結!!
イタリア半島を西から東へと横断するステージレース、ティレーノ~アドリアティコ。
今年もジロ・デ・イタリアを占う上で重要な一戦として、多くのジロ出場予定者が集まりました。
日程が重なるパリ~ニースと同様に平坦・丘陵・山岳・TTが織り込まれたこの7日間の戦い、注目選手を紹介していきます!
総合系選手
エガン・ベルナル(イネオス・グレナディアーズ)
2019年のツール・ド・フランス覇者ベルナルは、昨年ツールをリタイアする原因となった背中の痛みからの完全復活を目指している途中です。
2月に行われたツール・ド・ラ・プロヴァンスでは山岳ステージでイヴァン・ソーサとのワンツーフィニッシュを飾り総合3位(【レース感想】ツール・ド・ラ・プロヴァンス2021 - 初心者ロードレース観戦日和)と、その自慢の登坂力をしっかりと披露。
そして3/3のトロフェオ・ライグエリアでは2着争いとなった集団スプリントを制してパンチ力もアピール、3/6のストラーデ・ビアンケではハードな展開を乗り切り驚きの3位(【レース感想】ストラーデ・ビアンケ 2021 - 初心者ロードレース観戦日和)と、ここまではとても順調に来ています。
今回のティレーノ~アドリアティコは、7日間のステージレースを耐え抜くタフさ、山岳でアタック合戦になった際に勝ち切る登坂力、最終日の個人TTをこなす出力と、ジロに向けてその状態が万全か確認する絶好の機会のはずです。
プロ生活をスタートさせた愛着のある「第2の故郷」イタリアの地で、躍動する姿を期待しています!
サイモン・イエーツ(チーム・バイクエクスチェンジ)
昨年の覇者サイモン・イエーツは、今年も「2018年の忘れ物」を取り戻す事を大きな目標に、すなわちジロ制覇に向けてスケジュールを組んでいます。
2018年のジロで初のグランツール制覇目前まで迫りながら、最終盤で失速してしまったのはやはり大きな心残りのようです。
2019年・2020年も当然ジロに挑みましたが、2019年は調子が上がらないまま終了、2020年は新型コロナウィルスの陽性反応が出てしまい撤退と、思うような結果は得られていません。
特に昨年は直前のティレーノ~アドリアティコで総合優勝、そして本番のジロでも第1ステージの個人TTで好走と調子が良かっただけに、不本意な形でのリタイアは本当に残念でした。
今年もこのレースで好調な事をアピールして、ジロに向けて弾みをつけたいところです。
ナイロ・キンタナ(チーム・アルケア・サムシック)
コロンビアの英雄キンタナも、同胞のベルナルと同様にケガからの完全復活を目指しています。
昨年はシーズン序盤にとても好調な姿を披露していましたが、新型コロナウィルス感染拡大による中断期間中、トレーニングの際に事故に遭い膝を怪我してしまいました。
ツール・ド・フランスでもそのケガの影響で振るわず、そしてシーズン終了後には手術を行っています。
このティレーノ~アドリアティコは過去に2度(2015・2017)総合優勝しているとても相性のいいレースです。
完全復活に向けて、まずはしっかりと山岳で登坂力を披露してくれることを期待しています。
その他の注目選手としては、今年はツールでは無くジロに出場予定のティボー・ピノ(グルパマFDJ)、昨年は0勝と振るわなかった地元イタリアの英雄ヴィンチェンツォ・ニバリ(トレック・セガフレード)、単独エースとしてそろそろ大きな結果が欲しいミケル・ランダ(バーレーン・ヴィクトリアス)、UAEツアーでそれぞれ総合優勝・総合3位と好調だったタデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ)とジョアン・アルメイダ(ドゥクーニンク・クイックステップ)、この辺りが挙げられるでしょうか。
スプリンター
エリア・ヴィヴィアーニ(コフィディス)
「注目」という意味では、個人的にはヴィヴィアーニにかなり注目というか…期待というか…、なんとも言えない気持ちで今のヴィヴィアーニを見ています。
コフィディスに移籍した昨シーズンは大不振に陥ってしまい、まさかの0勝に終わってしまいました。
そして今年1月のトレーニングキャンプ中、なんと心臓に異常が見つかり離脱と、かなり心配なニュースが飛び込んできます。
幸い、大きな異常はないという事で大事には至らず、UAEツアーからレースに復帰する事ができました。
そのUAEツアーの第6ステージではステージ2位に入り、復調の兆しも見えてきています。
地元イタリアのレースで、久々の勝利を挙げる姿が見たいです。
ペテル・サガン(ボーラ・ハンスグローエ)
こちらのサガンも、昨シーズンはスプリントでは0勝、シーズン通して僅か1勝と、プロ契約後最低の成績に終わってしまいました。
元々ピュアスプリンターではありませんが、それでもスプリントで勝ちまくってきたそのスプリント力に、翳りが見え始めているという事でしょうか。
しかし、早くから頭角を現して活躍期間が長いので勘違いしそうになりますが、1990年生まれの31歳と、年齢的にはまさに今が脂が乗っている時期と言えるはずです。
一時はモチベーションの低下なども囁かれていましたが、当代きってのスーパースターの活躍をまだまだ見たいというのが、ロードレースファンとしての自分の本音です。
前述の2人と対照的に、現在絶好調なスプリンターがバッレリーニです。
ツール・ド・ラ・プロヴァンスのスプリントステージで2勝、そしてまさかの集団スプリントとなったオンループ・ヘットニュースブラッドでも勝利(【レース感想】オンループ・ヘットニュースブラッド2021 - 初心者ロードレース観戦日和)と、今シーズン既に3勝を挙げています。
もはや「勢い」ではなく「本物」だと個人的には思いますが、一流選手でも「勝ち続ける」というのはなかなか難しいものです。
果たして好調をどこまでキープできるのか、それとも好調・不調なんかものともしない「超一流」なのか、注目していきたいと思います。
その他注目選手
マチュー・ファンデルプール(アルペシン・フェニックス)
もはや説明不要、異次元の「怪物」ファンデルプール。
3/6のストラーデ・ビアンケでも、あのジュリアン・アラフィリップ(ドゥクーニンク・クイックステップ)を激坂で一気に突き放すという、恐らく誰も想像していなかったとんでもない勝ち方を披露しました(【レース感想】ストラーデ・ビアンケ 2021 - 初心者ロードレース観戦日和)。
今回注目したいポイントは、「険しい山岳をどの程度こなせるか」と「個人TTでどれほどのタイムが出るのか」、そしてやはり「どんな形でステージ勝利を狙うのか」でしょうか。
怪物が放つ次の一撃、見逃さないようにしましょう。
ロマン・バルデ(チームDSM)
9年間在籍したAG2Rラ・モンディアル(現AG2Rシトロエン)を離れ、DSMに移籍したバルデ。
昨年から「ツール総合」一本に絞るのはやめるような発言がありましたが、昨年は日程変更の影響もあり結局ツールに出場して、落車でリタイアするまでは総合上位にいました。
そして今シーズンから加入したDSMは総合も狙う可能性のあるチームですが、特に昨年はステージ勝利狙いで素晴らしい連携を披露したチームです。
バルデがこれまでも度々見せていたワンデーレースへの適正を考えると、総合狙いではなく、ステージ勝利やワンデーレースを狙ったらかなり面白いと思います。
今回のレースでの走りが今後の方向性を全て決める訳ではありませんが、一体どんな走りを見せてくれるのか楽しみにしています。
ベルナル、ポガチャルに続くツール・ド・ラヴニール覇者、ノルウェーの大器フォス。
プロ1年目となった昨シーズンは、変則日程でレースが少なかった上に、せっかく出場したジロもチーム内に新型コロナウィルス陽性者が出たために1週目のみで撤退と、不完全燃焼に終わってしまいました。
ただ、そのジロの第1ステージの個人TTで5位に入り、しっかりと才能の片鱗は見せてくれました。
今回のティレーノ~アドリアティコはラヴニールを制した登坂力を披露するには絶好の機会だと思うので、ぜひ頑張って欲しいところです。
3月は忙しい!!
3/6にストラーデ・ビアンケ、その翌日にパリ~ニースが始まり、更にその3日後にはティレーノ~アドリアティコがパリ~ニースと被って開催と、見る側としては楽しくも忙しい、ロードレース観戦漬けの日程ですね。
とても楽しいですが、自分も30歳を過ぎてから夜更かしが辛くなってきていまして…、体力と相談して上手く調整しながらの観戦になりそうです。
皆さんも体調にはくれぐれも気を付けて、無理なく自分なりのペースで楽しんでいきましょう!