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【レース感想】ツール・ド・フランス2021 第3ステージ

レースに落車は付き物と言うけれども…

パンチャーが躍動した第1・第2ステージを経て、第3ステージは今大会初となるスプリンター向けのレイアウト。

いよいよ本格化してくるであろうポイント賞争いの期待感に、胸が高まってくる!

 

この日の逃げは、繰り下げで山岳賞ジャージを着用するイーデ・スヘリンフ(ボーラ・ハンスグローエ)を含む5人。

マチュー・ファンデルプール(アルペシン・フェニックス)と山岳賞ポイントで並ぶスヘリンフは、1ptでも山岳ポイントを獲得できれば首位になれる。

 

この逃げに3分以上のタイム差を許したメイン集団は、中間スプリントポイントまではしばらく平穏ムードかと思いきや、いきなりトラブルが発生。

残り144km地点、落車が発生。

地面に叩きつけられたのは…ゲラント・トーマス(イネオス・グレナディアーズ)、ルーク・ロウ(イネオス)、ロベルト・ヘーシンク(チーム・ユンボ・ヴィスマ)、トニー・マルティンユンボ)という、総合争いの中核を担う4人。

ヘーシンクは鎖骨を骨折して即時リタイア、そしてトーマスもなかなか立ち上がれない。

それもそのはず、なんとこの時トーマスは右肩を脱臼していた模様…。

メディカルスタッフの手によって脱臼を治したトーマスは、なんとか再スタート。

しかし、その痛々しい姿は見ているこちらも辛いほど…。

それでも、チームメイトの助けも借りて、トーマスは集団に復帰する事に成功する。

 

残り91.5km地点の4級山岳はスヘリンフが難なく先頭通過して、山岳賞のトップに返り咲くことが実質決定。

そしてこの日のミッションを終えたスヘリンフは、それ以上は逃げずにメイン集団に戻っていく。

 

残り64.6km地点の中間スプリントポイントでは、この日もメイン集団で争いが発生。

集団先頭通過(5位通過)を果たしたのは、第1・第2ステージでも集団先頭通過に成功していたカレブ・ユアン(ロット・スーダル)。

積極的に中間スプリントポイントを狙うユアン、これは調子もいいぞ!

 

2つ目の4級山岳は特に争う事無く通過して、メイン集団は徐々にスピードを上げて逃げを捕まえる体勢に入ってくる。

さあ、いよいよ今大会初の集団スプリントが近づいてきた…と思っていたら、ここからが波乱と言うか、地獄のような展開の始まりだった…。

 

まずは残り12km地点、ミゲルアンヘル・ロペス(モビスター・チーム)、ダヴィド・ゴデュ(グルパマFDJ)、マーク・カヴェンディッシュ(ドゥクーニンク・クイックステップ)を含む落車が発生。

ロペスとゴデュはタイムを失いたくない総合系の選手、そしてカヴェンディッシュはこの日勝負をするはずのスプリンターなのに…。

 

その直後、残り10km辺りで、なんとプリモシュ・ログリッチ(チーム・ユンボ・ヴィスマ)が単独で落車…!!

スピードが出ていたので、ログリッチは痛々しいほどに擦過傷を負っているのが見て取れる…。

もちろんユンボはアシスト総出でログリッチを集団に引き戻そうと試みるけれども、この差は…もう追いつかない…。

 

残り3km、今度はコーナーで数名の選手が外側に膨らむような形で落車…!

総合6位のジャック・ヘイグ(バーレーン・ヴィクトリアス)、そしてこの日のステージ優勝候補であるアルノー・デマール(グルパマ・FDJ)が倒れている!

デマールはなんとか再スタートをするけれども、もちろんこの日の勝負権は喪失、そしてヘイグは無念のリタイア…。

更にはタデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ)もここで足止めを食らってしまう。

 

度重なる落車でかなり人数を減らしたメイン集団(30人ぐらい?)を牽引するのは、なんとマイヨジョーヌを着るファンデルプール。

後ろに張り付くイネオスのアシスト陣が離されてしまう程のとんでもない牽引を見せ、テクニカルなレイアウトを走る集団を縦に引き伸ばしていく。

ファンデルプールが牽引を終えると、アルペシンはジャスパー・フィリプセンのリードアウトからティム・メルリールを発射する態勢を整え、その後ろにはユアンペテル・サガン(ボーラ)が控えて勝機を窺っている。

緩い下りでスピードが上がる中、残り150m地点の最終コーナーで、なんとユアンサガンが転倒!!??

激しく地面に叩きつけられたユアンはうずくまったまま立ち上がれない…。

 

ユアンサガンが落車するとほぼ同時に、フィリプセンの背中からメルリールが発射!!

後続の2人が転倒した事もあり、メルリールは誰も近寄らせない完璧なスプリントで堂々のフィニッシュ!!

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メルリール、ジロに続いてツールでもステージ勝利!!

そしてフィリプセンもそのまま2位に入り、アルペシンはワンツーフィニッシュ!!

ファンデルプールの牽引、フィニッシュのリードアウト、そしてメルリールのスプリントと、とてもプロチームとは思えない豪華すぎる布陣による完璧な勝利!!

いや~、アルペシンはやはり凄すぎる。

 

そして勝利の裏では、痛々しい落車の傷跡が…。

 

フィニッシュ直前で転倒したユアンは、鎖骨を骨折してしまいリタイア。

今シーズンの目標としていた「全グランツールでのステージ勝利」は、残念ながら断念する事に…。

 

更には、落車の影響で総合勢でタイムを失った選手が多数…というか、タイムを失わなかったのはリチャル・カラパス(イネオス)ぐらいか…。

ナイロ・キンタナ(アルケア・サムシック)とウィルコ・ケルデルマン(ボーラ)が14秒遅れ、ポガチャルとゴデュとトーマスは26秒遅れ、そしてログリッチは1分21秒遅れでフィニッシュ…。

 

落車の連続でリタイア続出、そして総合も大荒れとなった平坦ステージ。

レースに落車は付き物とは言え、これは見ていて辛い展開だ…。

ケガをした選手の少しでも早い回復と、そして今後のステージでは落車やトラブルが出来るだけ起こらない事を祈るしかない。