初心者ロードレース観戦日和

初心者でもいいじゃない!ロードレース観戦を楽しもう!

【レース感想】ツール・ド・フランス2022 第3ステージ

横並びのスプリント!

デンマーク3連戦最終日は、前日に続いての集団スプリントが予想される平坦ステージ。

「橋」もなし、横風の恐れもほぼなし、そして山岳は4級山岳が3つのみ。

フルメンバーでの激熱なスプリントが期待できそうだ。

 

アクチュアルスタートから間もなくして飛び出したのは、前日も同様の動きを見せて山岳賞ジャージを獲得したマグナス・コルト(EFエデュケーション・イージーポスト)。

コルトの所持ポイントは3pt、そしてこの日獲得できるポイントは4級山岳(1pt)が3つなので最大で3pt。

3つのうち一つでも先頭通過できたらジャージをキープできるコルトを、他の選手は見送る事を選択。

地元デンマーク出身のコルトは、熱烈な歓声を一身に受けながらの一人逃げという、なんとも贅沢な時間を楽しめる事に。

で、実際にコルトは終始ニコニコと笑いながら逃げている。

そりゃそうだ、地元で開催となったツールで、こんな素晴らしいシチュエーションを享受できるとなったら、嬉しくて仕方がないだろう。

いや~、いい映像だ。

 

一方のメイン集団は、残り90km地点の中間スプリントポイントで先着争いが勃発。

クイックステップ・アルファヴィニルがフロリアン・セネシャル、ミケル・モルコフ、ファビオ・ヤコブセンというトレインで主導権を握ろうと試みたけれども、チーム・ユンボ・ヴィスマのクリストフ・ラポルトがもの凄いリードアウトでワウト・ファンアールトを発射!

集団先頭(全体2番手)通過はファンアールト、続いてヤコブセンが辛くもラポルトを躱して続く格好に。

他に明確にスプリントポイントを獲得しにいっていたのは、ペテル・サガントタルエネルジー)とカレブ・ユアン(ロット・スーダル)。

この辺りの選手が、ポイント賞を本気で目指していると言えそうか。

 

コルトを残り50km辺りで吸収した集団は、そのままスプリントに向かう…とはいかず、残り10kmで大規模な落車が発してしまう。

舗装路から石畳に変わった直後、道幅が絞られたことで行き場を失った選手が折り重なるような格好での落車で、スピードが出ていなかったので大きなケガ人などがいなさそうなのは朗報だけれども、この残り距離での落車はフィニッシュまでに集団復帰できない選手が出る可能性が…。

なんとか有力スプリンターはほぼ生き残ったみたいだけれども、ダミアーノ・カルーゾとジャック・ヘイグのバーレーン・ヴィクトリアス勢、そしてリゴベルト・ウラン(EF)は39秒というタイム差でのフィニッシュになってしまった。

 

そんな混乱はありつつ、メイン集団はスプリントに向けて緊張がさらに高まっていく。

残り5km、先頭を牽くのはクイックステップ・アルファヴィニルのトレイン、4枚のアシストがヤコブセンを守りながら最高の位置をキープしている。

残り3.3km、マチュー・ファンデルプールが引っ張るアルペシン・ドゥクーニンクの隊列が一気に位置を上げて、クイックステップの逆サイドに展開。

ただ、アルペシンはファンデルプールが力尽きて後退すると、そのままズルズルと位置を下げていく…。

残り2km、アルペシンの代わりに位置を上げてきたのはアンテルマルシェ・ワンティゴベールマテリオのトレイン、アシストは3枚となかなか悪くない格好。

残り1.5km、クイックステップとアンテルマルシェの隊列が先頭で並走、その背後ではファンアールトを連れたラポルト、ジャスパー・フィリプセン(アルペシン)、ユアンといった選手たちが激しい位置取り争いを繰り広げている。

残り1km、アンテルマルシェが勢いを失うのを尻目に、クイックステップは先頭からセネシャル→モルコフ→ヤコブセンという、完璧な態勢!!

しかし、残り800mの鋭角コーナーで、ヤコブセンは大きく外に膨らんでしまい、位置を下げる事に…!

先頭は相変わらずセネシャルにモルコフというクイックステップのリードアウター、しかしその背中にはラポルトとファンアールトが張り付いている!

残り200m、ヤコブセンの動きを利用したラポルトが最後の加速、しかしファンアールトはラポルトの背中ではなくそのまま空いたスペースを駆け抜ける事を選択…!?

ファンアールトの背中にはサガンとディラン・フルーネウェーヘン(チーム・バイクエクスチェンジ・ジェイコ)、逆サイドからはジャスパー・フィリプセン(アルペシン)もいい勢いで加速を見せる!!

最後は4人がほぼ横並びでのフィニッシュ!!

Embed from Getty Images

大接戦のスプリントを制したのは…フルーネウェーヘン!!

3年振りとなるツール出場で、「復活」のステージ勝利!

2020年のツール・ド・ポローニュ第1ステージ、ヤコブセンが瀕死の危機に陥る原因となったフルーネウェーヘンの斜行は、まだ多くの人の記憶に鮮明に焼き付いているだろうし、どれだけ時が経とうとも「過ち」が消えることは無い。

それでも、フルーネウェーヘンは長期の謹慎期間を終え、そしてツールに戻ってきて、また勝利を挙げた。

今は、その事をただ祝福したい。

おめでとう、フルーネウェーヘン。

ヤコブセンが新たな「物語」を見事にスタートさせたのと同様に、君の「物語」もまたここからだ。

 

そして、僅差で敗れたファンアールトは…なんと3ステージ連続での2位!?

「勝ちきれない」のは相当悔しいだろうけれども、ポイント賞獲得にはまた一歩前進という、かなり複雑な心境だろうな…。

まあ、他にも向いているステージはたくさんあるから、どこかで普通に勝つとは思うよ。