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【レース感想】ツール・ド・フランス2021 第19ステージ

勝利への嗅覚

カテゴリー山岳はスタート直後の4級だけであり、更に言えば道中の起伏も少なく、集団スプリントが予想される第19ステージ。

 

序盤にできた逃げは6人、メイン集団とのタイム差は4分ほど。

メイン集団では落車による混乱も多少あったけれども、リタイアや大きな分断は無いままスタートから52.5km地点の中間スプリントへ向かう。

メイン集団の先頭通過(全体7番手)はマイケル・マシューズ(チーム・バイクエクスチェンジ)となり、ポイント賞首位のマーク・カヴェンディッシュ(ドゥクーニンク・クイックステップ)との差を僅かながら縮める。

 

中間スプリントの直後から、メイン集団では再びアタックが掛かり始める。

意外…というか「何故この位置で?」という感じのアタック合戦から追走集団が発生して、なんと残り100km辺りで14人が先頭への合流に成功。

20人に膨れ上がった先頭集団はかなり協力してローテーションをしているのに対して、メイン集団はクリス・フルームイスラエル・スタートアップネーション)、ゲラント・トーマス(イネオス・グレナディアーズ)、リッチー・ポート(イネオス)、ワウト・プールス(バーレーン・ヴィクトリアス)と、往年のチーム・スカイ主要メンバーによる牽引という、なんだか胸が熱くなるような一幕も。

ただ、先頭とメイン集団との差は徐々に開いていき、ギャップが2分を超えた辺りでメイン集団は諦めてスローダウン。

こうなるとタイム差は一気に開いていき、スプリントが予想された平坦ステージながら逃げ切りの展開に。

 

気が付けばタイム差が10分以上となる中、先頭で動きが活発になってきたのは残り43km以降。

独走に持ち込みたいニルス・ポリッツ(ボーラ・ハンスグローエ)やブレント・ファンムール(ロット・スーダル)、スプリントに自信のあるダヴィデ・バッレリーニ(ドゥクーニンク)やマイク・テウニッセン(チーム・ユンボ・ヴィスマ)、更には逃げに3人送り込んだことで積極的に動けるトレック・セガフレードなど、それぞれの思惑が入り乱れる中で幾度もアタックが掛かるけれども、どれもなかなか決まらない。

10km以上に渡る厳しいアタック合戦の展開に徐々に人数を減らしながら、決定的な動きがあったのは残り26km。

戦闘が10人弱に絞りこまれた中でポリッツがアタックを仕掛けると、そのカウンターで第7ステージ勝者のマテイ・モホリッチが単独での抜け出しに成功!

間隙をついて一発で飛び出したモホリッチは、一気にタイム差を広げていく!

追走集団ではポリッツなどが継続してアタックを試みるけれども、牽制状態に陥ってしまいペースが上がらない!

重いギアを淡々と回すモホリッチは自分のペースを刻み続け、リードは残り10kmで約40秒、残り5kmでは約1分にまで広げる事に成功!

残り1kmからはガッツポーズを繰り出す余裕も見せ、モホリッチが独走勝利!

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見事な勝利への嗅覚を見せたモホリッチ、今大会2勝目!

2勝とも逃げからの独走勝利と、勝負勘が冴えわたっている!

特にこの日は、どんなタイミングでアタックすれば抜け出せるのか、まるであらかじめ分かっているかのような鮮やかな抜け出しだった。

ツールでステージ勝利を挙げるためには、力があるのは当然として、こういう「勝ち方を知っている」という事が重要なんだなぁ…。

 

集団スプリントにならなかった事で、カヴェンディッシュによる通算35勝目、エディ・メルクスの持つ最多勝利記録更新は最終ステージまでお預け。

ただ、ドゥクーニンクとしてもこの日は決して失敗という訳ではなく、牽引に加わらなかったのは「マシューズが上位でフィニッシュしてカヴェンディッシュのポイント賞が脅かされる可能性」を潰したという事だと思う。

逆に言えば、シャンゼリゼでのスプリント勝利に自信を持っているという事…?

最終日に劇的な記録達成となるのか、楽しみにしていたい。