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【レース感想】ツール・ド・フランス2021 第16ステージ

実力者の「初勝利」

3週目の初日は、逃げ切りが決まりそうな丘陵ステージ。

丘陵ステージとは言いつつ2級・1級・2級・4級と4つの山岳が組み込まれていて、J SPORTSのゲスト解説に来ていた畑中勇介選手(宇都宮ブリッツェン)が「丘陵ではなく山岳」と評するぐらいで、結構難易度は高そう。

 

スタート直後にカスパー・アスグリーン(ドゥクーニンク・クイックステップ)が単独での抜け出し、少し遅れてマッテア・カッタネオ(ドゥクーニンク)とミハウ・クフィアトコフスキ(イネオス・グレナディアーズ)が合流して、そのまま3人で最初の2級山岳は通過。

この3人は一旦メイン集団に吸収されて、そこから新たに抜け出したのはクリストファー・ユールイェンセン(チーム・バイクエクスチェンジ)、ファビアン・ドゥベ(トタルエナジーズ)、ヤン・バークランツ(アンテルマルシェ・ワンティゴベールマテリオ)の3人。

更に、残り84.3km地点の中間スプリントポイントでマイケル・マシューズ(バイクエクスチェンジ)とソンニ・コルブレッリ(バーレーン・ヴィクトリアス)が激しくやり合った流れで新たに10人ほどの追走集団が形成され、先頭の3人を1分弱のタイム差で追いかける展開に。

 

1級山岳の登坂でパトリック・コンラッド(ボーラ・ハンスグローエ)が追走集団から飛び出し、単身で先頭集団に追いつくことに成功。

その直後に、ユールイェンセンは先頭から遅れてしまう。

しばらく3人のまま走っていた逃げ集団に再び動きがあったのは、残り36.5km地点。

2級山岳の山頂まで4.2kmを残した位置から、コンラッドが早めのアタック!

この動きにドゥベは全く付いて行けず、一旦反応できたバークランツもすぐに離されてしまう!

一発のアタックで独走に持ち込んだコンラッドは、そのまま単独で山頂を通過。

追走集団では山頂付近でダヴィド・ゴデュ(グルパマFDJ)がアタックを仕掛けてコルブレッリのみがすぐさま反応、少し遅れてマシューズ、バークランツ、トムス・スクインシュ(トレック・セガフレード)、フランク・ボナムール(B&Bホテルス p/b KTM)、ロレンツォ・ロタ(アンテルマルシェ)の順で山頂を通過していく。

 

コンラッドは雨で濡れたダウンヒルも堅実にこなし、徐々に後続とのタイム差を広げていく。

追いかけるゴデュとコルブレッリはペースが上がらず、逆に残り15km辺りでマシューズ達のグループに追いつかれてしまう。

 

残り7km地点の4級山岳でもコンラッドはペースを保ち、1分前後の差をキープしながら独走を続ける!

残り1km辺りからは「ツールでのステージ勝利」が目の前に迫っている事に対して、「信じられない!」というようなリアクションを見せながらフィニッシュ地点へ向かう!
最後は両手を大きく広げ、感極まった表情でのフィニッシュ!!

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コンラッド、雨中の見事な逃げ切り勝利!!

なんとコンラッドは、プロキャリアでオーストリア選手権以外では初となる勝利!!

ジロ・デ・イタリアで総合1桁が2回、2019年のツール・ド・スイスでは総合3位に入賞しているほどの実力者だから、てっきりもっと勝っていると思っていただけにビックリ!

そしてボーラとしては、エースのサガンをケガで失った事をきっかけに、第12ステージのニルス・ポリッツに続いてアシスト選手の逃げ切り勝利という、なかなか熱い流れ!

きっと、今回のコンラッドやポリッツのように、「実力はありつつも勝利に恵まれていない」というアシスト選手はたくさんいる。

そういった選手の活躍もロードレースの醍醐味の一つだなと、改めて認識できる素晴らしいレースだったと思う。

 

コンラッドから約40秒遅れてフィニッシュにやってきた追走集団では、ピエールリュック・ペリション(コフィディス)が抜け出している!

…と思ったら、最後の最後でコルブレッリとマシューズが抜き去り、2位・3位でフィニッシュしてスプリントポイントを獲得。

これでマシューズは中間で獲得したポイントと合わせて、スプリント賞ランキング首位のマーク・カヴェンディッシュ(ドゥクーニンク)に37pt差まで迫る事に成功。

カヴェンディッシュで決まったかのように思えていたポイント賞争いも、なかなか面白くなってきた!

 

先頭から10分以上遅れていたメイン集団は、最後の4級山岳でギヨーム・マルタンコフィディス)の動きをきっかけにかなり小さくなるけれども、総合上位陣はしっかりと前方に残ったので、特に順位に変動はなく終了。

そして迎える第17・第18ステージは、いよいよ最後の山岳決戦。

タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ)の牙城を崩そうとする動きはあるのか。

かなり僅差の総合表彰台争いはどうなるのか。

激戦となっている山岳賞の行方も果たしてどうなるのか。

スプリンターたちはタイムアウトとの戦いに勝てるのか。

最終盤に突入しているツール、面白いのはここからだ。