黄色と緑
4級・3級・4級とカテゴリー山岳を通過し、最後は3級山岳(登坂距離4.8km・平均勾配4.6%)へとフィニッシュする丘陵ステージ。
逃げ切りが決まりそうにも見えるし、パンチャー系の登りスプリントになる可能性もありそうな、なんとも言えないレイアウトだ。
割とすんなり決まった逃げに乗ったのは、マッティア・カッタネオ(クイックステップ・アルファヴィニル)、フレデリック・フリソン(ロット・スーダル)、フレッド・ライト(バーレーン・ヴィクトリアス)の3人。
総合19位(3分58秒遅れ)のカッタネオが逃げたので、メイン集団は大きなタイム差を与えない展開に。
これは、逃げ切りは厳しいな…。
レース序盤、J SPORTSでの日本語中継が始まる前に、メイン集団では大きな落車が発生。
総合首位のタデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ)も巻き込まれてしまうけれども、幸いダメージが無かったようでそのままレースに復帰。
ただ、チームDSMのケヴィン・ヴェルマークは鎖骨を骨折してしまい、無念のリタイアに…。
その後は大きなトラブルもなく、レースは穏やかに進行。
残り62km、中盤の緩いアップダウン区間で先頭からフリソンが脱落。
まあ、平坦系ルーラーだから仕方がないか。
先頭は、その後しばらくカッタネオとライトの2人旅が続き、終盤まで大きな動きは出ない流れに。
残り8.4km、カッタネオが脱落してライトの独走態勢になるけれども、メイン集団はもう30秒後方まで迫っている。
と言うか、ライトがカッタネオを千切ったのか…。
2020年のブエルタ・ア・エスパーニャではスプリントステージで4位に入っていたからスプリンター系かと思いきや、この日は丘陵ステージでオールラウンダーとして実績のあるカッタネオを千切るとか…。
更に言えば、今年のロンド・ファン・フラーンデレンでは、一時は先頭集団に入っての7位。
割と謎脚質なイギリス出身の23歳、ちょっと今後が楽しみかも。
ライトを捕まえようとするメイン集団では、この日の優勝候補とも予想されていたマチュー・ファンデルプール(アルペシン・ドゥクーニンク)が牽引する場面も。
確かにファンデルプールの牽引で一気にタイム差は縮まったけれども、アルペシンは誰で勝負するの…?
残り4.8kmから最後の3級山岳が始まると、メイン集団ではなんとポガチャルが早くも前から2~3番目ぐらいにポジションを上げている。
その少し後ろにはワウト・ファンアールト(チーム・ユンボ・ヴィスマ)やマイケル・マシューズ(チーム・バイクエクスチェンジ・ジェイコ)というこの日の有力候補、そして総合系のチームもしっかりと位置を上げて来る。
残り3.5km、ここまで粘っていたライトが遂に吸収される。
メイン集団を牽引するのはパトリック・コンラッド(ボーラ・ハンスグローエ)、総合エースのアレクサンドル・ウラソフの姿も少し後方に見える。
残り3km、集団の並びはコンラッド、ラファウ・マイカ(UAE)、ポガチャル、ヨナス・ヴィンゲゴー(ユンボ)、ファンアールト…といった順番。
…なんか、総合争いのステージに見えなくもない並びだ。
残り2km、バイクエクスチェンジの隊列がマシューズを引き連れて前方に上がってくる。
残り1.5km、登りでの猛牽引を続けていたコンラッドがここで離脱して、先頭はUAEの隊列に(マイカとポガチャルの並びに、後方からスルスルっと上がってきたブランドン・マクナルティもジョイン)。
残り1km、相変わらず先頭はUAEの3人、背後にはファンアールトとヴィンゲゴーのユンボ勢、その後方にマシューズ、ウラソフ、マイケル・ウッズ(イスラエル・プレミアテック)なんかがいる。
ここから勾配が厳しい区間に入ると、ゲラント・トーマスとアダム・イェーツのイネオス・グレナディアーズ勢やエンリク・マス(モビスター・チーム)など、総合系の選手も前方へとポジションを上げて来る!
マイカが下がってマクナルティの牽引に交代、勾配が緩くなって少し落ち着いた様子の集団、このまま最後のスプリントに突入か。
残り200mを切って、真っ先に仕掛けたのはマシューズ!
そこにポガチャルとアンドレアス・クロン(ロット・スーダル)が反応、ファンアールトは少し埋もれているか!?
しかし緩めのカーブで前方が開けると、ファンアールトはもの凄い加速で一気に先頭へ!!
ファンアールト、マイヨジョーヌで勝った第4ステージに続いて、マイヨヴェールを着てのステージ勝利!!
「登れるスプリンター」の代表格であるマシューズを、軽々と抜き去っていくとか…!
これで、スプリントポイントを264ptまで積み上げて、ポイント2位のファビオ・ヤコブセン(クイックステップ)との差は115ptにまで拡大!
平坦スプリントでも常に上位に入り、独走や登りスプリントで勝利を挙げ、中間スプリントポイントでもしっかりと稼ぎ、更には個人タイムトライアルでもポイントを獲得してしまう、異常なまでの万能性。
もう、誰も止められない。
誰も止められないと言えば、もう一人。
ファンアールトにマシューズという「スプリンター」に続いて、ステージ3位に入ったポガチャル。
コース取りやタイミング次第では、勝っていても全くおかしくなかったそのスプリント力は、やはり総合系の選手としては…控えめに言っても異常なほど。
ステージ3位に入りボーナスタイムを獲得した事で、この日もライバルとの差を4秒広げるとか、もはや意味が分からない…。
ただ、それでも総合2位ヴィンゲゴーとの差は39秒。
なんだか「無双状態」な感じが強かったけれども、まだまだ全然射程圏内だ。