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【レース感想】ツール・ド・フランス2022 第8ステージ

黄色と緑

4級・3級・4級とカテゴリー山岳を通過し、最後は3級山岳(登坂距離4.8km・平均勾配4.6%)へとフィニッシュする丘陵ステージ。

逃げ切りが決まりそうにも見えるし、パンチャー系の登りスプリントになる可能性もありそうな、なんとも言えないレイアウトだ。

 

割とすんなり決まった逃げに乗ったのは、マッティア・カッタネオ(クイックステップ・アルファヴィニル)、フレデリック・フリソン(ロット・スーダル)、フレッド・ライトバーレーン・ヴィクトリアス)の3人。

総合19位(3分58秒遅れ)のカッタネオが逃げたので、メイン集団は大きなタイム差を与えない展開に。

これは、逃げ切りは厳しいな…。

 

レース序盤、J SPORTSでの日本語中継が始まる前に、メイン集団では大きな落車が発生。

総合首位のタデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ)も巻き込まれてしまうけれども、幸いダメージが無かったようでそのままレースに復帰。

ただ、チームDSMのケヴィン・ヴェルマークは鎖骨を骨折してしまい、無念のリタイアに…。

 

その後は大きなトラブルもなく、レースは穏やかに進行。

残り62km、中盤の緩いアップダウン区間で先頭からフリソンが脱落。

まあ、平坦系ルーラーだから仕方がないか。

先頭は、その後しばらくカッタネオとライトの2人旅が続き、終盤まで大きな動きは出ない流れに。

 

残り8.4km、カッタネオが脱落してライトの独走態勢になるけれども、メイン集団はもう30秒後方まで迫っている。

と言うか、ライトがカッタネオを千切ったのか…。

2020年のブエルタ・ア・エスパーニャではスプリントステージで4位に入っていたからスプリンター系かと思いきや、この日は丘陵ステージでオールラウンダーとして実績のあるカッタネオを千切るとか…。

更に言えば、今年のロンド・ファン・フラーンデレンでは、一時は先頭集団に入っての7位。

割と謎脚質なイギリス出身の23歳、ちょっと今後が楽しみかも。

 

ライトを捕まえようとするメイン集団では、この日の優勝候補とも予想されていたマチュー・ファンデルプール(アルペシン・ドゥクーニンク)が牽引する場面も。

確かにファンデルプールの牽引で一気にタイム差は縮まったけれども、アルペシンは誰で勝負するの…?

残り4.8kmから最後の3級山岳が始まると、メイン集団ではなんとポガチャルが早くも前から2~3番目ぐらいにポジションを上げている。

その少し後ろにはワウト・ファンアールト(チーム・ユンボ・ヴィスマ)やマイケル・マシューズ(チーム・バイクエクスチェンジ・ジェイコ)というこの日の有力候補、そして総合系のチームもしっかりと位置を上げて来る。

残り3.5km、ここまで粘っていたライトが遂に吸収される。

メイン集団を牽引するのはパトリック・コンラッド(ボーラ・ハンスグローエ)、総合エースのアレクサンドル・ウラソフの姿も少し後方に見える。

残り3km、集団の並びはコンラッド、ラファウ・マイカUAE)、ポガチャル、ヨナス・ヴィンゲゴー(ユンボ)、ファンアールト…といった順番。

…なんか、総合争いのステージに見えなくもない並びだ。

残り2km、バイクエクスチェンジの隊列がマシューズを引き連れて前方に上がってくる。

残り1.5km、登りでの猛牽引を続けていたコンラッドがここで離脱して、先頭はUAEの隊列に(マイカとポガチャルの並びに、後方からスルスルっと上がってきたブランドン・マクナルティもジョイン)。

残り1km、相変わらず先頭はUAEの3人、背後にはファンアールトとヴィンゲゴーのユンボ勢、その後方にマシューズ、ウラソフ、マイケル・ウッズ(イスラエル・プレミアテック)なんかがいる。

ここから勾配が厳しい区間に入ると、ゲラント・トーマスとアダム・イェーツのイネオス・グレナディアーズ勢やエンリク・マス(モビスター・チーム)など、総合系の選手も前方へとポジションを上げて来る!

イカが下がってマクナルティの牽引に交代、勾配が緩くなって少し落ち着いた様子の集団、このまま最後のスプリントに突入か。

残り200mを切って、真っ先に仕掛けたのはマシューズ!

そこにポガチャルとアンドレアス・クロン(ロット・スーダル)が反応、ファンアールトは少し埋もれているか!?

しかし緩めのカーブで前方が開けると、ファンアールトはもの凄い加速で一気に先頭へ!!

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ファンアールト、マイヨジョーヌで勝った第4ステージに続いて、マイヨヴェールを着てのステージ勝利!!

「登れるスプリンター」の代表格であるマシューズを、軽々と抜き去っていくとか…!

これで、スプリントポイントを264ptまで積み上げて、ポイント2位のファビオ・ヤコブセンクイックステップ)との差は115ptにまで拡大!

平坦スプリントでも常に上位に入り、独走や登りスプリントで勝利を挙げ、中間スプリントポイントでもしっかりと稼ぎ、更には個人タイムトライアルでもポイントを獲得してしまう、異常なまでの万能性。

もう、誰も止められない。

 

誰も止められないと言えば、もう一人。

ファンアールトにマシューズという「スプリンター」に続いて、ステージ3位に入ったポガチャル。

コース取りやタイミング次第では、勝っていても全くおかしくなかったそのスプリント力は、やはり総合系の選手としては…控えめに言っても異常なほど。

ステージ3位に入りボーナスタイムを獲得した事で、この日もライバルとの差を4秒広げるとか、もはや意味が分からない…。

ただ、それでも総合2位ヴィンゲゴーとの差は39秒。

なんだか「無双状態」な感じが強かったけれども、まだまだ全然射程圏内だ。