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【レース感想】ツール・ド・フランス2021 第13ステージ

34勝目!!

ニームをスタートしてカルカッソンヌにフィニッシュする第12ステージは、4級山岳と多少の起伏があるけれども、スプリンター向けに見えるレイアウト。

ただし、過去にツールで7度あったカルカッソンヌにフィニッシュしたステージでは、何故か全て逃げ切りで勝負が決まっているというジンクスがある。

エディ・メルクスの持つツールのステージ最多勝記録に王手をかけたマーク・カヴェンディッシュ(ドゥクーニンク・クイックステップ)が、果たしてスプリントで34勝目を飾れるか注目が集まる中、レースはスタート!

 

しばらく落ち着かない展開でアタック合戦が繰り広げられ、25kmほど走ってから3人の逃げ集団が形成される。

メイン集団はドゥクーニンクがコントロールして、逃げとのタイム差は最大でも4分ほどまでに留めながらレースは進んでいく。

 

残り115.7km地点の中間スプリントポイントでは、この日もメイン集団で先着争いが繰り広げられ、ソンニ・コルブレッリ(バーレーン・ヴィクトリアス)が先着(全体4番手)、次いでマイケル・マシューズ(チーム・バイクエクスチェンジ)が通過。

ポイント賞争いのトップに立つカヴェンディッシュはこの日も中間には興味を示さず、ステージ勝利に照準を合わせる構えを見せている。

 

レース中盤以降はメイン集団の牽引にドゥクーニンクだけではなくアルペシン・フェニックスも積極的に加わってくる中、残り70kmを切って来るとメイン集団で動きが出てくる。

フィリップ・ジルベール(ロット・スーダル)やピエール・ローラン(B&Bホテルス p/b KTM)やアレックス・アランブル(アスタナ・プレミアテック)などがアタックを仕掛けるけれども、ドゥクーニンクとアルペシンが中心となってこの動きはしっかり封じ込める。

 

レースが活性化して緊張感が高まってきた状況で、路面状況の悪いダウンヒルで大きな落車が発生してしまう…。

何人かが崖下の茂みに転落してしまうような激しい落車で、サイモン・イェーツ(バイクエクスチェンジ)、ルーカス・ハミルトン(バイクエクスチェンジ)、ロジャー・クルーゲ(ロット)の3人が残念ながらリタイアとなってしまった(チームDSMのセーアン・クラーウアナスンもステージ完走後にリタイア)。

 

残り53km辺りという比較的早い段階で、逃げ残っていたピエール・ラトゥール(トタルエナジーズ)とオメル・ゴールドスタイン(イスラエル・スタートアップネイション)が集団に捕まる。

その後、カンタン・パシェ(B&Bホテルス)やヤン・バークランツ(アンテルマルシェ・ワンティゴベールマテリオ)が飛び出しを試みたりはしたものの、バークランツは残り28km辺りで、パシェは残り19km辺りでメイン集団に吸収される。

直後の横風区間でイネオス・グレナディアーズが分断を図ってペースを上げたけれども、大勢に影響はないままレースは集団スプリントに向かう事に。

 

残り3kmで集団の先頭を牽いているのはマッティア・カッタネオ(ドゥクーニンク)。

ドゥクーニンクはバーレーンに一旦先頭を譲るけれども、残り2kmを切るとカスパー・アスグリーン、ダヴィデ・バッレリーニ、ミケル・モルコフ、そしてカヴェンディッシュという盤石のトレインで再び先頭に躍り出る。

ここからアスグリーンが見事な高速牽引を披露して、他のチームに主導権を握らせない!

残り600mのコーナーでドゥクーニンクに被せてきたのはチームDSMのトレイン、ニルス・エークホフがケース・ボルを引き連れている!

すぐさまバッレリーニが先頭を奪い返すけれども、このコーナーでカヴェンディッシュは一旦位置を少し下げてしまう。

しかしモルコフがすぐさまカヴェンディッシュを拾い上げ、そのまま前へと牽いていく!!

バッレリーニは敢えてそのまま少し先行、それを追いかけるような形で残り300mからイヴァン・ガルシア(モビスター・チーム)が早めのスプリントを開始!

モルコフはガルシアを逃さずその背中に張り付き、カヴェンディッシュもしっかり後ろに付いていく!

残り100mを切ってからカヴェンディッシュが満を持してスプリントを開始!!

横からジャスパー・フィリプセン(アルペシン)も上がってくるけれども、カヴェンディッシュは前を譲らない!!

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カヴェンディッシュが今大会4勝目、そしてツール通算34勝目!!

遂にエディ・メルクスの歴代最多勝に並んだ!!

改めて言うまでもないけれども、カヴェンディッシュ完全復活!!

今大会スプリントに参加したステージでは全勝と、もはや手が付けられない!!

 

そして、もちろんカヴェンディッシュの爆発力も素晴らしいけれども、相変わらずのドゥクーニンクのアシスト陣の働きぶりはお見事!

特に、最終発射台のモルコフの貢献度は、本当に凄すぎる。

この日も、はぐれそうになったカヴェンディッシュをしっかり牽き上げ、そしていつものように他チームのエースが飛び出せないような高速リードアウトを見せて、カヴェンディッシュを万全の状態で発射。

更にはフィリプセンの伸びがイマイチと見るや、ハンドルを投げて自らもステージ2位に入りポイント獲得を阻害と、世界最高のリードアウターという評価に恥じない素晴らしい仕事ぶりを見せてくれた。

歴代最多に並んだカヴェンディッシュ、そしてドゥクーニンクに死角なし。

今大会中の歴代最多勝更新、そしてカヴェンディッシュ10年振りのポイント賞獲得が、かなり現実味を帯びてきた!