激坂フィニッシュ!
第6ステージは、下り基調の前半、海外沿いのド平坦な中盤から終盤を経て、最後の最後に登坂距離1.9km・平均勾配9.4%・最大勾配21%の激坂でフィニッシュという、なかなかどう表現していいか困るようなレイアウト。
序盤から結構出入りの激しいアタック合戦が続き、やっと5人の逃げが固まったのは50kmほど走ってから。
メイン集団から許されたタイム差は最大で3分強ぐらいで、これは逃げ切れるか微妙…と言うか、どちらかと言えば逃げ切りはやや厳しめかな?
海沿いの周回コースに突入すると、メイン集団では横風による分断が発生。
牽いているのは、意外にもモビスター・チーム!
この動きでヒュー・カーシー(EFエデュケーション・NIPPO)やケニー・エリッソンド(トレック・セガフレード)が後方に取り残されてしまうけれども、進行方向が変わった事で集団のペースが落ち着き、一旦集団はまた一つに合流する。
ただ、周回コースなので、もちろんもう一度同じ個所を走る訳で…。
そして2周目、またしてもモビスターが中心となってペースアップを敢行!
縦に引き伸ばされる集団、後方で遅れていく選手達…。
そしてその中には、またしてもカーシーの姿が…。
当然EFはアシスト総出でカーシーを引き戻そうと、必死の追走を見せて…何とか再び合流に成功する。
この複数回のペースアップでメイン集団がそのまま逃げを捕まえるのかと思っていたら、EFがメイン集団に合流した残り8km辺りの時点で、先頭とのタイム差はまだ1分残っている。
ただ、フィニッシュが近づくにつれて、流石にじわじわと縮まってはいく。
残り5km、50秒。
残り3km、35秒。
残り1.9km、逃げが激坂の登坂口に到着した時点で、タイム差は25秒。
逃げ切りになるかどうか、かなり微妙なタイム差だ…。
逃げ集団で明らかに強かったのは、EFの登れるスプリンター、マグナス・コルト!
唯一喰らい付いてきたベルトヤン・リンデマン(チーム・キュベカ・ネクストハッシュ)も突き放し、迫りくるメイン集団から単独で逃げる!
一方のメイン集団は、登坂の入り口からジョナタン・ナルバエス(イネオス・グレナディアーズ)がとんでもないペースで牽引。
チームメイトのリチャル・カラパスが離されてしまう程の猛牽引で、集団を一気に絞り込む!
残り1km、メイン集団に残っているのは、プリモシュ・ログリッチ(チーム・ユンボ・ヴィスマ)、エガン・ベルナル(イネオス)、エンリク・マス(モビスター)、ミゲルアンヘル・ロペス(モビスター)、アレハンドロ・バルベルデ(モビスター)、アレクサンドル・ウラソフ(アスタナ・プレミアテック)、マイケル・マシューズ(チーム・バイクエクスチェンジ)、アンドレア・バジョーリ(ドゥクーニンク・クイックステップ)など、ごく僅か。
残り700m辺りからマシューズがペースを上げると、ロペスとウラソフがすぐさま反応。
残り500m、マシューズが再びアタックを見せるも、ウラソフがしっかりと対応し、そしてその後ろからはログリッチが集団を牽きながらペースを上げている!
残り200m、ログリッチはそのままマシューズをぶち抜き、もうコルトのすぐ後方まで迫っている!
コルトは残り100mで後方を振り返りログリッチを確認すると、最後の力を振り絞ってペダルを踏みこむ!
ログリッチはライバルを突き放してコルトに迫るけれども、コルトも最後まで踏みが衰えない!!
コルトが最後まで粘って逃げ切り勝利!!
メイン集団は相当なペースになっていたはずなのに、最後までペースを崩さずに逃げ切ったのは本当に凄い!
ここ数年は「登れるスプリンター」と言うか、もはや何と形容していいか分からないような不思議な脚質を見せるコルトは、今後のステージでもまた期待できそうだ!
ステージ2位に入ったログリッチは、ライバルから数秒のタイムを奪う事に成功して、更にはマイヨロホも奪還する事に。
最終局面でアシストがいないのは少し気になるけれども、やっぱり強い!
そして総合タイムの2位~4位には、なんとモビスターの3人、マス、ロペス、バルベルデが陣取るという、結構意外な展開に。
この結果なら、横風区間で集団に負担をかけた甲斐も充分あったと言っていいはず。
モビスターが拘り続けていたトリプルエース体制が、遂に機能する日がやってきたのか。
この先の総合争い、面白くなりそうだ!