初心者ロードレース観戦日和

初心者でもいいじゃない!ロードレース観戦を楽しもう!

【レース感想】ブエルタ・ア・エスパーニャ2021 第11ステージ

激坂フィニッシュを制するのは…

コース終盤に2級山岳、そしてフィニッシュ直前に最大勾配30%の超激坂が登場する、なんともブエルタらしい丘陵ステージ。

 

スタート前に、ここまでステージ2勝のジャスパー・フィリプセン(アルペシン・フェニックス)と、第1ステージで2位に入っていたアレックス・アランブル(アスタナ・プレミアテック)がリタイアという情報が入ってくる…。

フィリプセンは発熱のため、そしてアランブルは前日の落車の影響との事だけれども、ここまでかなり活躍していた選手だけに、仕方がないとは分かりながらもこれはなかなか悲しい…。

 

結構今後の展開に影響がありそうな(アランブルはこの日の優勝候補だった気もする…)離脱を悲しみながらも、レースはスタート。

この日の逃げは5人、そしてメイン集団から許されたタイム差は最大で2分程度と、前日とはある意味真逆の展開に。

メイン集団を牽引しているのは、リーダージャージのオッドクリティアン・エイキングを抱えるアンテルマルシェ・ワンティゴベールマテリオと、ステージ狙いっぽいチーム・バイクエクスチェンジと…あれ?牽引の責任から逃れる為に前日マイヨロホを明け渡したはずのチーム・ユンボ・ヴィスマ?

これは…ユンボは2級山岳のボーナスタイムかステージ優勝のボーナスタイム(もしかしたら両方?)をプリモシュ・ログリッチで狙うのか…?

 

残り7.8kmにそびえる2級山岳に突入すると、逃げ集団からマグナス・コルト(EFエデュケーション・NIPPO)が単独で抜け出す!

遅れた4人がメイン集団に吸収される中、コルトはそのままメイン集団に20秒程のタイム差を付けて山頂を先頭で通過。

第6ステージでも最終盤に逃げから飛び出し、そして激坂で粘って勝利を飾ったコルトは、最後の登坂の勾配がより厳しいこの日も逃げ切れるか…!?

一方のメイン集団では、山頂の2kmほど手前でダヴィ・デラクルス(UAEチームエミレーツ)がアタック!

アタック直後はデラクルスを追う選手がいなかったけれども、ステージ優勝を狙うバイクエクスチェンジやユンボが集団のペースを上げてじわじわと近づいていく。

そして山頂直前、デラクルスのすぐ後方まで迫っていたメイン集団から、山岳賞ジャージを着用しているダミアーノ・カルーゾ(バーレーン・ヴィクトリアス)が飛び出す!

カルーゾはそのままデラクルスを抜き去って山頂を全体2位で通過して山岳ptを獲得、山岳賞争いでライバルを更に突き放す事に成功する!

 

コルトはダウンヒルも無難にこなし、15秒程のリードを保ったままフィニッシュ地点に向けた1.2kmの登坂に突入。

少し遅れて登坂に入ったメイン集団を牽くのはセップ・クス。

後ろにエースのログリッチを控えさせ、ペースを上げて集団を一気に絞り込む!

クスが仕事を終えて下がるとそのままログリッチが更にペースを上げ、そこに付いていけたのはエンリク・マス(モビスター・チーム)のみ!

前方のコルトも意外と粘っているけれども、ログリッチとマスはすぐ後方まで迫ってきた!

そしてここでログリッチとマスがお互いに牽制し合って若干ペースダウン、前方のコルトは最後の力を振り絞ってなんとか踏んでいるけれども…流石に限界が近い様子だ。

一旦メイン集団に追いつかれたログリッチとマスだったけれども、残り200m辺りからマスが必死の形相でアタック!

マスの背中にはログリッチがピッタリと反応し、完全に足が止まってしまったコルトを2人が一気に抜き去っていく!

最終コーナーを抜け残り50m、ログリッチがマスを抜いて先頭へ!

そのままログリッチは余力の差をはっきりと見せつけ、マスに3秒差を叩きつけてのフィニッシュ!!

Embed from Getty Images

強い!!強すぎる!!

グリッチがその力を誇示するかのような、タイム差以上に圧倒的な勝利!!

今年のフレッシュ・ワロンヌで2位に入っているのだからログリッチが激坂に強いのはある意味当たり前ではあるんだけれども、マスも相当に調子が良さそうなのに、個の力ではログリッチが抜きん出ているのが明らか!

もちろん、ログリッチの調子が最後まで続くかは分からないし、モビスターにはマスだけでなくミゲルアンヘル・ロペスも上位に残せている強みがあるし、今大会は「眠っている」イネオス・グレナディアーズが逆襲に出る可能性だってあるけれども、とにかくログリッチが凄い!

今年のブエルタも残すところ半分、果たして「ログリッチ無双」が続くのか、それともライバルチームの逆襲はあるのか。

なかなか見応えのある内容になってきたと思うので、残りのステージもしっかり楽しんでいきたい。