根性、根性、ド根性!
またまたやってきた「平坦ステージに登りフィニッシュを添えて」という、ブエルタらしさ全開のレイアウト!
…と言うか、この日のレイアウトは全体的に結構アップダウンがあって、そもそも丘陵ステージで良い気もするけれども…細かい事を気にしてはいけない、ここはブエルタだ。
逃げ切りに適したステージという事で、スタート直後からステージ勝利を目指す野心家たちによる活発なアタック合戦の様相に。
50kmほどのやり合いを経て形成された逃げ集団の構成は、以下の13人。
- クレモン・シャンプッサン(AG2Rシトロエン)
- ボブ・ユンゲルス(AG2R)
- ジーノ・メーダー(バーレーン・ヴィクトリアス)
- フレッド・ライト(バーレーン)
- ヘスス・エラダ(コフィディス)
- リゴベルト・ウラン(EFエデュケーション・イージーポスト)
- カンタン・パシェ(グルパマFDJ)
- アレッサンドロ・デマルキ(イスラエル・プレミアテック)
- ローソン・クラドック(チーム・バイクエクスチェンジ・ジェイコ)
- ケニー・エリッソンド(トレック・セガフレード)
- マルク・ソレル(UAEチームエミレーツ)
- エリー・ジェベール(アルケア・サムシック)
- シモン・グリエルミ(アルケア)
どの選手にも勝ち筋があり得る、かなり良いメンバーじゃないか、これ?
一方のメイン集団は、総合首位のレムコ・エヴェネプールを擁するクイックステップ・アルファヴィニルがコントロール。
先頭集団の中で総合タイムが最も良いのが14分56秒遅れ(総合12位)のウランなので、先頭に最大で7分以上のタイム差を与えて完全に逃げ切りを容認。
展開次第では、ウランが総合10位以内にジャンプアップする可能性が出てきた。
レースに動きが出てきたのは残り20kmを切ってから。
残り19km、逃げ集団の中では登坂力に少し不安のあるクラドックが、2級山岳を待たずに緩い登り区間でアタックを仕掛けると、レースは一気に活性化。
このペースアップにライトが少し遅れ、そしてしばらくするとクラドックは一旦吸収。
そのカウンターでアタックしたのはシャンプッサン。
この動きもすぐ吸収されるけれども、AG2Rはシャンプッサンとユンゲルスという強力な2人を揃えているので、積極的に揺さぶりをかける構えか。
残り16kmを切った辺りで、クラドックが再度アタック。
どうしても2級山岳の前で抜け出したい、もしくは少しでも絞り込みを掛けたいように見える。
残り12.3km、遅れていたライトが集団に戻ってくると、そのままスルスルっとアタック!
ウランなんかがすぐさま反応してこの動きを潰したけれども、最後の力を振り絞ってメーダーの為に少しでもライバルの脚を削ろうとトライしている感じだろうか。
クラドックが単独先頭、10秒強ほど離れて12人の追走集団と言う構図で、いよいよフィニッシュとなる2級山岳(登坂距離10.3km・平均勾配5%)に突入。
7分30秒後方のメイン集団は、クイックステップに代わってモビスター・チームやイネオス・グレナディアーズが隊列を組んで牽引をしているけれども、逃げの選手を捕まえるような意志はやはり無さそうだ。
残り6km、気が付けばクラドックは追走11人(ライトが早々に脱落)とのタイム差を25秒にまで広げている。
残り5.5km、追走集団からアタックを仕掛けたのはジェベール。
この動きをウランとシャンプッサンが追いかけ、残り4km辺りでジェベールに合流。
しばらくするとここにパシェが追いつき、入れ替わるようにジェベールは脱落。
残すは3km、先頭のクラドックと追走3人のタイム差は約10秒にまで縮まっている!
ただ、ここからクラドックが意外な粘りを見せる。
そして追走は、ソレルとエラダとエリッソンドが加わり6人になり、逆に牽制し合ってあまりペースが上がらない?
まさかまさか、クラドックの逃げ切りがあり得るのか…?
残り2kmでソレルのアタック、続いてパシェもアタックそを仕掛けるけれども、散発的なアタックだとやはりペースが上がらない…と思っていたら、ウランが強烈な加速を見せて、追随してきたエラダと共にクラドックを遂に捕まえる!!
先頭に2人が追いついた事でペースが緩み、少し遅れてソレル、シャンプッサン、パシェも合流して残り1kmのゲートを通過。
その瞬間、シャンプッサンが例の如くもの凄い気合の入った表情でアタック!
全開の加速を見せるシャンプッサンだったけれども、少し仕掛けるのが早すぎたのか、残念ながら早々に失速してあえなく吸収。
そのカウンターで仕掛けたのはエラダ、反応できるのはウラン、ソレル、パシェの3人のみ!
残り400mでウランがエラダを捕まえ、少し遅れてソレルとパシェも何とか合流。
その直後、ウランがアタック!!
ウランはそのまま全開で踏み続けて先頭をキープ!!
残り200m…残り100m…残り50m、ウランのアタックは勢いを失わない!!
ガッツポーズする余力すら残さない全身全霊でのアタック!!
ウランが自身初となるブエルタのステージ勝利を飾り、全グランツールでのステージ勝利を達成!!
いや~、もの凄い激熱なアタック合戦だった!!
どの選手も最後の一滴まで出し尽くしての「殴り合い」、本当に見応えがあった!!
そんな激闘を制したウラン、表彰台で見せるまぶしい笑顔がまた素敵なんだ…!!
35歳のベテラン、これからもまだまだ頑張って欲しい!