初心者ロードレース観戦日和

初心者でもいいじゃない!ロードレース観戦を楽しもう!

【レース感想】ジロ・デ・イタリア2024 第5ステージ

3週目のような展開…!

第5ステージは、3級山岳と4級山岳が登場しつつも全体の難易度はそこまで高くなくて、集団スプリントが予想されるレイアウト。

最後の4級山岳の位置もフィニッシュから20km以上手前だから、直近2ステージのような飛び出しは起こりにくいはず。

 

スタート後に逃げを形成した4人に対して、メイン集団は万が一にも逃げ切りのチャンスを与えまいと、タイム差を最大で1分45秒ほどにコントロール

登坂距離15.3km・平均勾配4%と緩くて長い3級山岳に突入すると、アルペシン・ドゥクーニンクのアシスト陣がメイン集団のペースを一気に上げてくる。

アルペシンによるペーシングは、ファビオ・ヤコブセン(チームDSMフェルミニッヒ・ポストNL)やカレブ・ユアン(チーム・ジェイコ・アルウラー)などのスプリンターを脱落させるだけでなく、そのまま逃げを吸収してしまう。

そこからなかなか新たな逃げが生まれず、なんだか緩いペースでレースが展開していったけれども、残り77km、中間スプリントポイントを通過した直後に新たな逃げが発生。

メンバーは…バンジャマン・トマ(コフィディス)、ミケル・ヴァルグレン(EFエデュケーション・イージーポスト)、エンゾ・パレニ(グルパマFDJ)、アンドレア・ピエトロボン(ポルティ・コメタ)の4人。

ただやはり、メイン集団は新たな逃げ集団にも大きなリードは許さず、タイム差は最大でも1分30秒前後。

残り40kmを切るとタイム差は1分を切るぐらいに縮小して、先頭の4人が捕まるのは時間の問題か。

 

な~んて思っていたら、そこからタイム差がなかなか縮まっていかない。

残り30kmで58秒…10km前と変わらず。

4級山岳を越えて残り20km、ここでも56秒差とほぼ動いていない。

まだここからペースを上げれば、十分に追いつける距離ではあるけれども…?

残り15km、リドル・トレックのアシストが懸命に集団を引っ張っているけれども、タイム差は未だに52秒も残っている。

そろそろリドル以外のチームも牽引に力を貸さなければ、ちょっと怪しくないか…?

残り10km、スーダル・クイックステップやジェイコのアシストも牽引に加わるけれども、いまいち協調しきれていない様子で、タイム差は44秒とあまり縮まってはいない。

残り5km、チーム・ヴィスマ・リースアバイクやアンテルマルシェ・ワンティも牽引に協力、しかしタイム差は…まだ40秒もある。

残り3km、32秒差と縮まってはいるけれども…このままのペースだとかなり際どい上に、メイン集団の先頭にいるのはイネオス・グレナディアーズのアシスト陣…!?

総合勢のイネオス…要するに逃げを捕まえる意思を持たないチームが前に出ていると、集団のペースは上がらないぞ…!?

残り2km、タイム差は未だに25秒!

メイン集団は…牽引するアシストがほとんど残っていないのか、若干お見合いのような状況に…!!

そして残り1kmでも22秒差、これは逃げ切り確定だ…!!

 

ここまで全く牽制をせずに逃げてきた先頭の4人、残り900mを切って真っ先に仕掛けたのは、終盤はローテーションできずに、付いていくのが精一杯のようにも見えていたピエトロボン!

疲れているように見せかけて脚を温存していたのか、ピエトロボンはギャップを生み出すことに成功…!!

しかし後ろもパレニがしっかりと踏み、徐々にその差を詰める!

残り200m、ヴァルグレンがパレニの背後から加速、そしてトマもその動きにしっかり反応して付いていき、残り50mでピエトロボンを捕まえる!!

ヴァルグレンとトマが横並びで競る!!

最後の最後で前に出たのは…トマ!!

Embed from Getty Images

まさかまさか、1週目から平坦ステージでの逃げ切り!

トマは、これが嬉しいワールドツアー初勝利!!

集団が疲弊している3週目には割とよく起こるけれども、1週目に平坦ステージでの逃げ切りは…かなりの驚き!

そしてこれまた意外だったのは、トマがグランツールどころかワールドツアー未勝利だったということ。

トラック競技で実績のある選手だし、どこかで勝っていると思い込んでいたけれども…。

なにはともあれ、素晴らしい逃げ切り勝利、おめでとう!

 

結果論にはなるけれども、アルペシンが3級山岳で力を使いすぎたこと、そして最初の逃げを捕まえてしまったのは、完全に裏目に出てしまったね…。

まあでも、自分たちでレースの展開を作ろうという姿勢は、ある意味間違っていないというか、その気概は大事な要素でもある。

エースのカーデン・グローブスも調子が良さそうなので、残りのスプリントステージでもその動きを楽しみにしていたい。