マイヨ・ヴェールに向かって!
第8ステージは、長い登坂はないけれども細かい起伏が絶え間なく続く、なんとも難易度を読みにくいレイアウト。
一応、集団スプリントの可能性が高そうだけれども、ラスト1kmが若干の登り勾配ということもあり、重量級のスプリンターは厳しそうか。
逃げ切りの可能性も若干ありそうなレイアウトだと思ったけれども、山岳賞ジャージを着るヨナス・アブラハムセン(ウノエックス・モビリティ)による1人逃げが長く続く、少し意外な展開に。
そのおかげで、アブラハムセンは争うことなく5つのカテゴリー山岳全ての先頭通過に成功。
アブラハムセンに一時は6分以上のタイム差を与えていたメイン集団は、コース中盤以降にしっかりとその差を詰めていき、残り13kmでアブラハムセンを吸収。
やはり、集団スプリントの展開だ。
残り2km、集団の先頭に陣取るのはデカトロン・AG2R・ラ・モンディアルの隊列、ただこの位置でアシストが残り2人は、少し枚数が足りないように見える。
登り勾配が始まる残り1km地点、ここで先頭を奪取したのはアンテルマルシェ・ワンティ、アシスト3枚の後ろにマイヨ・ヴェールを着るエースのギルマイと、これはかなり良い体勢だ。
アンテルマルシェのアシストが1枚剝がれてペースを少し落とすと、先頭に出てきたのはコフィディスのトレイン。
2枚のアシストに守られたブライアン・コカールで勝負か。
残り500m、登り勾配で各チームのアシストが次々と力尽きて後退、あまりしっかり隊列を整えられているチームはいないような状況に。
先頭はコフィディスのアシスト、その後ろにコカール、ギルマイ、パスカル・アッカーマン(イスラエル・プレミアテック)、アルノー・ドゥリー(ロット・デスティニー)、ヤスペル・フィリプセン(アルペシン・ドゥクーニンク)と、各チームのエースが並ぶ。
残り250mを切るとコカールが先頭に…って、これは流石に早すぎる…。
やはり失速してしまうコカールを尻目に、先頭に飛び出したのはフィリプセンとギルマイ!
先頭で競り合う2人、その真後ろに入ってしまったドゥリーは前方への出口を見つけられない!
フィリプセンとギルマイが横並びのままフィニッシュラインへ近づく!
勝ったのは…ギルマイ!!
得意の登りスプリントで、今大会2勝目!!
チームメイトに良い位置まで運んでもらい、そこからはコフィディスの動きを利用して、最後は力強く踏み続けた!!
これまでは位置取りが良くなくて思うように踏めないレースが多かった印象だけれども、これは…明らかに成長しているぞ!
そしてポイント賞争いも、2位のフィリプセンに88pt差を付けて首位を快走!
エリトリアから現れた特大の才能が、このツールで完全覚醒するかもしれない。