勝利への逃走
第8ステージは、3級・1級・3級・4級と4つのカテゴリー山岳が登場する、かなり逃げ切りに適したレイアウト。
今大会最初の逃げ切り勝利を目指す動きはやはり激しくなり、集団から数名が少し飛び出しては捕まってを繰り返す展開が、かなり長く続くことに。
やっと安定した逃げが形成されたのは、最初の3級山岳を越えてしばらくしてから。
チーム・ヴィスマ・リースアバイクのウィルコ・ケルデルマンとディラン・ファンバーレ(ヴィスマ)、XDSアスタナ・チームのディエゴ・ウリッシとロレンツォ・フォルトゥナート、ロマン・バルデ(チーム・ピクニック・ポストNL)、ゲオルグ・シュタインハウザー(EFエデュケーション・イージーポスト)、ルーク・プラップ(チーム・ジェイコ・アルウラー)、ダヴィデ・フォルモロ(モビスター・チーム)、イゴール・アリエタ(UAEチームエミレーツ・XRG)など、かなり強力な選手が入った19人での逃げだ。
一方、メイン集団をコントロールするのは、総合首位のプリモシュ・ログリッチを抱えるレッドブル・ボーラハンスグローエ。
レッドブルはログリッチの負担を軽くするために、総合首位の座を逃げている選手に一旦明け渡すこと…つまり、大きなタイム差での逃げ切りを容認。
ステージ勝利は、逃げている19人の中で争われることになった。
19人とかなりの大人数だった先頭集団は、1級山岳を筆頭とした断続的なアップダウンで選別が行われる、過酷な展開に。
人数が7人にまで絞られた状態で、2度目の3級山岳の入り口付近から抜け出したのはケルデルマンとウリッシの2人。
実績十分のベテラン2人がこのままフィニッシュまで行くのかと思いきや、3級山岳の途中でアリエタとプラップが再合流に成功。
そして残り45.5km、追い付いたばかりのプラップがペースアップを敢行!
ケルデルマンとウリッシは全く反応できない、追いかけようとしたアリエタも離されていく…!
プラップはそのまま単独先頭で3級山岳を通過!
更にそこからのダウンヒルで、後続とのタイム差を30秒以上に拡大!
40km以上の長い距離、そして4級山岳を問題なくこなしたプラップは、そのまま30秒以上のリードを保った状態でフィニッシュへ向かう!
最後は勝利を確信してから、噛みしめるように、ゆったりとした動きのガッツポーズでフィニッシュ!!
独走力と登坂力を存分に活かした、見事な45km逃げ切り!!
そしてプラップは、意外にもこれがワールドツアー初勝利!!
独走力と登坂力はもちろん、慌てずにマイペースで先頭に再合流した冷静さ、そして仕掛け所を見逃さず一発で仕留めた思い切りの良さと、判断力が光っての勝利だ。
いやしかし…オーストラリア国内選手権ではロードレースと個人タイムトライアルでそれぞれ3度の優勝、2023年にはUAEツアーでは総合2位と、かなり強い選手なだけに、グランツールどころかワールドツアーでも勝っていなかったのは、本当に意外だった。
そして、総合首位の座は…38秒遅れの第2集団でフィニッシュしたウリッシのものに!!
これまでジロではステージ通算8勝とかなりの活躍を見せていたウリッシだけれども、初のマリア・ローザ着用!!
しかも、翌日の第9ステージは、出身地であるトスカーナでのレース…!!
今シーズンで36歳になる大ベテランへ、ジロから特大の贈り物だ…!!