初心者ロードレース観戦日和

初心者でもいいじゃない!ロードレース観戦を楽しもう!

【レース感想】パリ~ニース2020 第4ステージ~第5ステージ

 白熱の中盤戦!

目まぐるしい展開の連続だった、大荒れの序盤3日間を終えたパリ~ニース2020。

予想のつかないレース展開は私たちファンを本当に楽しませてくれました!

中盤戦に入り、これまた興奮するレースが繰り広げられた第4ステージ~第5ステージを振り返っていきます!

※コースの概要や有力選手など、レースプレビューはこちらの記事をどうぞ!

www.kiwaroadrace.com※序盤の感想はこちら!

www.kiwaroadrace.com

 

第4ステージ

第4ステージは15.1kmと短めなタイムトライアル(TT)。

緩めの登りがある前半からのテクニカルなコーナーが続く後半と、「途中で雰囲気の変わるステージを上手く攻略するのは一体どの選手なのか予想がつかないな~」なんて思いながら直前の予想。

放送開始直前、まずいいタイムをたたき出したのは去年のツール・ド・フランスのTTでの好走も記憶に新しい、「逃げ職人」トーマス・デヘント!

その独走力を放送で見られなかったのは残念だけれど、さすがの走りで存在感を発揮してくれるデヘント先輩はやっぱりカッコいいな・・・。

その後出走した有力選手、今大会屈指のTTスペシャリストであるヴィクトル・カンペナールツや地元出身(このステージが行われている町が生まれ故郷)のジュリアン・アラフィリップもデヘントのタイムには届かず。

自分が本命・対抗に挙げていた選手が届かず「このままデヘントが勝つかも」なんて思い始めた頃に、カスパー・アスグリーンがデヘントのタイムを僅か0.8秒更新!

その直後には、今度はセーアン・クラーウアナスンがそのタイムを18秒も上回りトップに躍り出る!

スグリーンもクラーウアナスンも25歳と、若い選手が好走を見せる中で最後に登場したのが、黄色いリーダージャージを纏うマクシミリアン・シャフマン(彼も26歳とまだ若い!)。

元々TTにも定評がある選手だけれど、総合1位の勢いそのままに快走を見せて、クラーウアナスンから6秒遅れの2位でフィニッシュ!

結果的に、総合争いのライバルとのタイム差を更に広げたシャフマン

この勢いのまま一気に優勝まで走り抜けるのか、それとも有力クライマーが山岳で逆転を成功させるのか、総合争いが面白くなってきた!

Embed from Getty Images

 

第5ステージ

今大会最長の第5ステージは結構起伏があるけど、公式には平坦カテゴリー。

逃げ集団が逃げ切るか、メイン集団が追いつき集団スプリントになるか正直分からないこのステージに対して、自分の予想がこちら。

第4ステージ前にサム・ベネット、この第5ステージ前にパスカル・アッカーマンと、2人の有力スプリンターがリタイア。

それでもまだエリア・ヴィヴィアーニ、カレブ・ユアン、マイケル・マシューズなど注目のスプリンターが残っているので、最後にスプリントチームが頑張らないかと、期待を込めての予想。

 

レースは開始直後から4人の逃げが発生。

ライアン・ミューレン、ヤン・トラトニック、アレクシー・グジャール、アントニー・テュルギスの4名・・・って、ものすごく逃げに向いているメンバーではないか!?

ミューレンとトラトニックはTT巧者、ルーラーのグジャールもパンチャーのテュルギスも逃げが得意と、マジでそのまま逃げ切る可能性も十分あるメンツ

 

メイン集団は途中最大で7分差ぐらいまで離れつつ、スプリントに持ち込みたいチームが牽引して加速していく。

そんな中、スピードに乗ったダウンヒルでマイケル・ウッズが落車してしまう・・・。

幸いにも意識はしっかりしているものの、苦悶の表情を浮かべて自力では立ち上がれないウッズはそのままリタイア(その後の診断で大腿骨の骨折と判明)。

ケガをした本人はもちろん、総合争いをしているイギータにとっても強力なアシストであるウッズを失ったダメージは大きい・・・。

 

そんなトラブルがありながらもメイン集団は徐々にタイム差を縮めていって、残り20km地点では1分差に。

このあたりでミューレンとテュルギスは力尽き、先頭から脱落。

先頭も苦しくなってきたこのタイミングで、ドゥクーニンク・クイックステップがアラフィリップやボブ・ユンゲルスでのメイン集団からの抜け出しを図る!

エーススプリンターのベネットがリタイアしているドゥクーニンクはスプリントを嫌っての抜け出しだったようだけれど、これは成功せず。

結局、「逃げ切り」か「スプリント」かという状態に戻る。

 

残り7kmぐらいで、先頭からグジャールも脱落。

さすがに「トラトニック1人では厳しいか」なんて思っていたら、なんとここからタイム差がなかなか縮まらない。

200km以上先頭で逃げてきてまだ脚が残っているのか・・・!

恐るべきトラトニックのタフネス!

そんな中で残り3km地点、集団ではなんとユアンがメカトラで遅れてしまう・・・。

ユアンは結局、今回のパリ~ニースでは1度もスプリント争いに参加すらできないまま終わってしまった。

 

そのままトラトニックは粘り続け、残り1kmで10秒差と逃げ切りも見えてきたが、そこから集団はスプリントを目指して猛加速!

残り50mというあとほんの僅かの地点で、無情にもトラトニックは集団スプリントに飲み込まれてしまった・・・。

そのトラトニックを先頭で抜いたニッコロ・ボニファツィオが、そのまま他の選手を寄せ付けずに1位でフィニッシュ!

逃げに乗って目立っていたテュルギスも含め、プロチームのトタルディレクト・エネルギーとしてはワールドチームを出し抜いて最高の結果を残したステージに!

また、最後は抜かれてしまったけれどトラトニックの走りは本当に素晴らしかった。

予想を覆すような大胆な走りと、選手たちの狙いのせめぎあいによるヒリヒリした展開はロードレースの醍醐味の1つだと再認識。

いや~、面白いステージだった!

Embed from Getty Images

 

今後のステージについて

続く第6ステージの開始までに、色々な事がありました。

まずは、バーレーンマクラーレンが第6ステージから出走取りやめ、レースからの撤退を発表。

選手やスタッフを守るための判断との事。

続いて、最終第8ステージの中止が正式発表

正直、ここまで続けられていることが奇跡的だと思っていたので、こうなる予想というか覚悟はしていました。

ファンとしては残念な気持ちもありますが、運営側やチーム・選手も断腸の思いのはず。

これらの判断は尊重・支持されるべきものだと思います。

ポジティブに考えれば、ロードレースを含む他のスポーツイベントが軒並み中止になっている中で、パリ~ニースを楽しむことができているのはとても幸せな事だと思います。

残りのステージも思いっきり堪能していきますよ!