初心者ロードレース観戦日和

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【レース感想】ストラーデ・ビアンケ 2020

ワールドツアー再開!

2020年8月1日。

ついにこの日がやってきました。

そう、新型コロナウィルスの影響で中断していたワールドツアーの再開です!

3月上旬のパリ~ニース以来なので、丸4か月以上もレースがありませんでしたが(冬のシーズンオフより長い!)、再びレースを見られるという事実に感動と興奮でテンションが上がります!

 

記念すべき初戦は、イタリアの美しも険しいレース、「白い道」ストラーデ・ビアンケ。

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トスカーナ地方の美しい田園風景とは裏腹に、コースの1/3を占める未舗装の砂利道(「セクター」と呼ばれ、全11か所存在)が選手たちを苦しめる、高難易度のレースです。

さらに、今年は8月開催という事で「暑さ」という要素も加わり、より一層厳しいレースになると予想されています。

優勝候補としては

  • 前年優勝のアラフィリップ
  • 前年準優勝のフルサン
  • 2年連続3位、元シクロクロス世界王者ファンアールト
  • 一昨年優勝のベノート
  • 過去に2度優勝しているクフィアトコフスキー
  • シクロクロス世界王者「怪物」ファンデルプール
  • 本気度は分からないけどペテル・サガン

以上のような、悪路を得意としつつ、高出力自慢の選手が挙げられるでしょうか。

そんな中、自分の予想は

本命と対抗はシクロクロス勢という固すぎる選出をして、穴と大穴は敢えてストラーデ・ビアンケのイメージがあまり無い選手を選んでみました。

ナーセンとか、ストラーデ・ビアンケに限らずもっと勝ってもいいと思うんだけどなぁ…。

 

同日開催の女子レースも男子の前に配信されていましたが、自分は翌日も朝から出勤のためしっかりと仮眠をとり、リアルタイム視聴は男子のみにしました。

仮眠から起床すると、ちょうど女子レースが終了した模様。

女王ファンフルーテン、強すぎ。

 

そして配信開始まで男子の経過をPCSのテキスト速報で確認。

…レースのペースが速くない?

配信開始までに、最初の勝負所であるセクター8「モンテ・サンテ・マリエ」に入ってしまう可能性もありそうな…

配信時間に一抹の不安を感じつつ、とりあえずテキスト速報のログを読んでいくと…

  • イタリアの英雄ニバリ、パンクと落車の影響でリタイア
  • アラフィリップ、5回(6回?媒体によって表記が違う…)もパンク
  • ファンデルプール、パンクによって少し遅れる

相次ぐパンク!パンク!パンク!

特にアラフィリップは災難としか言いようがない、可哀そうな状況に。

さしものアラフィリップも、レース後に「今日勝つのは不可能だった」とコメントするほどでしたが、それでもしっかり24位で完走するあたりは流石の一言。

 

最高気温が37℃(!)に達する厳しい暑さの影響もあって、メイン集団の人数はかなり減ってきている模様。

少し遅れていたファンデルプールも何とか集団に復帰できそう、そしてそろそろ「モンテ・サンテ・マリエ」も近づいてきました。

 

いきなりテンションMAXな勝負所!

そして23:50、遂に配信がスタート!

昨年のハイライトや空撮による引きの映像でたっぷり焦らしてから(笑)、映し出されたメイン集団は…やっぱり人数が少ない。

20人いるかどうかという感じ。

そして残り距離は60kmの表示、なんとか「モンテ・サンテ・マリエ」には間に合ってよかった。

この時点では、日本語での実況・解説が機材トラブルで入っていなかったけれど、しばらくすると無事に復旧。

実況木下さん・解説土井さんというDAZNでお馴染みの2人だったので、安心感のある放送席(実際には木下さんが東京、土井さんがオーストラリアという「ビッグなソーシャルディスタンス(木下さん談)」という、今の情勢ならではの配信だった模様)でした。

 

そして、いよいよレースの方は「モンテ・サンテ・マリエ」に突入!

さあ、勝負の方向性を決定づけるであろうこの区間で、「誰が仕掛けるのか…?」なんて思っていたら…

Embed from Getty Images

なんと、残り約50kmで、優勝候補フルサンがまさかの本気アタック!?

何度もアタックして集団を壊すための「軽めのジャブ」ではなく、なんだかそのまま独走したいようにも見える、マジで引き離しにかかるようなアタックを、こんな地点で見せるとは…!

このフルサンの動きによって、メイン集団は完全崩壊。

パンクからの集団復帰の為に力を使ってしまっていたアラフィリップとファンデルプールは残念ながらここで脱落。

そしてフルサンをしっかり追走できたのはたったの5人のみ。

追走が20秒ぐらいまで近づくと、フルサンも「しゃーねーなぁ」といった感じでペースを緩め、合流して6人の先頭集団を形成。

これがまたいいメンバーで、

  • フルサン(本当は逃げたかった?)
  • ファンアールト(未舗装路のスペシャリスト)
  • ファンアーベルマート(スプリント勝負に持ち込めれば有利)
  • シャフマン(パンチ力も登坂力もあるぜ)
  • ベッティオール(昨年のロンドをまぐれや棚ぼたとは言わせない)
  • フォルモロ(登坂ならこの中で断トツ)

状況次第では誰でも勝つパターンが考えられる、面白そうな展開に。

しかし、途中で「なんで誰も付いてこないんだよ!?」みたいな感じでプチおこ状態だったフルサン、マジで少人数(2~3人?)での50km逃げを狙っていたのか…?

何にせよ、残り40km地点で、この6人の先頭集団と追走のタイム差は2分近く。

早くも最終局面へのセレクションは終了し、この6人による勝負のゴングが鳴ったと言っていい状況に。

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※6人の先頭集団(フォルモロがファンアールトの後ろに隠れてるけど…)

 

6人でのガチンコサバイバル、開始!

ここから15kmほどは、先頭の6人が「追走に近づかれたくない」という共通の目的の為に、スムーズにローテンションしながら順調に走行。

後ろではスティバル辺りが頑張っていたようだけれども、実力のある6人がしっかり先頭交代しながら走っているので、タイム差は縮まらない。

 

先頭集団は、昨年決定的な動きのあった第9セクターの激坂では誰も仕掛けず、残るセクターは2つのみ。

「第10・第11のどっちで仕掛けるのか」なんて考えていたら、第9セクター終了直後の舗装路でシャフマンが唐突にアタック!

他の選手もあまり予期していなかったタイミングだったようで、付いていけたのはファンアールトのみ。

結局この逃げも吸収されるが、追走のために上がったペースにファンアーベルマートが付いていけず第10セクターで脱落。

あぁ、ファンアーベルマート…。

スポンサー問題に揺れるチームの為にも頑張って欲しかったんだが…。

今後の石畳系のレースでは本領発揮してくれよ~!

 

再び合流して5人になった集団から、今度はベッティオールがアタック!

昨年のロンドでのアタックもそうだったけれど、ベッティオールのアタックはキレがあって観ていて気持ちがいい。

そして今日もこの局面までしっかり残っている辺り、エースの風格が漂うようになってきた感すらある。

このアタックも吸収されるが、いよいよアタック合戦の様相を呈してきて、レースは俄然盛り上がる!

 

そして、残された最後の未舗装路区間、第11セクターの激坂(最大勾配18%!)で、未舗装路のスペシャリスト、ファンアールトが猛烈なアタック!

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レース後に自身が「フルスロットル」と表現したこの強烈なアタックに残りのメンバーは離され、フルサンはここで完全に脱落、ベッティオールもセクターを抜けた直後に脱落してしまった。

フォルモロとシャフマンは必死に追走するも、先頭を独走するファンアールトはベルギーのタイムトライアル王者。

その独走力で徐々に差を広げていき、ついでに言えば、後ろはシャフマンが限界のようで先頭交代が出来ていない?

そのままファンアールトは力強く快走を続け、ラスト1km地点でタイム差は30秒ほどに。

そして、因縁の「サンタカテリーナ通りの石畳激坂」に突入しても勢いは衰えない!

2年前のこの場所では、足が痙攣して最後は自転車から降りて押して登るほどに消耗していたファンアールトだが、今日の踏みは力強い!

ラストの急カーブも丁寧にクリアし、そのまま歓喜のフィニッシュ!

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一昨年・昨年と連続で3位だったファンアールト、3度目の正直となる見事な優勝!

おめでとう!!

 

見事な復活劇!

知っての通り、ファンアールトは昨年のツール・ド・フランスで、コース脇の柵に脚を引っ掛けてしまい、太ももと臀部に酷い裂傷を負ってしまいました。

最初の手術があまり上手くいかなかったとの報道もあり、「パフォーマンスが戻らない可能性もある」などと心配もされていたけれども、今日の走りはそんな不安の声を一蹴するどころか、「前より強くなったんじゃないの?」と思えるほど。

アタック力と独走力が共存した力強い走り、自分の強みをしっかりとレース展開に活かすクレバーさ、勝負所を見極める冷静な判断力、どれもが素晴らしかった。

砂まみれだけれども強く美しい、そんなシクロクロス出身らしい見事な復活劇に感動した方も多かったのでは?

強くなって帰ってきたファンアールト、きっと今後も素晴らしい活躍をしてくれるはず!

期待しているぞ!

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GCNアプリ

今回のレースの配信は、お馴染みの J SPORTS ではなく、GCN(Grobal Cycling Network)のアプリによるものでした。

DAZNがロードレース配信から撤退した事により、日本のロードレースファンは「イタリアの主要レース(ジロ・デ・イタリアやミラノ~サンレモなど)やフランドル・クラシックの多く(ロンド・ファン・フラーンデレンなど)」を見られないかもしれないという、難民状態に陥っていました。

そんな状況を解決してくれたのが、今回の配信を行ったGCNです。

J SPORTS で配信・放送されていない主要なレースはほぼカバーしてくれるのは、「グッジョブ!」としか言いようがありません。

また、見逃し配信の期間が1年もあるのはマジで名采配です。

推し選手の活躍をまた見たい、名レースの感動を味わいたい、単純に時間が無くて後で見るしかない、などなど…、後でまた見たい場合って結構あるじゃないですか。

なので、自分は1年契約(早期登録割引で5000円/年)にしました。

特定のレースだけ見たい場合や、1度見れば十分だという人は、1か月ごとの契約(900円/月)もできるので、そちらを選んでもいいと思います。

 

実況に木下さん、解説に土井さんという実績のある人選をしたのも好判断だと思います。

既に触れましたが、安心して視聴する事ができました。

レースが佳境に差し掛かったあたりで土井さんがワインの話題を深堀したくなってしまい、木下さんが話をレースに戻そうとしていたのは、「さすが土井さん」って感じでしたが(笑)

 

ただ、現状ではTVモニターやPCなどの大きな画面で見るのが難しいのは結構なデメリットだと思います。

出先でも手軽に視聴できるのはメリットかもしれませんが、スマホタブレットの画面では迫力が半減しますし、時間が長いロードレースの観戦には正直言って向いていません。

自分はHDMIケーブルでスマホとTVモニターを繋ぐという荒業で視聴していますが(変換アダプターが意外と高かった…)、この点は何とか解決して欲しい点ですね。

 

いずれにしても、「視聴できないかも…」と諦めかけていたレースを日本語のコメンタリー付きで楽しめる状況になったのは喜ばしい事です。

J SPORTSと切磋琢磨して、お互いにより良いコンテンツになってくれたら嬉しいですね。

GCNさん、期待していますよ!!

 

余談

最後に、ハイパー余談タイム。

 

その①

土井さんからリプライを貰いました。

ちゃんと見ましたよ~!

 

その②

この感想記事を書いている最中、しくじりました。

次からは気を付けよう…。

では、また!