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【選手紹介 特別編】飯島アニキ推薦、来シーズン期待の若手

#jspocycleQ

皆さんご存知、J SPORTSのロードレース中継の際にTwitter上で質問を募集するハッシュタグ#jspocycleQ」。

自分もちょくちょく質問Tweetをしていて、たまに採用される事もあります。

 

今シーズン最後のレースとなったブエルタ・ア・エスパーニャ第18ステージでも、こんな質問を拾ってもらいました(残り距離37.7km辺り、オンデマンドの配信時間で言うと45:30ぐらい)。

…いや、ちょっと待って下さい。

「中島」さん…?

名前を間違えているではないですか…(汗

この日の解説はアニキこと「飯島」誠さん

決して他の日に解説として登場した中島康晴選手と間違えた訳ではなく、単純な打ち間違いなんですが、自分はなんて失礼な間違いをしてしまったんでしょうか…。

放送では上手く自分の間違いの部分を避けて紹介していただき、本当に感謝というか申し訳ないというか…。

飯島さん、大変申し訳ありませんでした。

そして、飯島さんだけでなく実況の永田さんや制作スタッフの方も、快く対応して頂き本当にありがとうございました。

 

さて、自分の「やらかし」のせいで話が逸れましたが…、本題に戻りましょう。

飯島さんは選手やレースの情報を詳細に書き込んだノート、通称「ジマノート」を持参して放送に臨む事で有名です。

そんな飯島さんなら、近年の若手の活躍が目立つ流れの中で「まだ大きな結果を残していないけれども来シーズン期待できる若手」の情報もしっかり持っているのではないかと思い、質問をさせて頂きました。

 

そんな訳で、この記事では飯島さんが放送で挙げて下さった、飯島さんお墨付きの期待の若手選手を紹介していきたいと思います。

紹介する選手の中には、既に期待の若手としてかなり認知度の高い選手も多いですが、来シーズン以降への予習として楽しんで頂ければ幸いです。

 

あと、放送中に名前が挙がった選手の中で、既に大きな実績を挙げた以下の選手については、もう「期待の若手」ではなく「一流選手」と判断して今回は紹介の対象外とします。

 

それでは、早速紹介に移りましょう!

 

ビアス・フォス

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選手名:トビアス・フォス(Tobias Svendsen Foss)

所属チーム:チーム・ユンボ・ヴィスマ

国籍:ノルウェー

生年月日:1997年5月25日

脚質:オールラウンダー

 

若手の登竜門として名高い「ツール・ド・ラヴニール」ですが、その最新の優勝者がこのフォスです。

「若手の登竜門として名高い」というか、エガン・ベルナル(2017年ラブニール総合優勝)とタデイ・ポガチャル(2018年ラブニール総合優勝)が立て続けにツール・ド・フランスで総合優勝を飾った事を考えると、フォスの活躍も間違いないと言えるかもしれません。

ラブニール総合優勝者はベルナルとポガチャル以外にも、バウケ・モレマ(2007)、ナイロ・キンタナ(2010)、エステバン・チャベス(2011)、ミゲルアンヘル・ロペス(2014)、マルク・ソレル(2015)、ダヴィド・ゴデュ(2016)と、一流選手が目白押しなので、少なくともワールドチームのエースクラスに成長する可能性は極めて高いと思います。

 

2020年はレース数が少なかった影響もあって大きなリザルトは残していませんが、ジロ・デ・イタリア第1ステージの個人タイムトライアルで5位に入ったように、ワールドツアーでも通用する独走力を有している事を証明してくれました。

その後、新型コロナウィルスの影響でチームごとジロを途中離脱してしまったのは残念でしたが、ラヴニールを制した登坂力とユンボの育成能力を考えると、総合系の選手として頭角を現すのはかなり早いかもしれません。

将来のグランツール優勝候補として、どのような走りを見せてくれるか必見です。

 

ブランドン・マクナルティ

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選手名:ブランドン・マクナルティ(Brandon Mcnulty)

所属チーム:UAEチームエミレーツ

国籍:アメリカ合衆国

生年月日:1998年4月2日

脚質:タイムトライアルスペシャリスト・オールラウンダー

 

アメリカ合衆国の次世代のホープであるマクナルティは、タイムトライアル能力に定評のある総合系の選手です。

2017年、当時コンチネンタルチームだったラリー・サイクリングに所属し、19歳の若さでU23世界選手権個人タイムトライアルで2位に入賞して注目を浴びます。

2018年にはツアー・オブ・カリフォルニアで総合7位に入る活躍を見せ、2019年には1クラスのレースですがギヨーム・マルタンファウスト・マスナダを抑えてジロ・ディ・シチリアで総合優勝を飾り、タイムトライアルだけではなく総合系選手としての可能性を感じさせてくれました。

 

UAEチームエミレーツに移籍してワールドチームの選手となった2020年、初のグランツール挑戦となったジロ・デ・イタリアでは第10ステージで逃げるペテル・サガンに単独追走を試みてのステージ2位、第14ステージの個人タイムトライアルステージで3位となり総合4位に浮上、最終的に総合15位で完走と堂々たる走りを見せてくれました。

タイムトライアルに強い総合系選手という流れは完全に今のトレンドに一致するので、今後経験を積んでいきどんな成長を見せるのか、本当に楽しみな選手の1人です。

 

ブルーノ・アーミライ

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選手名:ブルーノ・アーミライ(Bruno Armirail)

所属チーム:グルパマFDJ

国籍:フランス

生年月日:1994年4月11日

脚質:ルーラー

 

先日のブエルタ・ア・エスパーニャ2020での見事な働きが印象的だったアーミライ。

現在26歳と「ヤングライダー」の対象外な気もしますが、せっかく名前が挙がったので紹介したいと思います。

 

2018年からグルパマに所属(2017年はトレーニーとして所属)し、既にプロとして3年のキャリアを積みましたが未だに勝利はゼロ。

正直なところ地味なルーラーだと思っていましたが、今年のブエルタでのエースのゴデュを最終盤までアシストする働きは本当に見事で、勝負所までエースの護衛をして体力を温存させるという、ルーラーとして完璧な仕事をしてくれました。

ゴデュのステージ2勝と総合8位というリザルトは、アーミライの働きが無かったら獲得できなかったと断言していいでしょう。

やはり、こういう選手がアシストとして頑張るからこそレースは面白くなるのです。

そして、アシストをしながらも個人タイムトライアルステージではステージ5位に入り、自分の力もしっかりと証明してくれました。

現在は脚光を浴びる事が少ない立ち位置ですが、どこかで一発大きな勝利を手にする日も近いかもしれませんね。

 

イアン・ガリソン

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選手名:イアン・ガリソン(Ian Garrison)

所属チーム:ドゥクーニンク・クイックステップ

国籍:アメリカ合衆国

生年月日:1998年4月14日

脚質:タイムトライアルスペシャリスト

 

有望な若手を大量排出しているハーゲンスバーマン・アクセオン出身、そして若手の育成に定評のあるドゥクーニンク所属という、活躍間違い無しな経歴のガリソン。

2019年に国内選手権個人タイムトライアルでU23とエリートのダブル優勝、そしてU23世界選手権で2位(ちなみに、3位が前述のマクナルティ)という結果を残したように、最大の魅力はやはりタイムトライアル能力です。

このままタイムトライアルスペシャリストとして伸びていくのか、ドゥクーニンクらしくワンデーレースで暴れまわるのか、それとも総合系として開花するのか、193cm・76kgという恵まれた体格(偶然ですが、現タイムトライアル世界王者のフィリッポ・ガンナと同じ身長)から生み出されるその出力は、様々な可能性に満ち溢れています。

ワールドチーム所属初年度の2020年シーズンはまだ結果が出ませんでしたが、タイムトライアル系の若手選手として最注目の1人なのは間違いないでしょう。

 

クレマン・シャンプッサン

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選手名:クレマン・シャンプッサン(Clément Champoussin)

所属チーム:AG2Rラモンディアル

国籍:フランス

生年月日:1998年5月29日

脚質:クライマー

 

クライマー大国であるフランス、その中でも若手最有望株と言えるのがこのシャンプッサンでしょう。

ツール・ド・ラヴニールでは、2018年総合5位、2019年総合4位と2年続けて結果を残し、2019年のグラン・ピエモンテではワールドチームの有力選手がひしめく中で9位という成績を収めました。

満を持してAG2Rと正式契約(2018・2019はトレーニー契約)を結んだ2020年は、早速ブエルタ・ア・エスパーニャグランツールデビュー。

チームがリタイア者続出という厳しい状況の中(最初の2日間で3人がリタイア、最終的に完走したのが8人中3人のみ)、大きな期待に応えるような走りはできなかったものの、シャンプッサンは無事に総合31位で完走しました。

チームの人数が揃わずになかなか過酷な戦いを強いられ、得意の山岳ではいい走りを見せられませんでしたが、個人タイムトライアルステージで17位に入ったのは意外な収穫と言えるかもしれません。

来シーズンはエースのロマン・バルデが移籍するチーム状況下で、フランス籍チーム待望の若手フランス人エースとして力走を期待したいところです。

 

マックス・カンター

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選手名:マックス・カンター(Max Kanter)

所属チーム:チームDSM

国籍:ドイツ

生年月日:1997年10月22日

脚質:スプリンター

 

若手の活躍で2020年シーズンを沸かせたサンウェブですが、カンターは地元ドイツ出身の期待のスプリンターです。

チームと正式契約を結んだ2019年は、シーズン開幕直後のケガで残念ながら長期離脱してしまいますが、シーズン終盤のツアー・オブ・グアンシーでは1桁順位フィニッシュが2回と、しっかりと活躍の兆しを見せてくれました。

そして2020年、グランツール初挑戦となったブエルタ・ア・エスパーニャでは、若手中心のチーム構成の中でエーススプリンターの大役を任されます。

ステージ勝利こそ挙げられませんでしたが、第9ステージと第18ステージでは3位に入り、一流のスプリンターと勝負する力が備わっている事は証明できました。

 

2020年のサンウェブは、素晴らしい連携と若手の躍動で見事な結果を残し続けました。

来シーズンはマイケル・マシューズとウィルコ・ケルデルマンという実績のある2本柱がチームを離れますが、若手の質と量がしっかりと揃っているので、来シーズンもチームとして素晴らしい走りを見せてくれる可能性が高いと思います。

チーム内にケース・ボルやアルベルト・ダイネーゼというライバルもいますが、カンターもチームの一員として結果を残してくれる事を期待しましょう!

 

若手の可能性は無限大

来シーズン期待の若手紹介、いかがだったでしょうか?

まだ結果は残していなくても既に名前は知れ渡ってる選手が多かった気もしますが、来シーズンの観戦を楽しむための一助となれば幸いです。

 

しかし、ロードレースはチーム数や選手数も多い上に、なかなかマイナーな部分までは日本語だけではカバーしきれないため、まだ本格開花していない若手選手の事を本気で調べ出すとキリがなくて大変ですね…。

若手選手を調べて追いかけて応援するのは正直かなり楽しくて、自分も一時期はアマチュア野球にのめり込んで、ネットでの情報収集などに勤しんでいた時期がありましたが、ロードレースでそれをやろうとすると掛かる労力は野球の比ではないでしょう。

Twitterなどでは若手選手の事にとても詳しい方もいらっしゃいますが、そういう方々の情報収集に掛ける時間や情熱を考えると、本当に尊敬の一言です。

正直なところ、現在の自分にロードレースに継続してそれだけの時間と労力を注ぐ予定というか情熱というか余裕というか…などはありませんが、自分は自分のペースで全力で楽しんでいきたいなとは思っています。

 

え~、少し話が逸れましたが…、若手の話に戻りましょう。

繰り返しになりますが、若手選手を追いかけて応援するのは本当に楽しいです。

色々な積み重ねを見ながらその選手の成長を見届けるのは、なんとも表現しがたい快感というかカタルシスを味わえます。

特に、意外な進化や方向性の変化なんかがあったりすると、本当に面白いです。

今回紹介した選手達も便宜的に脚質を分類しましたが、数年後には驚くような変化があってもおかしくありません。

 

若手選手の可能性は本当に無限大です。

今回紹介した以外の選手も、近年の若手が活躍する流れに乗って活躍を見せてくれると思います。

もしその中で気に入った選手がいたら、是非とも追いかけて応援し続けてみて下さい。

きっと、選手と共に素晴らしい「旅」ができるはずです!

来シーズン以降も、色々な選手を応援しながら、様々なレースを楽しんでいきましょう!

それでは、また!

 

 

余談

その1

実はブエルタ最終ステージで、もう一つ自分の質問を取り上げてもらいました(残り距離13.0km辺り、オンデマンドの配信時間で言うと1:14:00ぐらい)。

1ステージで2つ採用は初めてだったので、さすがに驚きましたよ…。

飯島さんはリエージュ~バストーニュ~リエージュ【レース感想】リエージュ~バストーニュ~リエージュ 2020 - 初心者ロードレース観戦日和)、永田さんはツール・ド・フランス第18ステージ(【レース感想】ツール・ド・フランス2020 第18ステージ - 初心者ロードレース観戦日和)と、それぞれが担当されたステージを挙げて下さいました。

リエージュは精鋭小集団の争いからのアラフィリップのやらかしとログリッチの諦めない姿勢、ツール18ステージはクフィアトコフスキとカラパスの美しいフィニッシュ、どちらも印象的なレースでしたね。

 

その2

この記事冒頭のTweetでのミス、気づいたときの懺悔Tweet

ホント、次からは気を付けます…