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【レース感想】ボルタ・シクリスタ・ア・カタルーニャ2021

復活の狼煙が上がったのかもしれない

山岳が多く登場する事が特徴的な、スペインはカタルーニャ州を舞台にした7日間のステージレース、ボルタ・シクリスタ・ア・カタルーニャ

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昨年は記念すべき100回大会が新型コロナウィルス感染拡大の影響で残念ながら中止となってしまったけれども、今年改めて100回目の記念大会が開催!

山、山、山なレイアウトなので今年も多くの有力な総合系選手が集まり、激熱な山岳バトルが期待できそうだ。

 

注目チームは、誰がエースか分からないほどの豪華な布陣を揃えてきたチーム・イネオスとチーム・ユンボ・ヴィスマ、お馴染みのトリプルエース体制で臨む地元スペインのモビスター・チーム、珍しく山岳アシストを大量に引き連れてきたドゥクーニンク・クイックステップ、この辺りだろうか。

 

とりあえず、自分の総合優勝予想がこちら。

イネオスもユンボもモビスターも誰がエースか分からないけれども、チームの総合力としてはこの順番かな。

イネオスは豪華と言うか、もはやメンバーが強力すぎて意味が分からないレベル。

リチャル・カラパス、ゲラント・トーマス、リッチー・ポート、アダム・イェーツ、ローハン・デニス、ジョナタン・カストロビエホ、ルーク・ロウとかいう超本気のメンバーで、本当にエースが誰だか分からない…。

何故このレースにそんなに本気なんだろうか…?

グランツールの予行演習?

 

そんなイネオスのある意味「ご乱心」はともかく、レースはスタート!

 

第1ステージ

中盤に1級山岳がそびえ立つという、いきなり「らしさ全開」なステージ。

例年ほぼ同様のコースが用意されていて、1級山岳がありながら何故かそれなりの頻度で集団スプリントになっているという、割と謎なレイアウトである。

 

この日の逃げは4人、メイン集団とのタイム差は最大で5分弱ほど。

しかし、メイン集団は1級山岳に入るとモビスターがハイペースでの牽引を開始して、逃げはあえなく吸収されてしまう。

このモビスターの牽きでペテル・サガン(ボーラ・ハンスグローエ)などのスプリンターはもちろん脱落していき、メイン集団の人数は半分ほどに減っていく。

山頂付近では、大ケガからの復活を期すクリス・フルームイスラエル・スタートアップネーション)が遅れていく姿も。

まだまだトップコンディションには程遠いようだ…。

 

長い下りを終えるとモビスターは牽引をやめ、集団は誰もコントロールしたがらないような少し混乱状態になり、その隙に乗じての散発的なアタックが発生。

そして残り23km、ルイスレオン・サンチェス(アスタナ・プレミアテック)のアタックをきっかけに決定的な抜け出しが起こり、レナード・ケムナ(ボーラ)、アンドレアス・クロン(ロット・スーダル)、レミ・ロシャス(コフィディス)の3人を加えた、計4人の逃げが形成される。

そしてメイン集団は…相変わらず混乱というか、どのチームもあまり本気で追う様子が見えない?

あっという間にタイム差は30秒にまで広がり、逃げ切りが濃厚に。

残り5km辺りからイネオスが牽引して差を少し詰めるも時すでに遅し。

残り1kmでタイム差は30秒もあり、この日の勝負は逃げの4人で争われる事になった。

 

先頭の4人はいよいよフィニッシュ前のストレートに突入。

先頭からケムナ、サンチェス、ロシャス、クロンの並び。

最初に仕掛けたのは3番手のロシャス!

もちろん他の3人もすかさず反応してスプリントを開始!

サンチェス、ケムナ、ロシャスが激しく競り合う中、出足が悪かったようにも見えたクロンが脇からスルスルっと抜け出す!!

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逃げ集団でのスプリントを制したのはワールドチーム1年目の若者クロン!!

正直、全く知らない選手だったんだけれども、昨年のツール・ド・ルクセンブルグでディエゴ・ウリッシ(UAEチームエミレーツ)なんかとの競り合いを制してステージ勝利を挙げているのか。

これはまた期待の若手が出てきたかな。

 

第2ステージ

山岳だらけのこのレースで、ある意味総合を占う大きなヤマ場となる18.5kmの個人TTステージ。

自分の予想はこちら。

パリ~ニースでは惜しくも2位だったレミ・カヴァニャ(ドゥクーニンク・クイックステップ)をチョイス。

 

序盤に暫定トップタイムを出したのはヨセフ・チェルニー(ドゥクーニンク)、そしてそのタイムをカヴァニャが33秒も更新と、中継開始前はドゥクーニンクの層の厚さが目立つ、そしてカヴァニャのタイムが目立つ格好に。

いいぞ、カヴァニャ!

 

しかしJ SPORTSでの中継開始直後、2018年・2019年の世界王者がその肩書に恥じぬ走りを見せつける。

元世界王者の証である虹色の縁取りを袖に光らせるローハン・デニスが、カヴァニャを6秒上回るタイムでフィニッシュ地点に帰ってきた!

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デニスのタイムは最後まで破られず、デニスが2019年の世界選手権以来となる勝利!

昨シーズンはアシストとしてチームのジロ・デ・イタリア制覇に絶大な貢献を見せたデニスが、その力を改めて披露!

ホットシートで後続選手の結果を待っている際に見せた穏やかな笑顔は、これまでの経緯や1年以上勝利が無かった事を考えると、とても印象的だった。

 

そして後半からは総合勢も続々と登場。

リッチー・ポートが相変わらずのTT能力でステージ6位、アメリカ期待のTT系オールラウンダーのブランドン・マクナルティ(UAEチームエミレーツ)がステージ4位、アダム・イェーツがステージ7位、ステフェン・クライスヴァイク(ユンボ)がステージ5位となるタイムでフィニッシュ。

TTが得意ではないアダム・イェーツがこの順位に入るとは、正直かなり意外。

イネオスに移籍した効果が早くも出ているのだろうか。

 

そして総合勢でトップタイムを出したのは、昨年のジロ以降は常にTTステージで上位に入っているジョアン・アルメイダ(ドゥクーニンク)。

マクナルティをコンマ差で上回ってのステージ3位となる、堂々たるタイムでフィニッシュ。

ワールドチーム所属2年目の若手に使う言葉ではないかもしれないけれども、相変わらず強いとしか言いようがないよね、もう。

そして、アルメイダは総合リーダージャージを獲得。

翌日から続く山岳ステージで、このリードをどれだけ守れるか。

 

第3ステージ

大会恒例の山頂フィニッシュ、標高2125mを誇る「ヴァルテル2000」を登る山岳ステージ。

当然、総合勢にとっては前日に続いて重要な1日となってくる。

 

この日の逃げは9人、メイン集団とのタイム差は最大で10分以上になるけれども、最後の登坂に向けてユンボやイネオスが積極的な牽引を見せると、山岳の入り口ではタイム差は3分を切ってしまう。

 

山岳でメイン集団を牽引するのはイネオスのトレイン。

そのハイペースな牽きに集団はどんどん小さくなる中、残り10km地点でアレハンドロ・バルベルデ(モビスター・チーム)がアタックを仕掛ける。

この動きは一旦防がれるも、バルベルデは残り8km地点で再度アタックを試みて、抜け出しに成功。

この動きにナイロ・キンタナ(アルケア・サムシック)が追いつき、少し遅れてカラパスとジュリオ・チッコーネ(トレック)も合流する。

 

残り5km地点、バルベルデ達4人に近づいてきたメイン集団から、アダム・イェーツがアタック!

メイン集団からセップ・クス(ユンボ)、前の4人からはバルベルデが反応して付いていき、3人で抜け出す形に。

3人はそのまま先頭で逃げていたティメン・アレンスマン(チームDSM)に追いつき、そして追い抜くと同時にクスがアタックをみせるも、アダム・イェーツとバルベルデもしっかり食らいついていく。

残り2.2km辺りでバルベルデが脱落して先頭は2人だけになると、残り1.8km地点で今度はアダム・イェーツがアタック!

アダム・イェーツの切れ味鋭いアタックはクスを一発で置き去りにして、メイン集団から猛然と追いかけてきたエステバン・チャベスもそこには届かず、そのまま単独でフィニッシュ地点へ!

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2019年の前回大会でもヴァルテル2000で勝利していたアダム・イェーツ、得意のコースで再びステージ勝利!

前日の個人TTでも好調を伺わせていたように、山岳でも見事な走りを披露!

チーム力も相まって、完勝と言える見事な走りでステージ勝利と総合首位の座を獲得した!

 

前日まで総合首位だったアルメイダは46秒遅れのステージ16位と少し苦しみ、総合3位へと後退してしまう。

早くも「貯金」を吐き出してしまい、そして翌日も再び険しい山岳ステージと、結構厳しい展開になってしまった。

 

ちなみに、この日の自分の予想がこちら。

アダム・イェーツも確かに調子が良かったというか、個人TTでポートとほぼ同タイムという事は、絶好調だった訳だ…。

 

第4ステージ

序盤に1級山岳が1つ、終盤も超級山岳を1つ超えてからのとどめに超級山岳でのフィニッシュと、今大会最難関のクイーンステージ。

この日の自分の予想がこちら。

アダム・イェーツの調子を信じ切ってみる。

 

「逃げ職人」トーマス・デヘント(ロット)の動きがきっかけで形成された逃げは12人。

この逃げに総合1分33秒遅れのケムナが乗ったため、あまり大きなタイム差は許されずにレースは進行。

最後の登坂に差し掛かる頃には逃げはほぼ捕まり、そこから抜け出したケムナのみが逃げ続けているような状況。

 

この日も前日に続き、イネオスの強力なトレインが山岳でのペースメイクを担い、残り15kmでケムナも吸収してメイン集団がレースの先頭に立つ。

イネオスの並びはカラパス(総合21位)、ゲラント・トーマス(総合4位)、ポート(総合2位)、アダム・イェーツ(総合首位)。

残り11km地点でカラパスにメカトラが発生して一旦離脱するも、約2km後に復帰して再び牽引に勤しんでいる。

カラパスは個人TTでタイムを失ったとはいえ、昨年のブエルタ総合2位、そして一昨年のジロ覇者が献身的にアシストをするイネオスの恐ろしさよ…。

 

残り7.2km、前日も勢いのあるアタックを繰り出していたチャベスがアタックを仕掛けると、イネオスはこれを容認する。

総合9位(1分21秒遅れ)のチャベスなら、多少先行するぐらいは全く問題ないという、余裕の構えだ。

残り3.8km地点では総合16位(1分40秒遅れ)のマスがアタックして一旦抜け出すも、カラパスに代わってトーマスが牽引する集団に飲み込まれる。

この時点で先頭のチャベスと集団のタイム差は約20秒、そして集団はトーマスではなくポートの牽引に交代(トーマスは脱落せず集団前方で待機)すると、タイム差は少しづつ縮まっていく…!

チャベスは苦悶の表情を浮かべつつも最後まで粘り強く踏み続ける!

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クイーンステージでの見事な逃げ切り、チャベスが雄たけびを上げながらの勝利!!

持ち前の登坂力を発揮して2年ぶりとなる勝利を飾ったチャベス感染症からの完全復活を多くのファンが待ち望んでいるだけに、この調子で頑張ってくれ!

 

後続のメイン集団では、前日に続きアルメイダが最後の最後で少し遅れてしまい総合4位に後退。

代わりに総合3位に上がってきたのは、ステージ3位に入りボーナスタイムも稼いだイネオスのトーマス。

これでイネオスは、総合首位アダム・イェーツ、総合2位ポート、総合3位トーマスと、総合上位を独占。

このままイネオスの完全支配が続くのか、それとも他チームの反撃はあるのか。

 

第5ステージ

山頂フィニッシュではないものの、3級山岳と1級山岳を超えていく中級山岳ステージ。

 

普通に考えれば逃げ向きなこの日、先頭に4人の逃げとそれを追いかける大量の追走という、なかなか面白い展開でレースは進行。

残り54km、先頭の逃げからカヴァニャが飛び出して単独で先行するも、1級山岳の登りは彼には厳しかったようで、追走集団に捕まってしまう。

 

1級山岳の下りで、クライスヴァイク、ケムナ、カルロス・ベローナ(モビスター)の3人が一旦抜け出しに成功。

残り19km辺りでセバスティアンライヒェンバッハ(グルパマFDJ)、リゴベルト・ウラン(EFエデュケーション・NIPPO)、ダニエル・マーティンイスラエル)、ニコラ・エデ(コフィディス・ソルシオンクレディ)の4人が追いつき、先頭集団は7人に。

そしてメイン集団はこの逃げを積極的に捕えようとはせず、勝負は逃げている7人で争われることに。

 

残り7kmを切った辺りで、連日積極的な走りを見せているケムナがアタック!

クライスヴァイクがなんとかチェックしようとするも、追走集団内で牽制状態になってしまった事もあり、独走力に秀でているケムナを捕まえる事が出来ない!

気付けば追走は人数が10人以上に増えているけれども、それはむしろケムナとのタイム差がより開く方向に作用してしまう。

残り3kmを切った辺りから追走集団で散発的なアタックが起こり、数人が抜け出すも時すでに遅し。

ケムナは悠々と単独でフィニッシュ地点へ向かう!!

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連日の逃げを実らせての独走勝利!!

初日はステージ4位、前日の第5ステージでも最後まで逃げ残っていたケムナ、その勇気ある走りが「三度目の正直」で勝利に結びついた!

思い返せば、昨年のプロ初勝利となるクリテリウム・ドゥ・ドーフィネでの勝利、そしてツールでの勝利もこの日のような「山岳逃げ」だった。

独走力があって登坂もこなせるケムナ、新たな逃げ巧者の誕生か?

 

そして、この日の予想は…

ケムナー!!

逃げ切り予想は当てるのが難しい分、当たると嬉しいっ!!

 

第6ステージ

3級山岳が2つ、そして終盤下り基調からの最後は少しだけ登り勾配フィニッシュという、スプリント勝負の可能性がありそうなステージ。

自分の予想がこちら。

一旦サガンが浮かびつつ、まだコロナからの回復が100%ではないと踏んで、ダリル・インピー(イスラエル)に鞍替え。

 

この日の逃げは5人、メイン集団とのタイム差は最大でも4分ほど。

メイン集団はスプリントでの勝利を狙うチームが牽引して着実に逃げとのタイム差を縮めていき、最後にディミトリ・ストラコフ(ガスプロム・ルスヴェロ)による抵抗もあったものの、残り18kmで逃げを吸収する。

ストラコフが吸収された直後、ジェームス・ノックス(ドゥクーニンク)のアタックをきっかけに立て続けにアタックが発生。

カヴァニャのアタックなんかは成功しそうな気もしたけれども、結局メイン集団に吸収されてしまい、勝負は集団スプリントへ。

 

残り500m、フアンホセ・ロバト(エウスカルテル・エウスカディ)が早めの仕掛けを試みるも、カヴァニャが牽引するメイン集団に残り300mで捕まってしまう。

残り200mを切った辺りでスプリントを仕掛けたのは、登りにも強いインピー!

インピーの加速を皮切りに、サガン、ケース・ボル(チームDSM)、レイナルト・ヤンセファンレンズバーグ(クベカ・アソス)もスプリントを開始!

インピーはフェンス際を先行、しかしサガンがボルとヤンセファンレンズバーグの間をすり抜けて迫って先頭に!

インピーも粘るが、サガンが伸びる!!

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今大会唯一のスプリントを制したのはサガン!!

新型コロナウィルスに感染してしまいシーズンインが遅れていたサガンは、これが今シーズン初勝利!

レーニング不足による低調なコンディションを回復させるために、同時期のワンデーレースではなく今大会出場を選んだらしいけれども、調子は上々といったところか。

昨シーズンは僅か1勝と不振だっただけに、ここからの大暴れに期待したい!

 

第7ステージ

最終日は毎年恒例、最大勾配17%を誇る「モンジュイックの丘」が登場するバルセロナの周回コース。

結構厳しいコース設定だけに、総合の動きがあるかどうかが大きな焦点か。

自分の予想はこちら。

モビスター辺りが仕掛けてメイン集団もペースが上がり逃げを吸収、しかしイネオスは崩れない…みたいな展開を予想。

 

序盤の3級山岳を通過後に形成された逃げは、なんと30人を超える大所帯。

一方のメイン集団はイネオスがコントロールし、イネオスとしては逃げ切りを許しても全く問題が無いため、逃げ集団は逃げ切りの為に十分なタイム差を確保したまま周回コースに突入する。

 

1周目、モンジュイックの丘の急勾配区間で仕掛けたのは「逃げ職人」のデヘント!

単独で抜け出したデヘントに追いつけたのはマテイ・モホリッチ(バーレーン・ヴィクトリアス)のみで、そのまま2人での逃げを敢行。

4/1からルール改正で禁止となるダウンヒルテクニック「スーパータック」の開発者モホリッチは、得意のダウンヒルで度々(というか毎周回同じ場所で)デヘントを突き放すも、逃げ切りの為にデヘントの協力は不可欠と判断したようで、その都度ペダルを緩めてデヘントを合流させる。

 

一方の追走集団は、2つに分裂したり、再び合流したり、そして散発的なアタックが掛かったりもしていたけれども、前を行く2人を捉える事は出来ない。

結局、2人が先行して逃げたまま最終周回へと突入していく。

 

残り5km、最後となるモンジュイックの丘の急勾配区間でデヘントが仕掛ける!

そしてモホリッチは…追いかける脚が残っていない!

デヘントはこの好機を見逃さずに一気に差を広げ、モホリッチがダウンヒルをかっ飛ばしても到底追いつかないほど前方へと逃げていく!!

そのまま20秒以上の差をキープしてフィニッシュ地点へ!!

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これぞ逃げ職人、鮮やかな逃げ切り勝利!!

じっくりと勝機を窺い、そしてチャンスと見れば一撃で仕留めるその勝負勘、見事としか言いようがない!

一昨年のツール以来、約2年ぶりの職人芸が堪能できて大満足!

 

一方のメイン集団では、やはりバルベルデの逆転での表彰台入りを狙うモビスターが終盤に積極的な仕掛けを見せてくる。

逃げていたアシストによる「前待ち」も活用してイネオスの3人を振るい落とそうと試みるも…イネオスの堅い守りは崩れない。

結局そのまま総合上位陣は同一集団でフィニッシュして、イネオスが総合ワン・ツー・スリー完全制覇を達成!

 

総合優勝はアダム・イェーツ!!

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第2ステージの個人TTでもいい位置につけ、そして第3ステージで見せたキレッキレの登坂で総合首位に立つと、そのまま危なげない走りでリーダージャージを見事守り切った!

「イネオスのエースを務められるだけの実力があるのか?」などと言う外野の声を黙らせるには十分すぎるぐらい、その強さと安定感を見せつける素晴らしい走りだったと思う。

 

そして、総合2位にはポート、更には総合3位にトーマスがランクイン。

アシストとしての経験が豊富なベテラン2人は好調のアダム・イェーツをしっかり守り、その上で自分たちもこの順位と言うのは正直言ってなかなかの驚き。

アダム・イェーツをしっかり勝たせたチーム戦略も含めて、チームとしての力の強さが際立つ格好になった。

そしてチーム公式の可愛らしすぎる動画にほっこり。

これを作ったドット絵師がチームスタッフにいるという事…?

万が一わざわざ外注したのなら、それはそれで面白すぎるけど。

 

復活

毎度恒例、改めて総合順位の確認。

 

総合優勝:アダム・イェーツ(イネオス・グレナディアーズ

総合2位:リッチー・ポート(イネオス・グレナディアーズ

総合3位:ゲラント・トーマス(イネオス・グレナディアーズ

 

イネオスが総合表彰台を独占する、まさに完全制圧!

エースがしっかり山岳でタイムを稼ぎ、豪華絢爛なアシスト陣が盤石の態勢で守り切るという、「あの頃のイネオス(旧チーム・スカイ)」を彷彿とさせるような圧倒的なチーム力の高さを披露したイネオス。

昨シーズンは明け渡してしまったツール王者という「定位置」の奪還に向けて、準備はできているという事を見せつけてくれた。

 

今大会はそんなイネオスの「復活」と共に、ここ最近調子を落としていた選手による「復活」の勝利が印象的だった。

移籍後勝利の無かったデニス(第2ステージ)伝染性単核球症から回復途上のチャベス(第4ステージ)、昨年の不振から(そして今年初めに罹患した新型コロナウィルスから)の復調を目指すサガン(第6ステージ)、こちらも昨年の不振(2015年以来の未勝利)からの脱却を目指すデヘント(第7ステージ)が、胸が熱くなるような勝利を見せてくれたのは本当に嬉しかった。

若手の台頭が注目されるここ最近の流れだからこそ、実績のある中堅やベテランの熱い走りにも期待していきたい。

 

それでは、また!

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