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【レース感想】ツール・ド・フランス2022 第14ステージ

「登れるスプリンター」にもほどがある

4つの3級山岳を越えてからフィニッシュ直前に2級山岳と、絶えずアップダウンを繰り返す逃げ向きなステージ。

また、最後の2級山岳は登坂距離3km・平均勾配10.2%とかなりの傾斜なので、総合勢の動きもあるかも。

 

アクチュアルスタート直後から活発にアタックが掛かる、予想通りの流れ…と思っていたら、なんと最初の3級山岳でタデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ)がアタック!?

その結果、プリモシュ・ログリッチ(チーム・ユンボ・ヴィスマ)を含む40人前後が早くも遅れている…?

…えぇ、なんじゃそりゃ?

流石にその後は一旦落ち着いて、遅れていたグループも合流したけれども、いきなりかなり驚かされた…。

その間に、逃げ集団を形成したのは23人。

ボーラ・ハンスグローエ、EFエデュケーション・イージーポストの2チームは、なかなかいい選手を3人も送り込む事に成功。

その他にも、マイケル・マシューズ(チーム・バイクエクスチェンジ・ジェイコ)、ティボー・ピノ(グルパマFDJ)、そして今大会ここまで調子が上がっていないダニエル・マルティネス(イネオス・グレナディアーズ)など、相当面白い選手が逃げに入っている。

逃げた選手で最も総合タイムが良いのがルイス・メインチェス(15分46秒遅れ)だったので、メイン集団をコントロールするユンボは、完全に逃げ切りを容認。

最序盤は慌ただしかったけれども、結局は大方の予想通り逃げ切りの展開になった。

 

残り52.8kmと早いタイミングで仕掛けたのは、逃げた選手の中では断トツでスプリント力があるマシューズ!

これは…マシューズは「耐えてからのスプリント狙い」だと思っていたから、正直なところかなり意外だ…。

このマシューズに遅れて合流したのは、ルイスレオン・サンチェスバーレーン・ヴィクトリアス)、アンドレアス・クロン(ロット・スーダル)、フェリックス・グロスシャートナー(ボーラ)の3人。

後続に最大で45秒ほどの差を付けたこの新たな先頭集団は、クロンがパンクにより脱落して3人になり、最後の2級山岳突入時には追走集団とのタイム差は20秒前後。

先頭にも追走にもチャンスがある、まだまだ分からない状況で勝負所の登坂に入っていく事に。

 

先頭で仕掛けたのは、またしてもマシューズ!!

残り4kmを切った辺りから加速すると、グロスシャートナーとサンチェスを引き離す!!

そんなマシューズに後方から追いついてきたのは、アルベルト・ベッティオール(EF)。

残り2.7km、ベッティオールがアタックを仕掛けると、マシューズは一旦離されかけたけれども、驚異の粘りを見せて追いつく事に成功!

それどころか、マシューズは追いついた直後にそのままアタック!!

なんとなんと、ベッティオールを突き放して独走を開始!!

そのまま山頂を越えて、残すは1.6kmの平坦区間、タイム差は10秒以上!

これは…逃げ切れる!!

 

最終コーナーを抜けて、マシューズは勝利を確信!

喜びを爆発させながら、フィニッシュラインへ向かう!!

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もはや「登れるスプリンター」の枠を飛び出すほどの登坂力!

マシューズ、5年振りとなるツールのステージ勝利!!

今大会ここまで、ステージ2位が2度あっただけに、これは相当嬉しい勝利だ…!

しかし、「登れる」にもほどがあると言うか、もはやスプリンターと呼んでいいのか分からないぐらいの登坂力な気もする。

この日のような走り方を今後も見せられるなら、もしかしたらマシューズの可能性はもっと広がっていくのかもしれない。

 

そしてマシューズから10分以上遅れて、メイン集団も2級山岳へ。

この日も、逆転の為にタイム差を奪おうとアタックをするポガチャル、しっかりと対応して離されないヨナス・ヴィンゲゴー(ユンボ)という構図は変わらず。

ただ、今回はゲラント・トーマス(イネオス)が17秒、ロマン・バルデ(チームDSM)が26秒のタイムを失う事に。

やはり、飛び抜けた力を持った2人の争いとなるのか。

3週目の総合争い、見応えのある戦いを期待したい。