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【レース感想】ブエルタ・ア・エスパーニャ2022 第2ステージ

2年振りのグランツール勝利!

オランダ開催2日目は、小さな4級山岳が1つあるだけという、前日に続いて平坦な国オランダを象徴するかのようなレイアウト。

集団スプリント待ったなし、果たして誰が制するのか。

 

アクチュアルスタートから間もなく、ユリウス・ファンデンベルフ(EFエデュケーション・イージーポスト)のアタックをきっかけに、先頭集団が形成される。

メイン集団からそこに合流しようとする選手は現れず、このままスプリントステージらしい平穏な流れになる…と思いきや、少し様子がおかしい。

メイン集団を牽引するのはリーダージャージを擁するチーム・ユンボ・ヴィスマではなく、この日ティム・メルリールでスプリント勝利を狙うであろうアルペシン・ドゥクーニンク。

まあ、それは分からない話でもないんだけれども、問題はタイム差の推移。

まず、最大でも3分強と、あまり大きくタイム差が広がらない。

更には、まだ100km以上も距離を残した段階でタイム差が一気に30秒を割り込むほど先頭に急接近したり…。

流石にそのまま先頭を捕まえるような事はしなかったけれども、その後もタイム差は1分前後をうろうろ。

そんなに警戒するようなメンバーとレイアウトでもないだろうに、アルペシンはアシストを消耗させてまで何がしたかったのか、ちょっとこれは意図を図りかねるというのが正直なところ。

 

とりあえず、先頭の5人はなんとかアルペシンのお許しを得て、今大会最初の、そしてこの日唯一のカテゴリー山岳で、山岳賞ジャージを巡った争いを繰り広げる格好に。

何度かのアタックを経て、最後はファンデンベルフとティボー・ゲルナレック(アルケア・サムシック)の一騎打ち。

ここはファンデンベルフがワールドチームの意地を見せて先頭通過、この日終了後の山岳賞ジャージ獲得を確定させた。

 

残り58.5km、メイン集団が逃げに追いつき、レースは一旦振出しに。

このまま集団がひとかたまりのままフィニッシュまで向かうのかとも思ったけれども、残り45kmでルイスアンヘル・マテ(エウスカルテル・エウスカディ)が単独での飛び出しを敢行。

正直、どう頑張ってもステージ勝利は狙えないアタックなんだけれども、マテは「今大会で逃げた距離に応じて、昨年の森林火災で焼けてしまった故郷の森に植樹」というキャンペンーンを行っているとの事。

つまり…今後のステージでも逃げまくりそうだ。

 

グレゴール・ミュールベルガー(モビスター・チーム)やステフ・クラス(ロット・スーダル)の落車というトラブルはありつつ(残念ながらクラスはそのままリタイア)、残り21kmでマテを捕まえたメイン集団は、残り16.7kmに設置されたスプリントポイントへ。

隊列を組んでポイント獲得への意欲をはっきり見せたのは、ボーラハンスグローエとトレック・セガフレード、それぞれエースはサム・ベネットにマッズ・ピーダスンという実力者だ。

ひとまず今回は、よりアシストに人数を使ったピーダスンが先着、続いてベネットという結果に。

 

そこから目立つような展開は無く、残すはフィニッシュでの集団スプリント。

ユトレヒト市街地のテクニカルなレイアウトがスプリントチームを迎え入れる。

直角なコーナーが続くという事で、イネオス・グレナディアーズクイックステップ・アルファヴィニルといった総合系のチームが前方でリスク回避に勤しむ一方、各スプリントチームはトレインを維持するのに苦労する展開に。

残り2kmを切って先頭はイネオス、スプリントチームでそれなりの形を作れているのはチーム・バイクエクスチェンジ・ジェイコやUAEチームエミレーツぐらい、他はエースとリードアウト役のみのようなチームが殆ど。

レース序盤で消耗していたアルペシンは、早くもエースのメルリールが単騎という、なかなか苦しい状況だ…。

残り1.5km、バイクエクスチェンジのトレインが意外と早めに崩れていくのを尻目に、両サイドからグルパマFDJとトレックのトレインがじわじわと位置を上げていく。

残り700m、UAEは最終リードアウト役のファン・モラノが早くも全力でリードアウト…って、流石にこれは早すぎる。

案の定失速するモラノを抜き去ったのはトレックのアレックス・キルシュ、その背中には当然ピーダスンを従え、そしてその後方にはメルリールが「タダ乗り」をしている。

残り500mの緩いコーナーで生まれたスペースを利用して位置を上げてきたのはボーラのダニー・ファンポッペル、エースのベネットもその背中にしっかりくっつき、この流れでメルリールは外に押し出されてしまう。

真っ先にスプリントを仕掛けたのは、キルシュがかなり良いお膳立てをしてくれたピーダスン!

しかし、このタイミングでボーラはまだファンポッペルがリードアウトを継続し、より温存した形でベネットが発射される!!

ベネットのトップスピードが段違いだ…!!

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2020年ツールポイント賞の実力はやはり伊達ではない!!

ベネットがグランツールでは2年振りとなるステージ勝利!!

ケガの影響もあってここ2年ほどは苦しんでいたけれども、やはりその実力はトップクラスだ!

古巣のボーラにエースとして復帰ながらツール出場メンバーに選ばれなかった悔しさを、ひとまず晴らせたと言っていいかな。

また、今シーズンかなりハイクオリティなファンポッペルのリードアウトは、相変わらず素晴らしかったので、今後のステージもかなり期待できそうだ。