この勢いは誰にも止められない!
2週目の幕開けは、30.9kmの平坦基調というスペシャリスト向けの個人タイムトライアル。
総合首位のレムコ・エヴェネプール(クイックステップ・アルファヴィニル)にとっては、ライバルを更に突き放す絶好の好機だ。
序盤の出走で好タイムをマークしたのは、エヴェネプールのチームメイトであるレミ・カヴァニャ。
今大会出場選手の中で数少ない純粋なタイムトライアルスペシャリストと言えるカヴァニャは、「クレルモンフェランのTGV」というニックネームに恥じない快調な走りを披露。
カヴァニャによる43分18秒というタイムを上回る選手が現れないまま、気が付けば総合上位陣の出走が近づいてきた。
まずは、総合10位のパヴェル・シヴァコフ(イネオス・グレナディアーズ)が、カヴァニャから27秒遅れとなかなかの好タイムを記録。
決してタイムトライアル強者という感じではないシヴァコフ、このタイムは上出来と言っていいはず。
意外とも言えるタイムを出したのが総合8位のミゲルアンヘル・ロペス(アスタナ・カザクスタン・チーム)。
カヴァニャから47秒遅れで最終的にはステージ9位のタイムと、タイムトライアルを明確に苦手としてきたロペスにとっては想定される最大限…いや、最大限以上の結果だったと思う。
続いて総合7位のジョアン・アルメイダ(UAEチームエミレーツ)は、なんとフィニッシュ直前にコースミスでタイムを失ってしまう。
この日にできる限りタイムを稼ぎたかったであろうアルメイダ、痛恨のミスだった…。
総合6位のサイモン・イェーツ(チーム・バイクエクスチェンジ・ジェイコ)は、カヴァニャから42秒遅れで最終的にステージ7位と、悪くないタイムでフィニッシュ。
ここ数年は明らかにタイムトライアル能力が向上しているので、この結果も決して驚きではない。
サプライズを提供してくれたのは、総合4位のカルロス・ロドリゲス(イネオス)。
カヴァニャから20秒遅れで最終的にステージ4位と、かなりの好タイムをマーク!
独走力は度々見せていたからタイムトライアルが強いのも何ら不思議ではないけれども、ここまでとは…。
続いて、この日の優勝候補である総合3位のプリモシュ・ログリッチ(チーム・ユンボ・ヴィスマ)がスタート。
2019年に初出場して以降、ブエルタの個人タイムトライアルでは負けた事が無いログリッチ、元来のタイムトライアルの強さだけでなくその相性の良さも遺憾なく発揮!
中間計測のタイムこそカヴァニャに譲ったけれども、終盤にペースを上げると最終的にはトップタイムを12秒更新してのフィニッシュ!!
いや~、1週目を見る限りでは調子が万全では無さそうなのに、やっぱり強いわ。
対照的に、総合2位のエンリク・マス(モビスター・チーム)はタイムを失う事に。
ログリッチから1分3秒遅れのステージ10位と言うのは、決してそこまで悪い結果ではない気もするけれども、総合争いをする上でタイムトライアルが課題なのが改めて浮き彫りになってしまった。
そして、いよいよ最終走者のエヴェネプールが出走。
総合首位の証である赤いスキンスーツを身に纏ったエヴェネプールの走りは…圧倒的に速い!!
第1中間計測でカヴァニャを21秒、そして第2中間計測では36秒も上回り、その勢いは終盤も全く衰えない!!
最終的にログリッチを48秒も上回る圧巻のタイムでフィニッシュ!!
2週目に入っても強すぎる!!
エヴェネプールが自身初となるグランツールステージ勝利を飾り、総合首位の座をさらに強固なものに!!
ちょっと、手の付けられないレベルでは…?
大きく調子を崩す事さえなければ、このまま総合優勝してしまいそうだ。
改めて、結構動きのあった総合上位陣のタイム差を確認。
- 総合首位:エヴェネプール
- 総合2位:ログリッチ(+2分41秒)
- 総合3位:マス(+3分3秒)
- 総合4位:ロドリゲス(+3分55秒)
- 総合5位:サイモン・イェーツ(+4分50秒)
- 総合6位:フアン・アユソ(UAE、+4分53秒)
- 総合7位:アルメイダ(+6分45秒)
- 総合8位:ロペス(+6分50秒)
- 総合9位:シヴァコフ(+7分6秒)
- 総合10位:テイオ・ゲイガンハート(イネオス、+7分37秒)
第10ステージと、折り返しを前にして結構開いたなぁ…。
とにかく、エヴェネプールの調子が崩れない限りはどうしようもない感が漂っている。
断続的なアタックなんかで、いかにダメージを与えて崩していけるか。
ここからはライバルチームの動きが面白くなってきそうだ。