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【レース感想】ブエルタ・ア・エスパーニャ2022 第11ステージ

トレインの力で違いを見せろ!

若干の起伏はありつつも、全体的には平坦基調で集団スプリントが期待されるレイアウト。

ラスト4kmほどは海岸沿いを直進するので、高速域のレース展開の中でどれだけいい位置をキープできるのかがカギになりそう。

 

レース開始前、総合5位のサイモン・イェーツ(チーム・バイクエクスチェンジ・ジェイコ)、総合9位のパヴェル・シヴァコフ(イネオス・グレナディアーズ)が新型コロナウィルスのためにリタイアという報せが入ってくる。

う~ん、今大会も有力選手のリタイアがかなり出てしまっているなぁ…。

 

この日の逃げはスペイン籍のプロチームから1人ずつ、イェツ・ボル(ブルゴスBH)、ヴォイチェフ・レパ(エキッポ・ケルンファルマ)、ジョアン・ボウ(エウスカルテル・エウスカディ)の3人。

万が一にもこの3人を逃がしたくないメイン集団は、概ね2分前後のタイム差しか許容しない万全の構え。

そんな「集団スプリント間違い無し」の平穏な1日かと思っていたら、残り63.9km地点で世界王者のジュリアン・アラフィリップ(クイックステップ・アルファヴィニル)が落車してしまう…。

アラフィリップは右肩を脱臼して即リタイアとなり、3連覇を目指す世界選手権出場に黄色信号が灯るだけでなく、総合首位のレムコ・エヴェネプールにとっては最重要なアシストを失うかなりの痛手に…。

 

残り52km辺り、先頭集団からボルが1人で飛び出しを敢行。

メイン集団が約1分差の位置まで近づいていたので、脚が残っていない2人を切り捨てて少しでも長く逃げたいという事…?

ただ、このボルの動きも残り26kmで吸収されて、メイン集団は集団スプリントに向けて進んでいく。

 

残り4kmの位置にある最終コーナーを抜けると、バイクエクスチェンジのトレインが集団の最前で主導権を握る格好に。

先頭からローソン・クラドック、ケランド・オブライエン、マイケル・ヘップバーン、そしてエーススプリンターのカーデン・グローヴスという、万全すぎるぐらいの体制だ。

選手の右手から海風が吹き込んでくるレイアウトのため、バイクエクスチェンジの隊列はコース左側ギリギリというライン取りを選択して、他のチームが上がってくるスペースを右側に限定。

その結果、海風を受ける事になった他のチームはなかなか位置を上げられず、そしてバイクエクスチェンジのメンバー個々の平坦牽引力も合わさり、バイクエクスチェンジがレースを支配したまま距離を縮めていく。

残り300m、ジョン・デゲンコルブ(チームDSM)が単独で位置を上げてきて、意表を突くロングスパートを開始!

バイクエクスチェンジは最終発射台のヘップバーンがまだ落ち着いて牽引、そしてデゲンコルブに反応して前に出たフアン・モラノ(UAEチームエミレーツ)は…肝心のパスカル・アッカーマンが後ろに付いてきていない…。

デゲンコルブの背中にはダニエル・マクレイ(アルケア・サムシック)、そして先ほどまで力を温存し続けていたグローヴス。

残り150mを切ってデゲンコルブとモラノが失速すると、マクレイとグローヴスが前へ飛び出す!!

後方からはティム・メルリール(アルペシン・ドゥクーニンク)やダニー・ファンポッペル(ボーラ・ハンスグローエ)も猛追を見せるけれども、完璧な位置から発射されたグローヴスが先頭を譲らない!!

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美しきトレイン力の賜物!!

グローヴスが自身初となるグランツールのステージ勝利を掴み取った!!

残り4kmから見せたバイクエクスチェンジの完璧なトレイン、そしてチームメイトの献身にしっかりと結果で応えたグローヴス!!

牽引力がどのような効果を発揮するのか、お手本のようなスプリントだった!!

総合エースのサイモン・イェーツを失ったけれども、その直後にこうやって結果を出したのがまた素晴らしい。

降格争いの真っただ中にいるチームにとって、本当に大きな1勝だった。