3年ぶりとなるワールドツアーとしての開催!
2023年のワールドツアー開幕戦となるのは、オーストラリアを舞台にしたステージレースのツアー・ダウンアンダー!
直近の2年は新型コロナウィルスの影響で、ワールドツアーレースではなく国内選手によるレースイベントとして開催されていましたが、今年は3年ぶりにワールドツアーとしての開催となります。
今大会は、ピュアクライマーやピュアスプリンターではなく、「パンチ力のあるクライマー」や「登れるスプリンター(スプリント力のあるパンチャー?)」に活躍の機会が多そうなコースレイアウトが用意されました。
灼熱のオーストラリアでの混戦必死の開幕戦、活躍が期待できそうな注目選手を紹介していきます。
サイモン・イェーツ(チーム・ジェイコ・アルウラー)
地元オーストラリアのワールドチームであるチーム・ジェイコ・アルウラー(旧チーム・バイクエクスチェンジ・ジェイコ)は、かなり強力なメンバーを選出してきました。
その中で総合エースを務めるのは、当然サイモン・イェーツでしょう。
チーム所属年数は今年で10年目、プロ生活をずっとこのチームで過ごす生え抜きのエースは、抜群の総合力と軽快なパンチ力を兼ね備えていて、間違いなく今大会のコースレイアウトに向いています。
幸先のいいスタートを切って、メインスポンサーが変更したチームにいい流れをもたらしたいところです。
マイケル・マシューズ(チーム・ジェイコ・アルウラー)
ジェイコは前述のサイモン・イェーツだけではなく、ステージ勝利を狙うエースとして地元オーストラリア出身のマシューズも投入する本気度です。
現役屈指の登れるスプリンターであるマシューズは、昨年は久々にツール・ド・フランスでステージ勝利を挙げただけでなく、オーストラリアで開催された世界選手権で3位入賞と、ここ数年では最も調子が良い1年でした。
小さなアップダウンを超えてからのスプリントや、登り勾配でのスプリントは、まさに彼の得意分野なので、うまくハマれば複数のステージでの勝利も十分に狙えるはずです。
また、展開次第では登りの厳しいステージでも生き残り、総合優勝を狙う可能性も僅かながらあるかもしれません。
ルーク・プラップ(イネオス・グレナディアーズ)
先日のオーストラリア国内選手権を制したプラップも、当然注目選手の一人です。
まだ22歳ながら、登坂力と独走力を高い次元で兼ね備えているので、まずは初日のプロローグでライバルに差を付けて、登坂力が問われるステージでそのリードを守り抜くような戦い方が予想されます。
ただ、イネオスはジェイコ同様に(と言うか、ジェイコ以上に?)強力なメンバーを揃えてきたので、プラップがエースかどうかは、正直なところ全く分かりません。
実績十分な大ベテランのゲラント・トーマス、イギリス期待の星イーサン・ヘイター、昨年新人ながら大活躍を見せたマグナス・シェフィールド辺りは、頼れるチームメイトであると同時に、エースの座を争うライバルとも言えそうです。
オーストラリア国内選手権個人タイムトライアルで、サプライズとも言える勝利を挙げたのがこのヴァインです。
直近2年の走りから、登坂力に特化したいわゆる「ピュアクライマー」系かと思っていましたが、猛者がひしめくオーストラリアの個人タイムトライアル王者となると、話は変わってきますね。
よく考えれば、ズウィフトアカデミーという出自は高出力を維持する能力(タイムトライアル能力や独走力)が高くて当然ですし、体格も184cm・69kgとそれなりにあるので、そのポテンシャルがようやく発揮され始めたと言えるのかもしれません。
また、UAEもジョージ・ベネット、マルク・ヒルシ、アレッサンドロ・コーヴィーなど、なかなか強力なメンバーを揃えてきたので、チームとしての戦い方にも注目です。
ジャイ・ヒンドレー(ボーラ・ハンスグローエ)
昨年オーストラリア人として初のジロ・デ・イタリア総合優勝を成し遂げたヒンドレーも、今回のダウンアンダーに出場します。
その抜群の登坂力、そして成長を見せたタイムトライアル能力は、一流の総合系選手と評するのに充分すぎるものでした。
今大会のコースレイアウトは、純粋な登坂力だけではなくパンチ力も求められる感があり、あまりヒンドレー向けとは言えないのかもしれませんが、逆に言えばもし活躍できたら、今後は更に活躍の場が広がるかもしれません。
ガッツリとアシストを連れてきている感じではありませんが、その走りには注目するべきでしょう。
カレブ・ユアン(Unisaオーストラリア)
現役トップスプリンターの一人であるユアンは、今回は「若手を中心に構成されたオーストラリアナショナルチーム」Unisaオーストラリアの一員として出場します。
ユアンが普段所属しているロット・デスティニーは、ワールドチームからプロチームへと降格しましたが、ワールドツアーへの優先出場権を持っています。
ただ、今回はその権利を行使せずに選手の派遣を見送ったようで、このような格好でユアン単独での参戦になりました。
チームメイトは普段と違いますが、ユアンは同じメンバーで臨んだ前哨戦のシュワルベ・クラシックで勝利を挙げ、その力を見せつけています。
本戦のダウンアンダーでも、前年の不振を吹き飛ばすような活躍を見せてほしいところです。
ダリル・インピー(イスラエル・プレミアテック)
今シーズンで39歳になる大ベテランのインピーですが、今シーズン限りでの引退を表明しています。
オーストラリア初のワールドチームであるオリカ・グリーンエッジ(現ジェイコ)に2012年の創設時から9年間在籍し、2018年と2019年にはダウンアンダーを2連覇と、この大会、そしてオーストラリアに縁の深い選手です。
ツール・ド・フランスでも、2013年にマイヨジョーヌを2日間着用、2019年にはステージ勝利を挙げるなど、チームを引っ張る選手としての活躍を見せていました。
昨年のツール・ド・スイスでは、前述のマシューズと競り合ってステージ勝利を挙げていて、未だにその力は健在です。
最後のダウンアンダーで、もう一花咲かせてくれることを期待しています。
今シーズンも盛り上がっていきましょう!
3年ぶりのワールドツアーとしての開催という事で、今回はオーストラリアに所縁のある選手ばかり紹介してみました。
ヨーロッパとはまた違った空気間の中で繰り広げられる貴重なワールドツアーなので、復活してくれたのは本当に嬉しいところですね。
いよいよ始まる2023年シーズン、一緒に盛り上がっていきましょう~!!