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【レース感想】ジロ・デ・イタリア2024 第8ステージ

「ディフェンシブモード」ポガチャル

第8ステージは、1週目で最も難易度が高い山岳ステージ。

2級山岳と3級山岳を1つずつ含む絶え間ないアップダウン区間を抜け、最後は1級山岳(登坂距離14.6km・平均勾配7%)へとフィニッシュ。

急勾配区間がなくて「ずっと7%前後の勾配が続く」1級山岳、総合争いはどんな動きを見せるか。

 

展開次第では逃げ切りもあり得るレイアウトなので、逃げようと試みるアタック合戦はかなり活発に。

逃げ集団がまとまったと思ったら分裂したり、新たな追走が発生したりと、なかなか落ち着かなかったけれども、残り115kmの2級山岳を越えて、やっと14人の先頭集団が出来上がる。

ジュリアン・アラフィリップ(スーダル・クイックステップ)、ロマン・バルデ(チーム・DSMフェルミニッヒ・ポストNL)、ナイロ・キンタナ(モビスター・チーム)といったビッグネームも乗ったこの逃げに対して、メイン集団は最大でも2分ほどしかタイム差を与えない。

これは…総合首位のタデイ・ポガチャルを擁するUAEチームエミレーツ、そもそも逃げ切りを許さない構えか。

3級山岳で脱落者が出そうになりつつ、なんとか14人のままで1級山岳の入り口に到達した先頭集団だったけれども、メイン集団はもう僅か35秒後方にまで迫っている…。

 

先頭集団とメイン集団のタイム差は当然ながらじわじわと縮まり、残すところ10数秒、フィニッシュまでまだ10kmという位置で、先頭集団から飛び出しを試みたのはヴァランタン・パレパントル(デカトロン・AG2R・ラ・モンディアル)。

メイン集団にとって「怖い存在」ではないヴァランタン・パレパントルは、一旦は20秒のタイム差を稼ぐぐらい「見逃される」けれども、フェリックス・グロスシャートナーからラファウ・マイカへと牽引を繋ぐUAEは、慌てず騒がず、自然とその距離を詰めていく。

残り4.3km、奮闘を続けていたヴァランタン・パレパントルが、ついに捕まる。

「さあ、この残り距離ならそろそろポガチャルがアタックか…?」と思いながら見守っていたけれども、ポガチャルは一向に動きを見せない。

というか、牽引役のマイカも…「発射」のための急激なペースアップを見せる様子がない。

これはまさか…ポガチャルにしては珍しく、「ディフェンシブな走り」に徹するのか?

まあ確かに、既に総合2位のダニエル・マルティネス(ボーラ・ハンスグローエ)とも2分36秒差と、かなり大きなリードを有しているのだから、無理する必要は全くなくて、これがセオリーではあるけれども…?

静かな展開が続く中、残り2kmを切ってからアタックを仕掛けたのは、アントニオ・ティベーリ(バーレーン・ヴィクトリアス、総合8位)。

そしてこの動きを真っ先にマークするのが…ポガチャル。

ティメン・アレンスマン(イネオス・グレナディアーズ、総合11位)の動きに反応したのも、やはりポガチャル。

ティベーリによる2度目のアタックも、これまたポガチャルがしっかりマーク。

そしてポガチャルは、お得意のカウンターアタックを…見せない。

とにかく、攻めない。

必殺のロングアタックも、手痛いお仕置きのカウンターアタックも、繰り出さない。

いつもと違いひたすらディフェンシブなポガチャルに、これはこれで誰もどうしようもないまま、気が付けば残り距離は1kmを切っている…。

 

残り800mでマイケル・ストーラー(チューダー・プロサイクリング)、そしてその直後にはまたしてもアレンスマンがアタックを見せるけれども、やはりポガチャルがすぐさま背中に張り付くので、早々に諦めざるを得ない。

こうなると、必然的に「誰もアタックしたくない、そして誰も牽きたくない」といった感じで牽制モードになってしまい、あまりにもペース落ちたことによって、遅れたはずのマイカが集団に戻ってきて再度牽引をする格好に。

誰も動かない、動けない。

そのまま静かに距離を消化していって…残り200m。

フィニッシュに向けてスプリントを仕掛けたのは…ポガチャルとダニエル・マルティネスがほぼ同時!!

ここまで力を温存した…というかそもそも総合系の選手として規格外のスプリント力を持ったポガチャルが、やはり圧倒的に強い!!

ダニエル・マルティネスも当然全力で踏み込んでいるけれども、ポガチャルの背中から大きく千切れないようにするのが精一杯…!!

ポガチャルは後ろを確認する余裕を見せながら、大きく両腕を突きあげてのフィニッシュ!!

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新境地、ディフェンシブな走りで盤石の勝利!!

ポガチャル、強すぎる…!!

既に大きなタイム差が付いたからか、まさかポガチャルがこんな走りを見せるとは…!

これは…ライバルとしてはたまったもんじゃないでしょ。

なんとかライバルを出し抜きたいけれども、アタックは余裕で潰されて、更にはカウンターアタックの恐怖に怯えながら…。

仮に「攻撃対象」がポガチャルではなかったとしても、これでは動きようがない。

ひたすらに攻めの姿勢を貫いてきたこれまでと違い、必要に応じてこの走りができるなら、ポガチャルは今以上に手が付けられなくなるぞ…。

2週目以降の山岳ステージで、ポガチャルがどんな走りを見せるのか注目だ。