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【レース感想】ジロ・デ・イタリア2020 第1週目

トーマス、サイモン、そして…

ツール・ド・フランスや世界選手権の余韻もまだ残る中、ジロ・デ・イタリアが開幕!

いや~、とても「密」なレース日程の中、正直まだ頭の切り替えが追いついていない節はあるけど…、というか、ジロと同時開催のレースも多くて見る側のキャパシティもかなり厳しいんだけど…(汗)

それでも、ペテル・サガンの初出場など気になる話題も多い今回のジロ。

しっかり楽しんでいきますよ~!

 

第1ステージ

最初のステージは15km下り基調の個人タイムトライアル。

下り基調でスピードが出やすいレイアウトなんだけれども、まっすぐ走れない程の強風と滑りやすい路面状況のせいで、思うようにスピードを出せないというか、リスクを回避して安全に走る選手がほとんど。

そんな中で圧倒的な走りを見せたのは、イネオス・グレナディアーズのフィリッポ・ガンナ!

先週の世界選手権個人TTで見事優勝した若き世界チャンピオンが、その虹色のジャージに恥じない断トツのタイムでフィニッシュ!

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ここのところ平坦・下り基調のTTでは敵なし状態のガンナ、グランツール初出場での勝利、そしてマリア・ローザ獲得おめでとう!

そして2位はホアン・アルメイダ、3位がミッケル・ビョーグ、4位にゲラント・トーマス、5位トビアス・フォスと、上位5名の内トーマス以外は25歳以下(ガンナ24歳、アルメイダ22歳、ビョーグ21歳、フォス23歳)と、とてもフレッシュなメンバーに。

 

総合勢で最もいいタイムだったのはステージ4位に入ったトーマス、それに続くのがトーマスから26秒遅れだったサイモン・イェーツ。

この2人は比較的早めにスタートしていたんだけれども、どうやら中盤過ぎから風向きが向かい風に変わったみたいで、後半にスタートした選手は軒並みタイムが伸びずに苦しむ事に。

後半にスタートした総合勢の選手(ヴィンチェンツォ・ニバリ、ヤコブ・フルサン、ステフェン・クライスヴァイク、ウィルコ・ケルデルマン、ラファウ・マイカなど)は、トーマスから約1分ほどのディスアドバンテージを抱えてしまった…。

イネオスとしては、ガンナがステージ勝利してトーマスも総合争いでかなり有利になり、完璧な1日に。

 

第2ステージ

4級山岳フィニッシュで、スプリントになるかパンチャー辺りが登りで抜け出すか予想しにくい第2ステージ。

逃げ集団はトーマス・デヘントを含む5人だったけれども、さすがにこの日は逃げ切りを狙う感じではないはず。

メイン集団はイネオスが中心となって牽き、ローハン・デニスがさすがの牽引力を披露。

結構高速な展開の中、補給地点付近でアレクサンドル・ウラソフがなんとリタイア…。

どうやら胃腸系のトラブルを抱えていたようで、アスタナは前日クラッシュしたミゲルアンヘル・ロペスに続き重要なクライマーを失ってしまい、フルサンは今後かなり厳しい戦いになりそう。

ウラソフ、期待していたんだけどなぁ…。

 

意外と粘った逃げは残り9kmで吸収され、残すは4級山岳のみ。

途中までボーラ・ハンスグローエの牽引で進み、残り1.5km辺りからUAEチームエミレーツもペースアップを図る中、残り1km地点でヴィーニザブKTMのルーカ・ワッケルマンがアタック!

これにしっかり反応できたのはミケルフレーリク・ホノレとディエゴ・ウリッシの2人のみ。

そしてワッケルマンが失速すると入れ変わるようにペテル・サガンが先頭に合流し、ステージ優勝争いはホノレ、ウリッシ、サガンの3人に絞られる。

ラストの直線は3%程の勾配、ここを軽快に登っていくのはウリッシ!

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地元イタリア出身のウリッシ、ライバル2人を軽々と置き去りにして余裕のステージ勝利!

ラストの山岳をハードな展開にしてスプリントに持ち込ませなかったUAEのチーム力と、それにしっかりと応えたウリッシ、お見事!

 

第3ステージ

早くも1級エトナ山フィニッシュとなり、総合勢の調子が問われる第3ステージ。

そんな大事なステージで、パレード走行中にいきなりトラブル発生。

なんと、優勝候補の大本命トーマスがボトルを踏んで激しく落車。

すぐ集団に復帰するも、中盤のカテゴリーが付いていない大したことない登りで遅れ始めてしまう…!

ダウンヒルで一旦集団に復帰したものの、しばらくするとまたズルズルと遅れ始めて、完全に離されてしまった…。

なんとか完走するも先頭から12分以上遅れてゴールし、翌朝には骨折も発覚しそのままリタイアに。

トーマスはせっかく初日に大幅なリードを稼いだのに、まさかこんな序盤にレースを去る事になるとは…。

イネオスはツールに続いて総合エースを負傷で失うという、かなり不本意な形になってしまった。

 

そして1級エトナ山に突入すると、これまた優勝候補の1人であるサイモンが遅れ始めてしまう…!?

せっかく初日の調子良さそうだったのに…。

結局サイモンは4:22遅れでゴール。

なんとかギリギリ、首の皮一枚望みは繋がるタイム差に留めたけど…。

どうしたんだサイモン、何のための初日のマージンだ~!(元ネタ分かる人どれぐらいいるかなぁ…)

 

ステージ優勝は逃げていたヨナタンカイセドとジョヴァンニ・ヴィスコンティの2人の争いに。

カイセドがヴィスコンティを振り切り、追走やペースアップしたメイン集団も近づけさせずにそのまま独走でフィニッシュ!!

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エクアドルチャンピオンのカイセド、嬉しいグランツール初勝利!

 

総合勢は前述のトーマスとサイモン以外はあまり大きく離れずフィニッシュ。

いやしかし、好調だった2人が遅れるとは…。

レースは何があるか分からない…。

トーマス、お大事に…。

 

第4ステージ

真ん中に3級山岳を擁するも他はほぼ平坦なレイアウトで、今回のジロで初めて集団スプリントになりそうな第4ステージ。

容認された逃げは3人。

3級山岳の登坂に入ると、メイン集団はボーラ・ハンスグローエの牽引でペースアップ。

今年のツールでも何度か目にした「スプリンターふるい落とし」を敢行し、フェルナンド・ガビリアやエリア・ヴィヴィアーニなどが遅れていく…。

山頂を超えてもボーラは攻撃の手を緩めず、更にはグルパマFDJも手を貸したために逃げは平坦区間に入るとすぐに吸収される。

登りで遅れていた主要スプリンターのうちヴィヴィアーニはなんとか戻れたけれども、ガビリアは集団復帰できずに終わってしまった。

 

そのまま集団はスプリントに向けて加速。

残り1km地点で前方に上手く人数を残せているのはグルパマ。

残り850m、グルパマのマイルズ・スコットソンが意表を突く早駆けで抜け出す!

ライバルチームが脚を使ってなんとかこのアタックを捕まえると、グルパマはジャコポ・グアルニエーリのリードアウトから満を持してエースのルノー・デマールが発射!

サガンダヴィデ・バッレリーニがその横に並び、3人横並びのままフィニッシュ!!

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誰もガッツポーズをしないほどの僅差のスプリント!!

写真判定の結果、勝ったのはデマール!!

チームとしての見事な連携と、それにしっかり応えるデマールの激走はお見事!

 

そして、惜しくも2位だったサガンはポイント賞争いではトップに立ち、マリア・チクラミーノを獲得。

このままキープして、ツールでの鬱憤を晴らすことはできるか。

 

第5ステージ

225kmという長距離でありながら、1級山岳を含み獲得標高が4000mを超えるハードな設定となっている第5ステージ。

スタート直後のアタック合戦では、第3ステージ終了後にエースのトーマスを失ったイネオスが積極的に動き、8人の逃げ集団の中にガンナとサルバトーレ・プッチョの2人を送り込む事に成功。

ツールでエガン・ベルナルがリタイアした後と同様、イネオスの「解き放たれた獣たち」が躍動している~!

 

終盤の1級山岳に突入すると逃げも少しづつ人数を減らしていき、ガンナ、エクトル・カレテロ、エドアルド・ザルディーニの3人に絞られる。

そんな状況で、メイン集団からトーマス・デヘントとエイネルアウグスト・ルビオが飛び出して逃げに合流!

そのままデヘントやルビオがアタックを何度か仕掛けるも、これに粘り強く対応したガンナがカウンターアタックで抜け出した!

193cm・82kgという巨漢のガンナ、1級山岳の登りで強いとは…!

そのまま山頂迄に50秒ほどの差を付けた時点で「勝ち確」、そして悠然とダウンヒルをクリアしてフィニッシュへ!

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ガンナは第1ステージに続いて、今大会2勝目!

第1ステージの個人TTはTT世界王者の面目躍如といったところだったけれど、1級山岳で抜け出して勝利を掴むなんて、予想できた人は殆どいなかったのでは?

そしてまさかのマリア・アッズーラ獲得!

もちろん長くキープはできないだろうけれども、嬉しいご褒美といったところかな?

 

総合勢はマリア・ローザを着用しているアルメイダがステージ3位に入ってボーナスタイムを獲得したぐらいで、大きく動くことなく集団でフィニッシュ。

22歳の新鋭アルメイダ、意外と長くジャージをキープするかも…?

 

第6ステージ

残り25km辺りに3級山岳があり、フィニッシュ手前も緩い登り基調の第6ステージ。

パンチャー向けと言うよりは、サガン、マイケル・マシューズ、デマールといった登れるスプリンター系の選手が有利な感じ。

 

4人の逃げ集団は最大8分以上のタイム差をつけるけれども、これはさすがに泳がされているだけで、残り50km地点では2分差にまで縮まる。

そして3級山岳に突入すると、この日もボーラがスプリンターを振るい落とすためにペースアップを開始!

この動きにヴィヴィアーニが付いていけずにメイン集団から脱落。

ヴィヴィアーニはツールでも調子が悪かったけど、このジロでもイマイチなままだなぁ…。

 

残り13kmで逃げを吸収すると、スプリント争いや危険回避のために激しい位置取り争いが繰り広げられる。

ガンナとトニー・マルティンという豪華な選手による牽引も見られ、いよいよ最終盤の登り区間に突入。

残り3km辺りからまたボーラがペースを上げて各チームの隊列が崩れる中、最終コーナーを上手く回って先頭に立ったのは意外にもアスタナ…というか前を牽いてる選手、まさかフルサン?

そしてそのアスタナの後ろにはいつの間にか位置を挙げていたデマールが張り付いていて、真っ先にスプリントを開始!

マシューズやファビオ・フェリーネも必死で追走するも、デマールはそれを全く寄せ付けずそのまま余裕のフィニッシュ!!

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まさに圧勝!!

好調のデマールが完璧なスプリントで早くも2勝目をゲットし、そしてマリア・チクラミーノも獲得!!

デマールの現段階のスプリント力は他の選手から文字通り抜きんでているように見えるけど、ライバルたちの逆襲はあるのか…。

 

第7ステージ

カテゴリー山岳が存在しない、「ド平坦」な第7ステージ。

集団スプリントに向けて平和な1日になると思いきや、序盤から横風による分断が発生!

マリア・ローザのアルメイダ擁するドゥクーニンク・クイックステップの攻撃により集団は大きく3つに分断。

ペリョ・ビルバオ、ハーム・ファンフック、ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ、フルサン、マイカ、サイモンなど総合系の重要選手が後方集団に取り残される事態に…。

ただ、風が弱まった区間でペースが緩んだ事とスタート直後で距離が残っていた事により、遅れた選手もなんとかメイン集団に復帰に成功。

しっかし、ドゥクーニンクの横風分断作戦、相変わらず恐るべし…。

というか、当たり前かもしれないけれども、アルメイダの総合首位をしっかり守る方針っぽいよね。

第1ステージで見せたようにTTも速いし、もしかしたら、本当にそのまま終盤までアルメイダが総合優勝争いという「万が一」もあるのかも…?

 

その後も強風の影響でプロトンの緊張度が高かったせいか、いくつか落車が発生してしまったけれども、特に大きな問題は無く集団に復帰して、ラストのスプリントに向かっていく。

残り1kmで良い形だったのは今日もグルパマFDJ。

ドゥクーニンクのバッレリーニに間に入られたりはしたものの、しっかりとデマールを発射!

サガンが後ろから迫るも追いつけず、この日もデマールが1着でフィニッシュ!!

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デマールはこれでステージ3勝目!!

スプリントは独り勝ち状態のデマール、果たしてどこまで勝ち星を積み重ねる事ができるのか、本当に楽しみになってきた。

 

第8ステージ

パンチャー向けのような、それでもギリギリスプリンターが狙えなくもないような第8ステージ。

なんだけれども、レース開始前にサイモン・イェーツがコロナウィルス陽性のためにリタイアというショッキングなニュースが飛び込んできた…。

微熱などの症状があったのでチームとして自主的にPCR検査を受けた結果、陽性判定が出たとの事。

このチームの判断はもちろん素晴らしいものなんだけれども…、サイモン、無念すぎる…。

早く良くなって、また元気な走りを見せてね…。

 

この日の逃げは6名、最大タイム差は10分以上に。

メイン集団は2級の登りでも特に動きは無いと思いきや、下りでフルサンがパンクし、一時は1分以上遅れてしまう…!

アシストもあってなんとか集団に復帰したけど、今大会のアスタナはトラブル続きで上手くいかないなぁ…。

 

その後もメイン集団は活性化せずに6名による逃げ切り勝利の展開になり、決定的な動きがあったのは残り18km地点。

イスラエル・スタートアップネーションのアレックス・ドーセットが抜け出し、チームメイトのマティアス・ブランドルが追走のローテーションを阻害すると、タイム差はみるみる広がっていく!

残り11kmの急坂で追走集団からブランドルが脱落すると一時タイム差が縮まるものの、TTスペシャリストのドーセットはここからの平坦区間で本領発揮し、独力でタイム差を1分以上にまで広げ、見事に独走勝利!!

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そしてこのガッツポーズ!!

今シーズンからワールドチームとなったイスラエルにとっては、これがワールドツアー初勝利!!

元アワーレコード記録保持者コンビの見事な連携による勝利、おめでとう!

 

第9ステージ

1週目の締めくくりは、獲得標高4500m以上で1級山岳フィニッシュと厳しい設定の第9ステージ。

激しいアタック合戦の末に先行した逃げは7人、タイム差は5分以上で落ち着く…かと思ったら、このタイミングでメイン集団からミッケル・ビヨーグが飛び出した。

「え?単独で5分差を詰めるつもり?」と思いながら見ていたら、どんどんタイム差を詰めていき、本当に追いついてしまった…!

U23世界選手権個人TT3連覇の実力は伊達ではなかった!

 

という事で逃げは8人、最大タイム差は7分ほどでレースは進行。

最後の1級山岳突入時にはタイム差は約4分、そして逃げ集団は5人に数を減らしていて、気温が10℃を下回り冷たい雨が降る厳しいコンディションの中さらに絞り込みが掛かり、先頭はジョナタン・カストロビエホとルーベン・ゲレイロの2人のみに。

残り1km地点でカストロビエホがアタックするも決まらず、というか、カストロビエホはアタック力はないからなぁ…。

残り200mで急勾配区間に入ると、今度はアタック力で勝るゲレーロがアタック!

そのままカストロビエホを突き放してステージ勝利!!

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話題のEFプロサイクリングの特別デザインジャージをアピールしながらの勝利!

第3ステージのカイセドは、エクアドルチャンピオンジャージだったからね(笑)。

 

2位のカストロビエホも惜しかったけどいい走りだった…というか、見ている限りだと逃げ集団を最も引っ張ていたのは彼だった気がするだけに、勝ってほしかったな…。

そして3位に入ったのは、まさかのミッケル・ビヨーグ!

5分差単独ブリッジ、そして1級山岳での生き残りと、やっぱりすごいポテンシャル!

残りのステージのどこかで1勝したりしないかな?

 

総合勢では、まず持ちタイムが少し悪かったルーカス・ハミルトンとテイオ・ゲーガンハートが抜け出して20秒ほど稼ぐ事に成功。

最後の急勾配ではケルデルマンとフルサンが数秒稼ぎ、アルメイダ、クライスヴァイク、ファンフックは20秒近くロスト。

とりあえず、マリア・ローザはアルメイダがキープしたまま第1週が終了する事に。

 

休息日の出来事

休息日に行われたPCR検査で、いくつか陽性反応が…。

 

ミッチェルトン・スコットは4人のスタッフから陽性反応が出たため、ジロから撤退する事を決定。

サイモン・イェーツが陽性になった時点で、この可能性はあったよね…。

 

チーム・ユンボ・ヴィスマは、ステフェン・クライスヴァイクから陽性反応が…。

陽性反応は1人のみだけれども、チームは撤退を決断。

 

チーム・サンウェブのマイケル・マシューズも陽性反応が出てしまい、こちらはマシューズ1人のみがリタイア。

というか、その辺のルールが統一されていないのか…。

 

他にもスタッフから陽性反応が出たチームはいくつかあったけれども、上記の3件以外はリタイアは無し。

はたしてこの判断がどう出るのか…。

レース内外で波乱の1週目を終え、プロトンは2週目へと走り出す…。