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UAEツアー2021 注目選手紹介

今シーズン最初のワールドツアー!

今年も新型コロナウィルスの影響で中止になるレースもある中、やっと今シーズン最初のワールドツアーカテゴリーのレースが開催となります!

その栄えある「開幕レース」となったのは、昨年は新型コロナウィルスの影響で中断となってしまったUAEツアー。

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平坦ステージ4つ、山岳ステージ2つ、個人TTステージ1つと、見どころがバランスよく(パンチャーや逃げ屋は活躍所が無いですが…)盛り込まれ、これが今シーズン最初のレースとなる有力選手も多数います。

GCNも今シーズン最初の日本語実況付きでの配信となるこのレース、個人的な注目選手を挙げていきたいと思います。

 

総合系選手

タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ

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昨年のツール・ド・フランス覇者、そして昨年のこのレースでも総合2位だったポガチャルは、今回のUAEツアーが今シーズン初レースとなります。

もうその実力を疑う人はいないと思いますが、ツール覇者という事で今までと比べたら圧倒的に内外からの注目度が増し、そして厳しいマークを受ける中でどのように立ち回るのかは、要注目ポイントでしょう。

また、昨年はプリモシュ・ログリッチ個人TTで2勝していますが、そのどちらもかなりの登り勾配を含むものでした。

今回の第2ステージのようなド平坦なTTでどのような走りを見せるのか、個人的にはとても注目、そして期待しています。

総合優勝に向けて、当然ですが地元チームであるUAEチームエミレーツはかなり本気の態勢(今回のメンバーにダヴィ・デラクルスを加えてそのままツールに出てもいいんじゃないかと思えるぐらいのメンバー)でレースに臨みます。

ダヴィデ・フォルモロ、ラファウ・マイカ、ヤン、ポランツといった精鋭クライマーを引き連れて、ポガチャルが王者の走りを見せてくれる可能性は高いでしょう。

 

アダム・イェーツ(イネオス・グレナディアーズ

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昨年のこのレースの総合優勝者アダム・イェーツは、イネオス・グレナディアーズに移籍後の初戦としてこのレースを走ります。

山頂フィニッシュだった昨年の第3ステージ、総合優勝を決定づけた山岳での切れ味抜群のアタック、そしてステージ2位のポガチャルに1分以上ものタイム差を付ける程の独走勝利は、本当に衝撃的でした。

ツールでもエースとして期待され、序盤にはマイヨジョーヌも着用しましたが、最終的には総合9位でステージ勝利も無しと、やや不完全燃焼でした。

そして母国イギリスのチームであるイネオスに移籍して臨む今シーズン。

現時点での発表ではブエルタ・ア・エスパーニャにエースとして出場する予定のようですが、チーム内に強力なライバルが多数いるため、あまりうかうかしていられないでしょう。

昨年同様の強烈なアタックを、そして大きな成果を期待したいところです。

 

セップ・クス(チーム・ユンボ・ヴィスマ)

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ここ2年間、山岳アシストとしてユンボの快進撃の立役者の1人だったクスですが、このUAEツアーでは遂にワールドツアーでエースとして走りそうです。

一昨年の献身的なアシストとブエルタでのステージ勝利ももちろん素晴らしかったですが、昨年の活躍は文字通り「最強の山岳アシスト」と呼んで差し支えない、圧倒的なものでした。

アメリカのコロラド州ロッキー山脈(標高約2000m)生まれで高地への適正もあり、純粋な登坂力では現役最高峰の1人でしょう。

現在26歳と、総合系ライダーとしてこれから脂が乗っていく時期なので、果たしてエースとしてどんな走りを披露してくれるか、期待しかありません。

また、これまではアシストとして個人TTステージでは全力で走っていない姿しか見ていないので、第2ステージの走りには個人的にはかなり注目しています。

 

ジョアン・アルメイダ(ドゥクーニンク・クイックステップ

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昨年のジロ・デ・イタリアでは、若者らしい積極的な走りでマリア・ローザを15日間着用、そして最終成績も総合4位と、主役の1人として輝いたアルメイダ。

タイムトライアル、登坂、そして小集団スプリントと満遍なくこなせるその能力は、本当に素晴らしいものがあります。

今回、ドゥクーニンクはスプリンターのサム・ベネットをエースとして据えていますが、アルメイダのための山岳アシストもファウスト・マスナダとマティア・カッタネオの2人を連れてきています。

特にマスナダは、昨年のジロでも献身的なアシストをしてくれたので、心強い存在でしょう。

タイムトライアルでライバル達に差を付けて、山岳ではそのリードを粘り強く守り抜くような走りができれば、総合上位も期待できそうです。

 

クリス・フルームイスラエル・スタートアップネーション)

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イスラエルへ衝撃の移籍をしたフルームにとっても、新チームでの初レースがこのUAEツアーになります。

昨シーズンはロックダウンの影響もありリハビリが十分に行えなかったという旨のコメントも残していて、2019年の大ケガからの回復がやはり万全では無かったのは明らかです。

もちろん、いきなり総合優勝争いに絡むとは思っていませんが(チームのメンバー選出もあまりガチっている感じではないですし)、今回のステージ構成的には、得意の個人TTがありつつ山岳ステージの登坂は緩くダラダラ登る系と、フルーム向きだとは思います。

どれだけの走りを見せられるのか、しっかりと見届けたいです。

 

その他の総合系の注目選手としては、先日のツール・ド・ラ・プロヴァンス総合優勝で勢いに乗るイヴァン・ソーサ(イネオス)、同じくプロヴァンスで総合4位のワウト・プールス(バーレーン・ヴィクトリアス、逆にプロヴァンスでは振るわなかったアレクセイ・ルツェンコ(アスタナ・プレミアテック)、移籍後初レースでどんな走りを見せるか注目のダニエル・マルティネス(イネオス)、この辺りが挙げられるでしょうか。

 

スプリンター

カレブ・ユアン(ロット・スーダル)

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昨シーズンも、純粋なスプリント力だけなら現役でトップではないかと思わせる爆発力で、大活躍だったユアン

UAEツアーでも、第2ステージのハッタダムの登りスプリントでしっかり1勝を挙げています。

今回もロジャー・クルーゲとジャスパー・デブイストというお馴染みのメンバーを引き連れての参戦なので、もちろん4つあるスプリントステージ勝利の有力候補でしょう。

今シーズンも「ポケット・ロケット」の描く軌道から目が離せません。

 

サム・ベネット(ドゥクーニンク・クイックステップ

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遂にあのペテル・サガン(ボーラ・ハンスグローエ)を打ち破り、マイヨ・ヴェールを手中に収めた男、サム・ベネット

ドゥクーニンクの最強トレインから発射されるそのパワフルなスプリントは、他を寄せ付けないような圧倒的な支配力を誇ります。

今回も、盟友シェーン・アーチボルドや至高のリードアウト職人ミケル・モルコフといった相変わらず最強なトレインがベネットを発射するはずなので、当然ステージ勝利の有力候補です。

マイヨ・ヴェール獲得で自信を付けたベネット、そして「最強」ドゥクーニンクの走りに期待しています。

 

パスカル・アッカーマン(ボーラ・ハンスグローエ)

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昨シーズン、ブエルタで最終ステージのマドリードを含む2勝を挙げたアッカーマン。

2018年辺りから台頭してきた彼ですが、今やすっかりトップスプリンターの1人と認識される程の活躍を見せています。

ただ、昨シーズンは勝ちきれずに2位で終わる事が多かった印象もありました。

今シーズンでチームとの契約が切れる事、そしてチームの顔であるペテル・サガンも同様に今シーズンまでの契約であることを考えると、改めてその真価が問われる1年になるでしょう。

このUAEツアーで弾みをつけて、年間を通した活躍に繋げられるか要注目です。

 

ジャコモ・ニッツォーロ(チーム・キュベカ・アソス)

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昨シーズン、「勝ちきれない男」から見事に脱却して、イタリアチャンピオンのみならず、ヨーロッパチャンピオンに輝いたニッツォーロ。

その勢いは本物のように見えただけに、落車の影響でツールを途中リタイアしたのは本当に残念でした。

今シーズンも、先週行われたクラシカ・ドゥ・アルメリアで早くも勝利を挙げ、好調をアピールしています。

トレインの力は強豪チームと比べると少し心許ないですが、勢いと好調に期待したいところです。

 

ジャスパー・フィリプセン(アルペシン・フェニックス)

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昨シーズン、ブエルタでステージ1勝を挙げたベルギー期待の若手スプリンターであるフィリプセン。

今シーズンは、ワールドチームより一つカテゴリーの下がるプロ・チームであるアルペシン・フェニックスへと移籍しました。

もちろん驚きの移籍ではありましたが、アルペシンは昨シーズンの獲得ポイントがプロチームの中で最も高いので全てのワールドツアーに自動招待される事、そして自身がエースとして走れる事を考えると、決して悪い移籍ではありません。

また、マチュー・ファンデルプールによる強力なアシストを受けられる事も追い風となるでしょう。

思い切った決断をした若き才能の爆発に期待したいところです。

 

その他の注目スプリンターとしては、地元チームとして勝利を挙げたいフェルナンド・ガビリア(UAE、失意の昨シーズンからの巻き返しを図るエリア・ヴィヴィアーニ(コフィディスケース・ボルとアルベルト・ダイネーゼのチームDSMのコンビ、この辺りが挙げられるでしょうか。

 

その他注目選手

マチュー・ファンデルプール(アルペシン・フェニックス)

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一昨年は衝撃のアムステル・ゴールドレース優勝、昨年は好敵手ワウト・ファンアールト(ユンボ)との激戦を制してのロンド・ファン・フラーンデレン優勝と、ロードレース界を荒らしまくっているシクロクロス界からの黒船、ファンデルプール。

前述のように、アルペシンは今シーズン全てのワールドツアーに自動招待されるため、日本語での中継があるような主要レースで彼を目にする機会が更に増えるはずです。

今回のUAEツアーでは活躍できるようなステージが少ないというか、勝利の可能性が多少でもあるのは第2ステージの個人TTぐらいな気もしますが、逆に初参戦予定のグランツールに向けて、山岳ステージでどれだけ生き残れるかは要注目だと思います。

 

フィリッポ・ガンナ(イネオス・グレナディアーズ

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もはや説明不要、世界最強のTTスペシャリストとして覚醒したガンナ。

1人だけ規格が違うエンジンを積んでいるようなその圧倒的な独走力は、今回のUAEツアー第2ステージの個人TTでも断トツの優勝候補筆頭で間違いないでしょう。

また、先日のエトワール・ド・ベセージュではその独走力を活かした逃げ勝利も見せてくれました。

さすがに今回はコースレイアウト的にそれは無いとは思いますが、「まかり間違えばそういう可能性もあるのではないか…」と思わせてくれるぐらい、圧倒的な存在感と勢いはあります。

まぁ、現実的な話としては、イネオスの平坦要員としてどれだけの牽引を見せてくれるか楽しみにしています。

 

アレハンドロ・バルベルデ(モビスター・チーム)

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今シーズン限りでの引退を表明したスペインのレジェンド、バルベルデ

昨シーズンはどこか元気がなく、特にリザルトを残せずに1年が終了。

それでも、ツール総合12位にブエルタ総合10位と、それなりの位置にいる辺りは流石と言ったところでしょうか。

このUAEツアーは2019年に総合2位に入っているように、決して相性は悪くないはずです。

少しでも元気な姿が見られることを期待しています。

 

メンバー豪華じゃない?

やはり、ここまで中止となったレースが多数あった影響で、総合系もスプリンターもかなり豪華なメンバーが集まっています。

特にスプリンターは、ユアン、ベネット、アッカーマン、ニッツォーロ、ガビリア、ヴィヴィアーニ、フィリプセンと、かなりの大物が集まりました。

平坦ステージは4つもあり、しかもそのどれもが起伏のほぼ無い「ド平坦」なレイアウトなので、ゴールスプリントが本当に楽しみです。

もちろん総合勢も、若手からベテランまで幅広いメンバーが集まっていて、山頂フィニッシュと個人TTは激戦必至です。

今シーズン最初のワールドツアー、全力で楽しんでいきましょう!